2017/04/25 のログ
ご案内:「王城 併設の教会」にツァリエルさんが現れました。
■ツァリエル > 王城に併設された教会、豪奢なステンドグラスや飾りなどから陽光が差し込む中
ツァリエルは長椅子の一つに腰掛けて今日の日課である祈りを済ませた。
祈りの内容はたいてい、この国の先行きを憂うもの、人々の平穏がいつまでも続くようにといったことだった。
だが神は応えてはくれない。
自分の信仰心が足りないから神からの声が聴こえないのかもしれないが
今は昔ほど熱心に祈ることができなくなってきてしまったようにも思う。
ほう、とため息を吐き壇上のノーシス主教の御印を見つめる。
自分こそが迷える子羊のような気もした。
ご案内:「王城 併設の教会」にカレンさんが現れました。
■カレン > (ギイ、と扉が若干きしんだ音を立てて開く。
入ってきたのはプラチナブロンドの女騎士。
胸には勲章を付けている)
はぁ…
(大した武勲もないのに、
「貴族だから」という理由でまた勲章を与えられてしまった。
富める者が益々富み、飢える者は飢える世界。
少々ナーバスになってここに立ち寄ったのだが)
…先客か…?
■ツァリエル > きしんだ音を立てる扉に驚いてそちらを振り向くと
そこには美麗な騎士が勲章を付けて入ってくる最中であった。
差し込んだ陽光を受けてプラチナブロンドが輝く。
その美しさに見惚れてまじまじと相手を見つめてしまったが
はっと正気を取り戻すと、慌てて視線を足元に落とした。
信心深いものでもなければ滅多にここには訪れない、
だが今日は自分以外にも人が着たことに少々驚いたのもあった。
彼女がこちらへ向かってくるなら軽く会釈をするだろう。
■カレン > ん…
(少年の視線に気づくが、目をそらされてしまう。
会釈には視線だけで軽く返す。
コツコツと軍靴の音を響かせながら祭壇へ近づく。
片膝を落とし、両手を組んで、しばらく祈るだろう。
そして立ち上がると、少年に声をかける)
君はここの修道士…か?
だったら頼みごとがあるのだが。
(少年に向かってそういった)
■ツァリエル > 「は、はい。何か御用でしょうか?」
慌てて椅子から立ち上がり、
自分がここの修道士ではないことなど忘れて姿勢を正す。
突然現れた美女に声をかけられたばかりか
頼み事を頼まれるとは思ってもおらず緊張した面持ちを向ける。
ただ彼女が祭壇に向かって祈っていた姿から自分と同じように
信仰心を持っているのだろうことが伺えて密かに感心した。
さて、その騎士の頼み事とは一体なんだろうか。果たして自分に務まるだろうか。
■カレン > (少年の様子に、ふ、と微笑んで)
なに、大した頼みではないよ。
これを金に変えて教会への寄付としてくれ。
名前は誰にも知らせなくていい。
(そう言うと、カレンは懐から高価そうな箱を取り出す。
蓋を開けて少年に見せる。
中に入っているのは、素人目にもわかる、高価な宝石の付いた髪飾り。
先程の叙勲で貰ったものだ)
私は髪飾りを付けない主義でな。
(そう言って再び微笑むのだった)
■ツァリエル > 女騎士が懐から取り出した高価な箱、その中身は宝石がふんだんにあしらわれた細工物の髪飾りだった。
その中身と彼女の顔とを交互に見比べて戸惑ったように声を上げた。
「え、でも……
いえ、確かに教会は寄付を受け付けておりますが
ですが……そんなに綺麗な御髪なのに髪飾りをおつけにならないなんて
もったいないです……」
綺麗な細工を施された髪飾りに彼女のきらめくプラチナブロンドが結い上げられた姿は
さぞパーティーなどで華やかに見えることだろう。
そんな想像をしてしまい思わず自分の気持を先に伝えてしまったことに
恥じ入って頬を赤らめた。
信者からの信仰心による寄付なのだから黙って受け取ればよかったのだ。
「ご、ごめんなさい不躾なことを申しました。
ではありがたく寄付を受け取らせていただきます。
ですがせっかくなのでお名前を伺ってもよろしいでしょうか?
もちろん、公にはいたしません」
そう言って箱の中身をそっとうやうやしく受け取ろうとする。
■カレン > (少年の言葉に思わず吹き出してしまう)
ぷっ…ははははっ。
そうか、私の髪を気に入ってくれたのか。
ありがとう。
素直でいい男だな、君は。
(少年の憧れになる、ということはあまり経験になかった。
しかも、事もあろうに王城の教会の修道士である。
更に、この少年、中性的で非常に美しい。
悪い気分ではないどころか、こちらまでときめいてしまいそうだ)
そうだな、君がどこぞから盗んだと疑われたら困るからな。
私はカレン。クラフト家のカレンだ。
君の名前も聞いていいだろうか?
