2017/03/28 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2」にシチューさんが現れました。
■シチュー > (王城の昼下がり。城内のあちこちにある応接間の前に半獣のメイドが立っていた。中には主と、他の貴族が大切な会談をしている。人払いされ、廊下で待つように命じられたのだが……)
……。……、……っは!
(王城に努めているメイド達の目も、他の目的で登城している貴族の視線もあるというのに、どうして今日はこんなに眠たいのだろう。背を伸ばし両手を前にして、清楚で忠実なメイドを演出しようにも睡魔と待機時間に負けて、知らず知らずのうちに船を漕ぎかける。垂れそうになった涎をささっと拭うと、また元の忠実なるメイドに戻る。そして、再びうとうと、船を漕ぎ始め)
ご案内:「王都マグメール 王城2」にリンさんが現れました。
■リン > 普段はせせこましい商売で生計を立てているが、身なりを整えればそれなりになるだけに
リンは王城の人間にもちょっとしたコネがある。
今日足を運んだのは、そういった“後援者”の一人に呼ばれたからだった。
「迷った……」
しかしそう頻繁に訪れるわけでもないし
王城と言うのは外敵対策かやたらと複雑な構造になっていた。
あまり熱心にやりたい仕事が待っているわけではないが、相手を待たせるのも問題だ。
困ったように視線を彷徨わせた先に、どこかで見たようなメイドの少女が居た。
「…………」
迷った末に近づいて、その頬を指でつついてみる。
■シチュー > すう……すう……。
(とうとう立ったまま寝てしまう。人間も半獣も、限界が来れば立ったまま眠れるのだ。ぺたんと伏せったケモミミは睡魔に対しての全面的な降伏のしるしであった。今日の王城の廊下は平和で、剣戟の鉄と鉄が打ち合う音もしないし、貴婦人の言い争う声も、毒を盛られた男が突然倒れるよな気配もない。廊下に面した庭園からは小鳥の鳴き声、園丁が手に持つ鉄鋏で余分な枝を切る音が遠く聞こえる。加えて穏やかな青空なのだ。そんな風景の中、いつか捕らえた事のある少年が、その時とは見違えるよな格好で現れ)
……。んーう?……んー……。すー……。
(立ち居眠りのまま、ぽいん、と頬が揺らされた。作ったばかりのフルーツゼリーか杏仁豆腐めいた感触が相手の指に伝えられ。一瞬、短い眉がぴくりと動くが、ケモミミを震わせたら寝言じみた声を漏らし。再びこっくりこっくり)
■リン > 「お疲れの様子だな……」
あまりにも気持ちよさそうに眠っているので、なんとなく起こすのを躊躇ってしまう。
くわえてこの頬の触り心地よ。ついつい当初の目的を忘れてふにふにと
頬に円を描くように指を動かしてしまう。
汚れた王国にあっても穏やかな陽気と頬の感触が、リンの気分を少しは柔らかくしていた。
傍目に見れば、どこかの貴族の子息と侍女が戯れている平和な図だ。
「起きなさいって」
頬に満足すると、撫でやすい位置にある獣耳の後ろを軽く撫でて、
先端を摘んで軽く引っ張ってみる。さて、目覚めるだろうか。
■シチュー > ……。んー、……んふふ……。もう、ご主人さま……。
(彼が頬に円を描くまま、何やら楽しげにもにょもにょ呟けば、口元がにへらっと緩み。ふにふにと相手が指をなぞるだけ頬肉が弾む。機嫌良さげに尻尾がくねくね。上半身がユラユラと危なっかしい)
あ……ふああああ!――えっ、えっと……?
(獣耳はひどく敏感だった。撫でられた瞬間、ぴーんと尻尾は毛羽立って背筋も伸び。目を開くと全身鳥肌で踵が上がる。目の前の人相を見れば、その礼服姿はどこかの御曹司のようで。一瞬それが誰かわからず、目を瞬かせたままぱくぱくと口を開いたり閉じたり。白い犬歯を覗かせた)
■リン > 「やあ、ご主人様だよ。
駄目じゃないかシチュー。そんな様子じゃこそ泥ねずみの一匹も捕まえられないぞ?」
目を丸くするメイドに、皮肉げに笑って、頭頂部をぽんと叩く。
髪も服も身のこなしも、泥棒などのケチな行いをするような人間のものとは思えない。
咳払いを一つして、首元のチョーカーのあたりを搔く。
「あれから反省してね。まじめに“働く”ことにしたんだよ。
それはさておき、道に迷ったからヒマなら案内してほしいんだけど。……」
白々しい口調。
リンの尋ねるさる女性貴族の居所はここからは少し遠い、反対側の区画だ。
シチューは知っているかもしれないし、知らないかもしれない。
■シチュー > ……は!思い出した!リン!
