2017/11/28 のログ
ご案内:「王城城壁付近」にホウセンさんが現れました。
ホウセン > 冬の足音も、もう聞き間違う余地がなくなる程度に近く聞こえる晩秋。
大人より高いものと相場の決まっている小柄な存在の体温を以ってしても、上に一枚羽織らなければ快適に過ごすのは難しい頃。
それなのに、選りにも選って日が落ちてから、屋外に佇む物好きがいる。
寺院の尖塔などを除けば、恐らく王都で最も高層となる建築物。
その最上段といわぬまでも、相応に高い位置に。
魔族避けの結界を物ともせず、寧ろ彼ら向けに調整されているから掻い潜りやすいと嘯く人外が。

「…偶には静かなところも良かろうと思うて来たが、艶が無さ過ぎて老け込んでしまいそうじゃ。」

外敵から城を守る石造りの城壁の上、防寒仕様の妖仙が一人。
これだけ大規模な建造物を囲っている防壁の上は、歩哨が警邏できる程度の幅を有しているのだけれど、その場内側の縁にちょこんと腰を掛けている。
眼下には、きっと血税の散財に忙しい夜会の灯が点っているけれども、此処からでは遠く、遠く。
孤高を気取って格好つけたものの、退屈の虫が身の内で蠢き出す頃合。
誰ぞ顔見知りの者なり、愉快そうな何かしらを見かければ、相手の事情なんぞ歯牙にもかけず、気侭に顔を突っ込むのだろうが。

ホウセン > 「頃合かのぅ。」

如何にも無聊を持て余したらしい。
城壁の縁に立ち、其の侭宙に一歩。
地の無い其処は、当然のように妖仙の身体を支えられる筈も無く、小さな身体は落下を始める。
重力に身を委ね、然し地面に衝突する何物も無く。
霞のように、夜の闇に溶け込んで――

ご案内:「王城城壁付近」からホウセンさんが去りました。