2017/10/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城内研究施設」にミリーディアさんが現れました。
ミリーディア > 最近は涼しくなってきた。
無駄に室内を涼しくせずとも、過ごし易い環境になったのは良い事だ。
なのだが、暑い時は暑い時で、以前のように室内に水を張って楽しむ事が出来る。
その楽しみは、やはり暑い時にするからこそであり、この時期となるとさすがにやるにやれないもので。
そういった意味では、少々寂しいものである。

室長室、少女はテーブルに広がった資料を眺めながら、柔らかなソファーへと身を凭れ掛けさせていた。
期限ぎりぎりなものだけまとめて、まだ少し間があるのは明日にでも、そんな感じ。
とても勤勉な室長とは言い難い姿だが、これもいつもの事で。

「最近は落ち着いてきたとはいえ…まだこれだけ残っているとはな。
まったく、お偉いさんというのは言うだけ言って丸投げってのは、いつの時代も変わらんものだ」

呟きながら、ぐったりとソファーの背を倒してベッドのように寝転がる。
もっとも、そう言っている本人はそこまで深くは携わってはいない。
よっぽど難しい内容で無い限り、すべて他の研究員達に任せているからだ。
なのに、なぜ文句が出るのか…結局のところ、最終的な確認は自分がしなければならない。
それだけなのだが、少女にとっては手間なのだと思っているのだ。

ミリーディア > 日も沈み、夜も更けてきている時間帯。
この時間に灯りが付いているのは、この室長室ぐらいである。
理由は簡単だ、自分が夜遅くまでの研究は特別な事が無い限りは許可していない。
研究に熱を入れる気持ちは分からないでもないが、無理をして体を壊されては困りものだ。
ちなみに、自分がここにずっと居るのは帰るのが面倒でここに泊まっている…となっている。

…なんてものだが、それはあくまでも理由の一つだったりする。
こうして、誰もいない時間がないと、別件の仕事がやり難い、それが本音だった。
魔導具なんてものは、まっとうに使うものばかりではない。
閃きさえあれば、良し悪し関係なく無限の可能性を秘めているもの。
主に、よろしくない方の案件の対応、裏で受けているのはそういったものだ。
その為に、この室長室までの通路だけには、一切の警戒態勢は敷かれていない。
誰でも、ここまでは普通にやってこれるのだ。

ご案内:「王都マグメール 王城内研究施設」にアダンさんが現れました。
アダン > 王城内の研究施設。その室長室へと続く通路に足音が響く。
王国の魔導具・魔導兵器研究、製造のための重要な場所だ。
王国の魔導機械は他国よりも発達した物があり、この国の要とも言えるものだ。
そんな研究施設へとアダンは向かっていた。
ただし、日中にではない。日も暮れた、人目につかない時刻である。
そういう時刻にここを訪れるということは――良からぬ目的のためであることは想像に固くない。

「失礼致します」

室長室の扉をノックし、そのままアダンは部屋へと入っていき、ソファーに身を凭れ掛けているミリーディアに一礼した。
アダンは名門貴族の出であるが、腐敗貴族に分類される男だ。
悪い噂は一つや二つではない。

「お久しぶりです、ミリーディア様。このような時間に申し訳ございません。
 新しい魔導機械の制作についてご相談がありまして」

同じ貴族同士である。アダンも向こうの顔は知っていた。
出自なども明瞭ではない不可思議な貴族とも言える彼女には前々から注目はしていた。
面識といえば、以前に挨拶を交わしたぐらいであったと記憶している。

ミリーディア > この時間の施設内、入る場所に入ればたちどころに魔法の罠により拘束される。
それは、魔法耐性に自信があるものであろうともなぜか逃れる事が出来ないもの。
それがどんな魔法なのかは、誰一人として知り得ない事だった…ただ一人、それを張った者以外は。
だが、その男が向かう場所、その通路には一切の罠は仕掛けられていない。
研究施設内、室長室、何事もなく到達する。

「あぁ、入り給え」

男がノックをすれば、そんな声が室内から掛かるだろう。
室内へと入り一礼、礼儀正しい行為の男とは裏腹に、少女はソファーから体を起こしただけだった。
この時間、この場所にやってきた…理由は一つだろう、その相手を見遣る。
見覚えのある顔だ、名前も知っている、もちろん、知っているのはそれだけではないが。
だからと言って、別に身構える、警戒する、等といった様子は見せない。
普段通りの調子だ、軽く伸びをし、改めて相手を見る。