何がご主人様だよー?一度捕まってたくせにー。
(後頭部に触れられたら、フーッ!と髪を逆立てて相手へ半眼で見上げ。しかしここは王城だし、彼は来賓であって自分は侍従である。居住まいを正して背筋を伸ばし直して。船を漕ぐうちに軽くほつれた髪を手櫛で通した)
へぇー?へぇー?まじめに?その「働く」のところだけ発音がぎくしゃくしてるよ?
でも、見間違えたなー。きっちり服着たらカッコついてるじゃん。
(白々しい口調には疑惑の視線。言外に「なにかわるいことしてそう」と十分伝わる。彼が尋ねる女性貴族の名を聞けば、ぽよんと睫毛を弾ませ。)
ああーその人のお部屋なら知ってるよ。でも、ご主人様がこの部屋の中でお話してるとこなんだ。あんまり遠くまで離れちゃだめだから、途中までなら案内できるよ。
(彼に一歩先立ち、豪奢な金色の刺繍が両縁を彩るカーペットの上をそちらへと歩く。ゆる、と尻尾を振ってふりかえれば、軽く首を傾けた)
■リン > 「さて……そんなことあったっけ?
都合の悪いことは忘れよ、というのが座右の銘でね。
まあ一種のサービス業? みたいな」
威嚇する少女に、大げさに両手を揚げ苦笑いして後ずさる。
サービス業などと口にすると、露骨に目が泳いだ。
まるきり嘘でもないが真実も口にしていない。
「フフ、いけてるだろう、惚れてもいいぜ?
本当はこっちが本業だったからね」
シチューの言葉を受けて得意げに口元を歪ませる。まんざらでもないようだ。
「熱心に仕事してるところ悪いね。うん、それで充分さ」
素直にメイドの一歩後ろを素直に追従する。揺れる尻尾をなんとはなしに目で追い。
■シチュー > まったく調子がいいなあ。
そういうとこがリンらしいけどさ。
サービス業……サービス業……違う、この匂いは……女の人を騙しちゃう匂い……!
(両手を腰にあてて、どこか呆れた口調もそこそこ。くすくすと肩震わせて笑顔になり。しかし、明らかに不正の香りがする業種の名前を聞けば彼のまわりを一周しながら鼻をくんくん上下させた後、正面に戻って人差し指でびしっと相手の眉間を指して告発した)
……。警備さーん、警備さーん。
ここに口を開いたとたんに三枚目になっちゃう残念な人がいまーす。
(糊のきいたシャツの襟口や流行りの型のタイに憧れめいた視線をしていたのだが、得意げな口調を耳にして再び半眼。わざとらしく王城を警らする巡回兵を呼んだ)
いいよ、王城案内も侯爵家のメイドとしての努めだもん。
今のリンは来賓客だから、僕より立場は上だし。
ところで、こそ泥さんからその礼服を着るようになるまでのストーリーを軽く聞いてみたいな。
(熱心に仕事……のくだりが心にささったらしい。機嫌を良くするとにこーっ、とばかりに笑顔になった。目で追われている事も知らず、左右に長い尻尾をふりふり、廊下を奥へと進んでく。雑談を強請りながら)
■リン > 「わあ、待ってくださいシチュー様。シチュー大納言様お許しを」
シチューが人を呼びはじめると礼服の着こなし程度には
板についた腰の低さに変わって、機嫌を取る声色を使い始める。
台無し加減がスノーボール状態だった。
「そうそう。不本意にもきみの家の備品を
無断借用してしまった過去のことは忘れたほうが互いに幸福のはずだぜ。
……あ、スカートが尻尾でめくれ上がってるよ。嘘だけど」
ころころと豊かに表情を変える様子は、見ていてこちらも顔が綻ぶ。
来歴を聞かれて、歩調を緩めて上着の裾を握り、窓の外の遠くに視線をやる。
「ああ、こう見えてもともとは地方領主の息子でね。
それも今は陰謀でお取り潰し……残ったのはただの平民以下の小僧と礼服一式ってわけ。
ここに来たのもかつてのコネさ。
今のこれは、もはや仕事着でしかないけど……」
磨かれた靴の底で、ゆったりと絨毯の毛を撫でながら、
トーンを落として昏い表情でつらつらと語ったかと思えば、
「……って言ったら信じる?」
一瞬で人を喰ったような笑い方に戻った。
■シチュー > (シチュー大納言が再びささって、いよいよご機嫌になって獣耳をふるふる揺らす。半獣は単純だった。なんだか嬉しそうに頬が薔薇色になった)
そうだね過ぎた事だしー……、うわあ!?うそっ!
