2017/04/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2」にホウセンさんが現れました。
■ホウセン > 今宵、小さな妖仙の姿が見かけられたのは、王城の中。
いつぞやの様に、人外の存在であることを誇示するような現れ方はせず、王城に拠点のあるやんごとなき誰彼かに招聘された商人――形式上は、商人の名代――として正面の城門から内部へ。
用件はといえば、特筆するような事柄は無い。
帝国由来の嗜好品を幾つか手配するよう命じられただけだ。
ならば、店に人でも遣って注文すれば良いのだろうが、其れは其れ。
貴人たるもの相手を呼びつけ、招かれた者が飛んでくるのを見て己の権力を再確認するという形式的且つ自己満足の為の儀礼的要素が一因となっている事に間違いは無い。
「…とはいえ、律儀に付き合うておる儂も儂じゃがのぅ。」
用件の途上での中座。
本来ならば許されぬ無体だけれども、今日の用件に限っては許される。
というより、商売相手の方が咎めるに足るだけの意識を、商人に向けていない。
御用聞きの場であった地下室から階段を登ること暫し。
階段を隠すための隠し扉から逆行し、件の貴人の執務室でぼやきを一つ。
■ホウセン > 咎め立てされぬ理由の大半は、用向きによるところが大きい。
陶器や香料といった注文に紛れていた、帝国産の”嗜好品”。
何のことはない、帝国産の”性奴隷”だ。
呼び出されたのは他でもなく、新たな商品について事細かな客人の好みを聞かされたというのが半分。
もう半分は、一月前に納入した”商品”が、貴人の手によって如何に花開いたかを自慢する為だった。
どちらかといえば、後者の方に重きが置かれているように目しているけれど、言わぬが花という奴だ。
かくして、ひとしきり”芸”を妖仙に観劇させた貴人は、己の持ち物を愛でる事に意識の傾斜を深め、気を利かせた風に妖仙が部屋を辞したのだ。
「ま、自己顕示欲の類は、多かれ少なかれ持ち合わせておるものじゃろう。
故に、可愛いものだ…と思えなくもないが、如何せんあまり手際が良いとは言えぬのが難点じゃ。」
むぅ、と小さく唸る。
妖仙の調合した、一応は合法の範囲に入る精力剤を服用している事もあり、地下室の狂宴は暫く続くだろう。
扉の近くで事が終わるまで聞き耳を立てて待ち侘びるというのもいたたまれず、執務室の来客用のソファに腰を掛ける。
暇潰しの種が何処からか転がり込まぬものかと、他力本願。
幸か不幸か、傍流とはいえ筋を辿れば何処ぞの王家に連なる者の部屋だ。
所用のある人物が来訪しても不思議ではあるまいが。
■ホウセン > 妖仙の不確定な希望は叶うことはなく、何事もない平穏な時は過ぎて――
ご案内:「王都マグメール 王城2」からホウセンさんが去りました。