「確か…そう、アダン君だったか、久し振りだ。
こんな時間に儂の元に訪れてる、その理由を考えるのも難しくはないさ。
とりあえず、その堅苦しい態度が普段の君であるなら、そのままで居てくれれば良い。
もし違うのなら、普段通りにしてくれると儂としても話し易いんだが…どうかね?」

別にこの男のような貴族は一人や二人ではない、貴族どころか、王族にだって居る。
そういった者達を相手にしているのだから、今更警戒も何も無いだろう。
身を乗り出すようにして片肘をテーブルにつき、頬杖をつきながら問う。

アダン > 一応貴族としての礼を示す。
勿論アダンはそういったものを真に信じているわけではなく、貴族の誇りなどもない。
単に、そうしておくことが今は一番無難だと判断したまでだった。
アダンよりも遥かに年下に見えるのに、おそらくはアダンよりも年上と思われる少女。
一応の警戒はしておいて損はない。

だが、ミリーディア自身はアダンのようなものに慣れているのだろう。
警戒した様子はなく、普段通りの態度でいいとさえ言う。
なるほど、聞いていた通り変わり者なのだろうとアダンは納得する。

「そうか。ではお言葉に甘えさせてもらうとしよう。
 しかし、聞いていたとおりだな。国家の重要気密としての研究を行っている場所だ。夜間など容易に入れるものではないのだが。
 室長室までは一切の防壁もなにも存在しないとは」

ここまですんなり来れたことについてやや大げさな身振りで言う。
そして、彼女に言われたとおりにアダンの普段通りの口調へと移っていった。
彼女へ向ける視線も下卑たものになる。それすらも隠しはしない。

「これで話しやすくなったか? では話の続きだ。報酬なぞ如何様にも出すからぜひやってもらいたいのだ。
 今度、邸をもう一つ構えようと思っていてね。そこに魔導機械を仕掛けたい。一応今の邸にもあるのだがね。
 邸全体で女を辱め、犯すためのような仕掛けだ。そういうダンジョンもあると聞くが……そういうものの作成は可能かお聞きしたい。
 そういうものの開発もやっているのではないか?」

ミリーディアに近づき、あけすけと言葉を述べる。
アダンの趣味兼陰謀策謀のための魔導機械の制作について尋ねたいようだ。
廊下に股縄が出現したり、拘束具が出現したりと、一種のからくり邸めいた趣きになりそうではあるが。

ミリーディア > 大体の貴族や王族等の地位を持った連中は、大抵こうして表面を良くして良い反応を得ようとする。
確かに、場所が場所ならば礼儀作法なんてものは大事だろう。
だが、ここは違うのだ、それを理解して通りにするならば…それで良い。
逆にそうでなく、良い表面を演じ続けていたならば、この男は交渉も無く追い返されていた。
第三者から見ればよく思われない変化であろうが、少女にとっては逆に好感を抱くもの。
だからこそ、変わり者と呼ばれるのかもしれないが…

「そうしてくれると助かる、目の前で偽り続けられるのは嫌いなんでね。
もちろん、他の場所には入れないようにはしてある。
あくまでも、何事もなく入れるのはこの部屋だけさ。
その辺りはちゃんとしたものにはなっている、気になるならば試してみれば分かるはずだ。
明日、誰か来るまで放置プレイを体験してみたいなら、だが」

にやりと意地の悪い笑みを浮かべ、男の言葉に答える。
その言葉と表情から、もしそれに掛かったとして、それを知っても少女は何もしないだろうと思わせるだろうか。

続く男の依頼内容に、目を閉じ、耳を傾ける。
確認の言葉が終われば、閉じていた目を開き、男を再び見遣り。

「では、報酬はまとまった後に伝えよう。
まず答えだけを言えば、可能だ、それなりの時間は掛かるがね。
理由を伝えておけば、その手の事を手伝える輩をまず手配するところから始まるからだ。
なにせ大掛かりなものだ、一人でどうこうなんて時間が掛かり過ぎるだろう」

