2017/08/20 のログ
ご案内:「王城 地下牢」にナミさんが現れました。
ナミ > ―――――此の国の言葉が、全く理解出来ないという事では無論、無い。

では何が己の口を閉ざさせるかと言えば、問われている其の中身が、
然して容量も多くない頭の何処を探っても、何処にも見つけられないからだ。

肌身離さず携えていなければ、存在すら希薄になってしまう分身たる「薄氷」を用い、
衣紋掛けに掛けられたキモノのように両腕を縄で拘束され、「薄氷」の両端から天井へ、
二本の鎖が伸びており、喩え己がそうしたくとも、座る事も、寝そべる事も許されない。

裸で過ごしたところで、寒さに凍える季節では無いけれど―――
キモノの襟を背中側へ大きく寛げられており、前も殆ど肌蹴た格好で、
辛うじて帯が纏いつく腰辺りだけが隠されている状態。
やや前のめりに項垂れた己の、曝け出した白い背に―――また、一閃。
新たな鞭痕が紅く刻まれて、己の身体は緩やかに撓り、唇からは微かに、
呻くような声が零れ落ちる。

ときに日に数度、十数時間も掛けて行われる尋問だが、
今まで、責める側にも、責められる己の側にも、実りと呼べるものは皆無。
強情な、と荒い息の合間から罵られたが―――強情、も何も。
何故、どうしてこんな目に遭わされているのか、此処がそもそも何処なのかさえ、
己には碌すっぼ、認識出来ていやしないのだ。

ナミ > 誰にとっても得など欠片も無い儘に、牢獄の夜は更ける。

やがて、此の身が意識を手放せば、拘束具の一部に利用されていた刀は消え失せ、
結果として己の身体は、此の拘束からも解放される事だろう。

そうなれば責め手も致し方無く、己を此処へ放り出して出て行く筈。
―――――後には己と「薄氷」だけの、冷たく穏やかな一夜が残るのみ、と。

ご案内:「王城 地下牢」からナミさんが去りました。