2017/04/20 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2」にシャドウさんが現れました。
■シャドウ > 灯台下暗しと言う奴なのか、それともお屋敷で取引するのに何か不味い事でも有るのか、其処まで追求はしなかったが、今宵のお客様は王城の中での取引希望で、今はその取引の後の気晴らしに王城の中でも街を一望できるバルコニーで一息ついているところである。
自分は善人でも天使の類でもないのは理解しているし、欲望に忠実で腹黒いのも自覚している、が今宵の取引相手はそれ以上に腹黒く、危うく予想以上の出費をする所で、思わず久々に取引相手を殴りそうになった。――で、今現在の両腕はそれに相応しい仕様になっている。
(ガチャ、ガチャ…………)
バルコニーとお空の境界線である手摺を掴む両手は重苦しくもまるで宵の闇を煮詰めたような黒く重たい色の甲冑に包まれ、指の一つでも動かそうとすれば色合いに負けぬほどに重たく甲高い金属同士が打ち合う音をさせてしまう。
禍々しい意匠の甲冑、普段なら余程でない限り使わないソレを纏っていると言うだけで推して知るべし、機嫌も悪く、眉間には皺をきつく寄せて渋い表情で夜景を眠らぬ城下町を眺めているのだった。
――無論口には煙草モドキ、青紫色の不可思議な小さな火を先端に灯した何時もの奴を咥え、唇の片側を酷く不愉快そうに歪め吊り上げている。
だからだろうか、稀に通り過ぎる貴族達がちらと此方に視線を向けるのを感じるが、誰一人として声をかけてくる者はいないし、王城で働く客をもてなすのを仕事としているメイドでさえも近づこうとしないのだった。
■シャドウ > 煙草モドキが青紫色の火の灯る先端からホロホロと黒ずみになり、時折吹く生ぬるい夜風に触れて崩壊していく。
それは同時に両手に装着している禍々しく忌々しい甲冑の崩壊も意味し、同調したように同時に崩れていき、最後には煙草モドキも両手の甲冑も跡形も無く消え去っていた。
ので、バルコニーの手摺を掴むのを一旦止めて、振り向く事で逆に今まで掴んでいたその手摺に背中を預けるようにして体重をかけると、やっと開放された両手を組んで両腕を胸と水平の高さで前に突き出してググっと伸びをしてみせる。
「……やれやれだな。我侭は相手を見て言ってほしいものだ。あれか、あれか、オレはそんなに弱く見えるかね?荒事に自信があるから護衛つけてないんだけどなー……。」
言葉と共に吐き出す吐息は煙草モドキの名残かかすかに青白く、寒さ厳しい季節に吐く吐息のように立ち上り宵闇に紛れて消える。
んで、今度は首を左右にかしげて捻り、コキコキと凝った部分を解し始めた。
先程よりも浮べている表情はたぶん緩いだろう、がまだ眉間の皺は消えてはいない。
■シャドウ > 暫くのんびりとした時間を過ごしていたが、不意に眠気が襲ってきたのか大あくびを噛み締めると、右手を首に添えて再びコキコキと首を鳴らして解し、それを終えると足早にバルコニーから立ち去っていくのだった。
ご案内:「王都マグメール 王城2」からシャドウさんが去りました。