さらりと少女は答える。
出来るものは出来るのだ、それ以外に答えようはない。
細かい事は、また男から聞けば良い、どんな案が出てくるか…そんな楽しみも、ある意味あるのだが。

アダン > 「ハハ、生憎他の場所には興味は無くてね。遠慮しておくとしよう。
 他人や君が仕掛けにかかるのならば楽しめるだろうが、自分で体験するのはご遠慮願いたい」

少女の意地の悪い笑みを受けて、アダンは首を横に振った。
わざわざ危険なところに脚を踏み入れることもない。それでアダン自身が楽しければそういうことも吝かではないだろう。
だが、そういった楽しみはなさそうであるし、彼女は助けなどもよこさないだろうことはわかっていた。

「ふむ、些か当然過ぎる質問だったかもしれんな。
 なるほど、流石に一朝一夕でできるような手品を使えるわけでもないのだな。
 実のところ、君については調べても何もわからないに等しい。どれほどの技なのか楽しみではある。
 では全体の計画については改めて打ち合わせをさせてもらおう」

さて、アダンからの質問と願いについては極当然の答えが帰ってきた。
それに対するアダンの答えは、相手を嘲るような軽薄な色があった。肩をすくめつつ薄笑いを浮かべる。
相手を小馬鹿にしたいというようなものではなく、元来そういう性格なのだろう。

「とはいえ、現段階ではさほど案もない。それも含めて相談に来たわけだ。
 小規模なものでいい。何かしらの淫具のサンプルめいたものはないかね。それがあれば見せてもらいたい。
 なるべく女が快楽に啼き易いものがいいが……それと、改良もできれば頼みたいところでね。
 私の家で抱えている技師が発明したものだが……いまいち威力に欠ける。できればその効果を高めて頂きたい」

アダンは何かしらのサンプルはないかと尋ねつつ、自らが持ってきていた鞄の中から一つの魔導機械を取り出す。
それはベルトのようなものであるが、新造された魔導機械としての仕掛けが凝られている。
起動すれば相手の四肢を拘束する腕が出現し、尻穴を責める張型のようなものも出現するという、拘束具かつ責め具というようなものだ。
恐らく彼女ならば見れば大体の構造は理解できるだろう。

「改良された後のテストもして置きたいのでね」

ミリーディア > 「そうか、それは残念。
ちなみに、仕掛けに掛かっても、君の期待するような事は起こらないと思うが?
その手のトラップも面白そうだが、さすがに表立った場所で変なものを晒す訳にはいかないだろうからね」

簡単に言えば小さな結界に閉じ込めるものである為、触れられないし、相手から触れられる事もない。
そんな仕掛けなのだ、何の楽しみようもないだろう。
男の言うようなトラップも実は一時期考えてはいたのだが、さすがに目に付く施設内の場所でそれを晒すのは拙い。

「何事も、物事には限度があるって事さ。
大きな事を起こそうとすれば、代償はそれだけ大きくなる…色んな意味でね。
なるほどね、だが、世の中には知らない方が良い事もある…知るのは、儂の仕掛けの腕程度と今はしておき給え」

本当の事を言えば、出来ない事はない。
なのだが、あんまり物事を慌しく急ぎ、無駄に力を使ったりとするのを好まない。
だから、大体はこの言葉でいつも返していた…そんな程度の事である。
別にどうそれに対して言われようと、気にしてはいない。
ある意味、手を抜いているには変わらないのだから。

「そうか、本当に初期段階からの相談だったのだね。
それならば、君にはこちらへと来てもらおう。
そうそう、出来ればあっちに着いてからで良い、見取り図みたいなものもお願いしようか。
ある程度、邸内の通路や部屋の形や大きさが分かるもので十分だ。
改良の話も、そこで聞こう」

そう言えば、取り出していた魔導機械をちらりと見ながらもソファーから腰を上げる。
くるりと後ろを振り返れば、指を一つ鳴らす。
すると、設置されていた棚の一つが独りでに静かに動き…そこに地下へと続く階段が現れた。

「その手のものは、さすがに目に付いた場所では扱えないだろう?
こういった場所が無いとね…さ、案内しよう」

そこで言葉を終え、答えを待たずに現れた階段を下り始めた。

アダン > 「なるほど、それは残念だ。思っていたより常識人らしい。ですが、おすすめしておくとしよう。中々に面白いものだからな」

アダンが楽しめるような罠はないと言われると、アダンは残念だ、と返した。元々冗談であったらしい。
彼女への悪趣味は話題をわざわざ振ったということである。アダンの性格の悪さが透けて見えるであろう。

