2018/01/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2」にサナさんが現れました。
サナ > 注文された品を納めた後、客から頼まれた使い。
王城のとある場所で、手渡された袋を渡すこと。但し、中を開けてはいけない。

極少ない客の頼みを断り切れずに未だ一度も足を踏み入れたことの無い場所へ。
其れと思しき場所が見当たらず 次第に道を見失う。

本当に依頼だったのか、
袋は安全な物なのか
揶揄の種にされたのか、
其れとも袋に何の価値もなく、無知な少女を送り込む心算か

「…………そんなこと、」

心細くなると碌なことを考え無くなる、と。頭を緩く振る。
通りすがる人がいる内には声を掛けることを躊躇い、
途絶えてきて、次に誰かに遭った頃には――――と思う時には既に遅く。

行き止まりの道に、下りしかない階段が続く。
灯りと、風の動く気配に、こつり、と小さな靴音を立てて地下に続く階段を下りていく

サナ > 華やかな地上とは異なり、無機質な石組みが続く地下通路。
扉が幾つかあるもののどれもきちりと閉じられていて、気安く叩くことも開くことも躊躇われる。

行き過ぎた先に、鉄の格子に行き当たる。

それなりの広さのある部屋の格子戸は鍵も掛けられておらず開け放たれて。
影が掛かって良くは見えないが、誰もいない、ように見える。

一角に光が差す箇所があり、明かり差さない地下には不釣り合いに思えた。
来た道も、行く道も、まだ先は長そうで。
左右を見遣り、格子戸を潜り抜ける。
ギィ、と重く錆びた音が薄い反響を起こすのを後に、光が落ちる一角に立つ。

見上げると、天井が大きく刳り抜かれ、大分高い位置に石枠の窓があった。
とても触れたり、開いたり、どころか。上ったり等出来そうもなく。
唯一の光だと考え至った時、立ち眩みに似た感覚が起こる。

後ろ手に壁に触れた、筈が。鉄の冷たい質感と鎖が鳴る音で

ガチ、と音が鳴った。
片腕を咬まれた。


「…………………た」


幸い、か。血の匂いはしない。屹度そういう場所じゃ、無い。
格子の影が足元に掛かる。



「………」

たすけてー、って。言うに言えず金属の咬み合う場所を探る。焦る分ガチャガチャ、喧しい音が立つが。静かにしてる場合でもなく。

サナ > 数分後、


「…………」

それ程体力が無い身が、片手を壁に繋ぎ止められた儘くたりと床に座り込んでいた。
水刃で鋸のように根気強く引き続ければ、手首を傷つけずに脱出は叶いそうだったけれど、
迷い込んだものは不法侵入とも見られかねない上、
王城の備品―――と呼んで良いものか―――を破壊して逃げたりしたら、罰則や罰金がいかなるものか。

未だ飢えや乾きを感じていない為、其方の方が断然おそろしい。

「だ、…誰かー」

弱い声が空しく反響する。
でも、ずっと前に教わった気がする。
本当に助けを呼びたいとき、助けて、と叫んでも、飛び火を恐れて誰も来てくれない、と。
本当に助けを呼びたいときに叫ぶべき言葉は、


「…か、火事だー」――――声が小さい。