……ってウソかああ!!
(とにかく今は来賓と侍従の上下関係だと、相手の言葉に頷いたものの。続いた台詞には慌てた声が跳ね、両手でスカートの後ろを抑えた。――嘘だと知れば、悔しさに顔を真っ赤にして。ぱーん!と猫パンチを一撃お見舞いし)
そっかそっか……。リンも色々苦労したんだね。
泥棒さんやめて、一からやりなおしに来たんだねー。
(不意にシリアス口調になって頬に影落としつつの語り口調にころっと騙され。眉根を下げて慈しむ表情で相手を見上げるが……)
本気で信じてたよ今の一瞬だけ!
(口端まで裂けるいやらしい笑顔を見れば両手のこぶしをぷるぷる震わせて両目を釣り上げ。エナメルのシューズの右足で彼の革靴を思い切り踏みしめた)
■リン > 言っている本人も意味の分からないおだて文句で
機嫌を取り戻してしまうあたりやはり所詮はおこさまミレーらしい。
などと調子に乗っていたら猫パンチが人中に入って「あべっ」とのけぞった。
「ってて。
シチューくんは随分と純真でかわいいね……ッあひぃぃッ!?」
さらには小馬鹿にする笑い方に、怒り心頭に発した踏みつけをまともに食らって
あまりに情けない悲鳴を漏らしながら、彼女の目の前に跪くような姿勢になってしまう。
これはもちろんウソではない。
痛覚の集中する箇所なのだから当然と言えた。少しの間歩けないだろう。
「ひっ、ひどい……」
涙声。
声を聞きつけ人が来る気配はないのが、幸運か不運かはわからない。
■シチュー > (あべっ、なんていう良きリアクションに気をよくしたらしく。パンチについでキックする予定をキャンセルした。腕組みしつつ振り返っては、僕以外にそういう事言わないように、などと何故か上から目線で説教とか始めるあたりがおこさまやも)
かっ、かわいいとか言われても……。
え、え?だいじょうぶ?あれ、強すぎた?
(そういう褒め言葉に滅法弱いのか、先とは別の意味で頬が軽く赤らみ。瞬きを繰り返す事で照れを誤魔化した。急に跪かれ、驚くと同時に身が縮こまる。獣耳を伏せながら、両手をわたわた忙しなく動かしては慌てて彼を不安げに覗き込み。)
ごめんリン……ひどく痛むの?
■リン > 「強すぎた? じゃないよこのお子様……ぅぅ……
あのね? ここはね? ちんちんと同じぐらい全力で踏んじゃいけない場所なの。覚えて?」
声が演技の余地を差し挟むことなく震えている。
かなり怒りたかったが痛さで気が萎えてしまっていた。痛さにはかなり弱いほうである。
スゥーハァーと深く呼吸してなんとか痛みを和らげようと試みる。
もう一度立ち上がろうとして、失敗。
「もう駄目かも。骨折れたかも。いや、指の一本や二本は取れたかも……
あー、これから仕事あるのになー。責任取ってもらわないとなー。
優しくて可愛いメイドさんが丁寧に介抱してくれないと二度と歩けないかもなー」
様態をかなり盛って、涙目でメイドのエプロンにすがりつくようにして相手を見上げる。
情けなさ全振りである。舌を動かす余裕ぐらいはあるらしかった。