「ほう、実にもったいぶった言い方だな。気になりはするが、実りそうにないことはやらないことにしている。
 君への詮索はまた今度とすることとしよう。」

相手の含みをもたせた言葉には短く返しておいた。
彼女の正体は不明と言わざるを得ない。恐らくアダンが真相にたどり着けるようなものでもないのだろう。
だが、アダンの興味はそこにあるわけではない。彼女の正体が自分の利益に繋がるのならば別だが、今はそれもなさそうである。
危険な橋を渡るのは、ある程度の目処がつかなければ行うことはできないのだ。

アダンが初期段階からの相談だといえば、彼女は指をぱちんと鳴らす。
そうすれば、棚の一つが動き始め、地下へと続く階段が現れた。
なるほど、彼女の言うとおりそういうものは普通に置いておくわけにはいかないのだろう。

「これはこれは、用意がいいことだ。貴女に相談しておいて実に良かったと言えるだろうな。
 一応見取り図ならば持ってきてはいる。こうも簡単に引き受けてくれるとは思わなかったが」

机の上に出した魔導機械をしまいつつ、地下へと降り始めたミリーディアをアダンは追う。
見取り図や改良の話も地下に続く先で行うというので、それの準備もしながらであった。

ミリーディア > 「もちろん、儂は常識人さ、表向きはそうでなければならん。
それは君も同じ事だろう?一応、とはいえね」

自分とて、それを考えないならば、本当はそうしたいものだ。
周りに固い人間が多いと困る、そう冗談っぽく伝えておいた。
考え方は違えど、それを楽しむ思考は似たようなものかもしれないか。

「程度を知るのは良い事さ、何事もね…それで良い」

男と同じに、短く返しておいた。
それを知る事は、間違いなく男にとって何の利益も生み出さない。
むしろ、その逆なのかもしれないが…今はまだ、それはないだろう。
いや、この先もないかもしれないか。

「色々とあれば、こんなものさ。
…その言葉は、すべてが終わった後に言った方が良いかもしれないな?
予想と結果が噛み合うとは限らないからね。
結果を見て、それでもそう思えたなら、その時にその言葉を儂に送ってくれれば良いだろう」

後ろから掛かる声に、手を一振りしながら言葉を返す。
どんな事であれ、思った通りに出来るとは限らない。
ともかく、今は男が思う通りのものを仕上げられるか、である。
久々の大掛かりの依頼だが、内容はある意味自分とて楽しめそうなもの。
地下への階段を下りながら、あれを使おうか、これを使おうか、地下に揃えた玩具の数々を思い出していた。
ちなみに、灯りに関しては魔法の仕掛けだろう、少女が、男が降りる視界に合わせたように壁に点々と灯っている。

しばらく階段を下りれば、その先にあるのは一枚の扉。
近付けば自然と開く扉を通り、少女は地下室へと入って行く。
男も後を追い入れば、かなり広大な空間が目に入るだろう。
そして、ところどころにおいた、大小様々な魔導機械の数々も。

アダン > アダンに取っては目の前の少女がなんであれ、女であるというのならばそれでよかった。
今のアダンに重要なのはその一点である。
今回の依頼も、実益というよりは趣味の色が8割と言ったところのものである。
現在はそれでいい。今日は自身も楽しむために来ているのだ。
このままうまくことが運べば、だが。

「そうかね。ならばそうしておくとしよう。随分と謙虚なことだ。
 では、結果を見た後に同じ言葉が言えることを期待しよう。努力してくれ」

アダンは相変わらずの尊大な態度でそう言い放った。
どちらかと言えばやってもらうという立場なのだが、アダンにはそういう意識は露ほどもないようだ。
相手の態度に謙虚だな、などと返しつつ階段を降りていく。
少女とアダンが階段を降りるのに合わせて明かりが灯り、二人の顔を照らした。

「ここかね」

階段を下りた先にある扉も自動的に開き、少女は先へと進む。
後を追ってアダンも先を追えば、そこには様々な魔導機械の数々が見えた。
アダンはそれを眺めつつ、部屋の中を軽く見回っていった。