(蓋を閉めた箱を手渡しながら尋ねる)
■ツァリエル > 笑いだしたカレンにますます顔を赤くする。
おかしなことは言っていないつもりだが、少しばかり大胆だったかもしれない。
箱を受取ると祭壇脇の机にそれを乗せ、誰からの寄付かわかるように
ノートに記帳する。聞かされた名前を口の中で繰り返した。
「カレン……クラフト家のカレン様……。
はい、ありがとうございます。
僕、ですか? ツァラトゥ…… いえ、ツァリエルと申します、カレン様。
どうぞツァリとお呼びください」
そう言ってちょっと恥ずかしそうに微笑んだ。
クラフト家といえばたしか男爵級の貴族の家系だったような気がする。
礼儀作法で叩き込まれた貴族の家名の知識が今少しだけ役に立った。
■カレン > (赤面する少年に、
「この国にもまだこんな純真な存在がいたのだな」
などと考えてしまう。
そして、その純真さに強く惹かれる自分もいるのであった)
ツァリエル…ツァリ、か。
覚えておこう。
ここに修道士を見かけることは少ないからな。
寄付は君を通じてするとしよう。
(そう言って、カレンに勝るとも劣らない、美しい髪の頭を撫でようと手を伸ばす。
瞳に宿った光に知性を感じた。
純真で聡明で美しく、年相応の欲望もある少年。
言葉遣いなどから見て、恐らく身分はそう高くないであろう。
もっと関係を深めたいという気持ちがあった)
■ツァリエル > そっと女騎士の手が自分へと伸ばされ頭を撫でられる。
年上の女性に、しかもこんな美人に頭を撫でられるなどという行為は
恥ずかしさをさらに煽ったが、その手を振り払おうとは想わない。
今は亡き母を思い起こさせる温かい手は抗いがたいものだった。
「ありがとうございます、カレン様。
僕もいつもここにいるとは限りませんが……
もし居た場合はいつでもお受けいたします」
結局ここの修道士ではなく王子であると訂正することができなくなってしまった。
だが気安く自分へと接してくれるカレンの存在は貴重なものであり
それならば身分を明かすのはどうしても控えたくなってしまう。
いつまでも頭を撫でられていたい心地よさをそっと押し殺すように身を離すと
祭壇脇に活けられた花に手を伸ばす。
その中から一輪、白百合を抜き取ると
「カレン様、髪飾りには劣るかもしれませんが
もしよければこれを。貴方様の髪にぴったりだと思ったのです」
そう言って彼女の髪にその白百合をさそうとする。
■カレン > (柔らかな髪を撫でながら、カレン本来の欲望が疼きだしてしまう。
しかし、ここでは、今は、抑える。
純粋さは壊れやすい。
壊してしまいたくないという気持ちがある)
そうか。
では、今日のこの出会いを、主に感謝しよう。
そして、また出会えるように祈ろう。
(己の手から離れた少年が手にしたのは白百合。
微笑みながら、床に膝をついてそれを受け入れる。
少年の心がこもった白百合は、
あるいはこの国ではいくらの金貨を積もうと買えないものかもしれない)
ありがとう、ツァリ。
正直、今日はうんざりすることが多かったが…
君という存在が、私に笑顔をくれた。
そしてこの国も、教会も、まだ捨てたものではないと思えたよ。
(あいにく手鏡は持ち合わせていない。
軽く左右に顔を傾け、白百合の髪飾りの調子を確かめる)
ツァリ…少し抱きしめさせてもらっても?
(ハグ程度なら許されるであろう。
それは喜びと感謝の表現である)
■ツァリエル > 「とってもおきれいです。鏡はありませんがガラスに映って見えるかもしれません」
思った通り、彼女のブロンドヘアに白百合はうまい具合に映えた。
髪に白百合をさしたカレンはまるで神話に出てくる戦乙女のように美しく可憐に見えた。
窓ガラスにはそんな彼女の姿も映って見えるだろう。
カレンからもったいないほどの言葉を貰えば、慌てて両手を振って恐縮する。
「そんな、僕こそカレン様とお会い出来て光栄ですし
神がもたらした出会いに感謝しなければなりません。
でもそんな風に仰って頂けたのなら、一人の人間としてとても嬉しいです」
カレンの微笑みにつられ、自分もまたほほ笑みを浮かべる。
抱きしめさせてもらってもいいか、と問われるとすこしだけびっくりした様子で固まるが
カレンがしたいということなら断る理由はなかった。
もじもじと足元を見ながら小さくこくりと頷いて、両手を広げてカレンを受け入れようとする。
■カレン > ありがとう。
ああ…私にはもったいないくらい、きれいな髪飾りだ。
(窓ガラスに映った己と少年は、まるで一枚の絵画のようであった。
薄汚れてしまっていた心が洗い流されたためでもあるだろう)
ふふっ…私はそんなに大層な人間ではないのだがな。
君の気持ちは嬉しく思うし、君にそう思ってもらって嬉しい。
だから…これは感謝の証だ。
(言いながら、ツァリエルを抱きしめる。
ちょうど、胸で顔か頭を包む形になるだろうか。
華奢だが骨格から男であることがわかる。
ただ、修道士として似つかわしくないほど、高貴な香りが鼻をくすぐったのは気のせいだろうか?
しばし体温の交換をした後、体を離す)
ツァリ、また会おう。
きっと、主が導いて下さる。
(そう言って片目をつぶる。
再び軍歌をカツカツと鳴らしながら、教会をあとにするのであった)
■ツァリエル > 「僕の方こそ、大した人間ではありません。
でもカレン様の心をお慰めすることが出来て良かったです」
そっと抱きしめられる胸の中、柔らかな女性の香りが鼻を抜ける。
その匂いにドギマギしながら、ぎゅっと優しくカレンを抱きしめ返す。
互いの温かい体温が混ざり合い、ほっと安堵するような居心地の良さが生まれた。
しばしの抱擁の後、そっとお互いの身体を離す。
名残惜しい気持ちでいっぱいだった。
「はい、また是非。
カレン様に神のご加護がありますように……。お気をつけて」
去りゆく騎士に、ツァリエルは頭を下げてその姿見えなくなるまで見送った。
身体全体に残った彼女のぬくもりが寂しかった心を温めてくれたようだった。
ご案内:「王城 併設の教会」からカレンさんが去りました。
ご案内:「王城 併設の教会」からツァリエルさんが去りました。