2017/07/19 のログ
ルシル > (遠く、宴に興ずる人々の声が聞こえる。
人目につきたくない、というよりも、誰かに見つかって、
この穏やかな時間を奪われてしまうのが厭だった。

だから己が向かうのは、より静かな東屋の方角。
蒼い闇にひっそりと沈むようなたたずまいのそこへ辿り着くと、
ひた、と足を踏み入れ、小さな石造りのベンチへ腰を下ろす。
両手を膝の上に揃え、やや湿った風が緩やかに髪を弄ぶにまかせて、
しばし、部屋の中に居ては決して見られない星空を眺めて過ごすこととし)

………青いお星さま、ひとつ。
白い、お星さま……それから、あっちは……

―――――あかい、お星さまは…すこしだけ、こわい。

(まるで己の瞳の色のような、煌めく紅。
何故、それが恐ろしいと感じるのか、誰かから植えつけられた感覚か。
それとも、本能に刻まれた、己自身のものなのか。
―――――どちらでも良かった。どちらでも、同じだと思えた)

ルシル > (部屋を出てくる時、見張りは誰も居なかった。
けれど深更の頃ともなれば、誰か一人ぐらいは己の部屋へ、
様子を見にきてしまうものらしい。

しばらくの後、肩をいからせて東屋へ近づいて来たのは、
―――――ああ、よりにもよって、一番己に悪戯をしたがる召使だ。

ほんのすこしだけ、憂鬱、な気持ちになりかけたけれど、
久しぶりの外の空気を吸えたのだし、我慢すべきかもしれない。

己の名前すら呼ばず、無遠慮に腕を掴んで引き摺って行こうとする、
赤ら顔の男に連れられて。

ささやかな自由は、こうして、あっけなく終わりを迎えた―――――。)

ご案内:「王都マグメール 王城 庭園」からルシルさんが去りました。