「随分と広い空間だ。なるほど、ここならば何をしようとも外には漏れないか。
 さて、では話に入るとしようか。器具も見せてもらいつつ……ああ、どういう機能かも見せてもらわないと困るが。
 邸の仕掛けや玩具の話でもするとしようか。まずはおすすめを聞いておきたいが」

アダンは下卑た視線を少女に向けた。特に隠す様子もない。
そして邸の見取り図を取り出して広げて見せた。
貴族の別宅とあってかなりの広さである。長い廊下に階段、更には地下室なども設けられている。

ミリーディア > 今日のような依頼は初めてではない、今までどれだけあったのかと問われても、答えられない程だ。
それだけ、この国のお偉いさん達はそんな事に金を使っている、そんなところなのだろう。
そして、その依頼を受けるのが少女だ…この男も、その辺り何らかの考えもあるに違いない。
あくまでも、予想ではあるが…可能性で考えれば高いだろう。
だから引き受けない、そんな事はしない。
別にそんな考えがあろうと、実際に行動に移そうとも、それも自分にとっては楽しめるかもしれないものだ。

「いくつもの依頼を受けていけば、色んな連中に会う。
何度も何度もやっていれば、物事を100%確実にこなすなんて不可能ってのも分かるものだ。
ま、内容が内容だ、努力ってよりも楽しませて貰うさ」

尊大な態度をどれだけ示そうと、少女の反応は変わらない。
そんな人間なのだと理解していれば、気にするだけ疲れるのだと知っているから。
最後の言葉には、冗談交じりにか、肩を竦める様子が後ろから見えるだろう。

到着すれば、部屋の中央まで移動をする。
周りを見回せば、ほとんどの魔導機械が見渡せる感じか。
そこに設置されたテーブルの四方に置かれた椅子の一つ、それに腰掛けた。

「なかなかのものだろう?こうでなければ、好きに出来ないのでね。
まずは、見取り図を見せて貰おうか。
邸の仕様が分かれば、どの魔導機械が合い、どう改造すれば良いかの予想がし易い。
…そこらの説明が欲しいなら、その後にしてやろう」

座ったまま、テーブルに広げられた見取り図に視線を落とす。
その図の廊下、部屋、地下室、一つ一つを見てはところどころに置かれた玩具へと視線を向けている。
それは、どこに何を設置するか、それを考え確かめているのは見て分かるだろう。

それも、少し経てば終わる。
こんなものか、と言った感じに、視線を男に戻せば椅子から腰を上げた。

「大体の設置の案は決まった、それは後で伝えるとして…
ここの玩具の説明だったね、せっかくの機会だ、まずはそれを教えてやろう」

と、そこで言葉を終え、視線を辺りの玩具へと向ける。
見て分かる張型っぽいものや、首輪やリングを象ったもの、そういった小物だけでも形が違ったりして結構な数がある。
他には見た目は普通の衣裳に見えるものから、明らかに露出度が高いもの、明らかに衣裳の材質が違い仕掛けがあるだろうと思わせるもの、それもまたいくつもあった。
更には大型の椅子や寝具や磔台に拘束具が付いたもの、形の変わった台に鞍のようなものが取り付けられたもの、等々。
数えればかなりの数があるだろう。
さすがに、これ全部の説明を事細かく聞いたりすると、日が過ぎてしまいそうな感じだ。

アダン > 「ああ、それでは――」

そう言って、少女に邸の見取り図を見せる。
ある程度時間が立つと、彼女は見取り図から目を話した。
大体の計画はできた、ということだ。
次はそれをこちらとすり合わせ、こちらの意見も申すという段階だろう。
だがそれについては時間もかかる。先に玩具の説明を受けることとした。

「ほうほう、これはこれは。中々趣味が良い。
 だがこれ全てを説明させるというのも酷だな。では私が幾つか選ばせて貰おう。
 それを君自身の体で説明してもらうとしよう」

アダンはあっさりとそう言い放つ。
元々隠してはいなかったものの、彼女の体も今回目当てであったということだ。
地下室での一夜は未だ始まったばかりであった――

ご案内:「王都マグメール 王城内研究施設」からアダンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城内研究施設」からミリーディアさんが去りました。