2023/07/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にアマーリエさんが現れました。
アマーリエ > 嗚呼、出かけたい。なのに、出かけられない。
自発的に果たしたいと思う使命や義務を抱いていれば、心焦れて。
遣りたくもないのに遣らされているときは、苦痛を抱いて。

――結果椅子に縛り付けられるというのは、とても。

「……やってられないわ。投げていい? ダメ?」

――そんな感想に終始してしまいたくなる。
斯様な内心をため息とともに吐露されるのは、王城に数ある個室のうち、執務室として師団長に対して宛がわれた場所だ。
師団の本拠にも執務室はあるが、城内各所との交渉が伴う案件や、個人的な休憩用として機能するように整えている。
壁に大きな書架を並べ、バルコニー付きの窓を背にして据えられた大きな机には書類が高く積もる。
雑然としてではなく、一応は整えられた形で積もっているのは、部屋の主の几帳面さが僅かには伺える。

だが、それを単身で片すには、どれほどの時間がかかるのか。
侍従含め専門の者を雇い、取り立てれば良いのではあるが、二の足を踏むのはその分の費用を軍備に少しでも回したいが故。
上の者の骨折りをみえる形で出していれば、下の者も倣わざるを得ないというのは確かだが。

「あー、駄目だわ。あんまり進まないかも。いい加減諦めて予算割かないといけないかもしれないわね……」

机についた女は目頭を揉み、座する椅子を軋ませて天井を仰ぐ。
如何に体力と集中力はあるにしても、一人で諸々を掌握し、管理するのは限度がある。
職務の配分、負担の軽減の懸案は副長含め、常々具申されていたもの。身を軽くする意味でも、いよいよ考えるべきか。
開いた窓から微かに吹き込む風に、夏の暑さの足音を覚えつつ、思う。

アマーリエ > 現状出征の予定は入っていないが、予防名目としての隣国国境への進出、駐留等々。
師団と言う大きな軍団の長としての所感を含め、認めた申請の提出や留守中に堆積した決済や手続きの堆積は多い。
また、師団内から寄せられる陳情のうち、王城での処理が必要と精査されたものがここに回されている。
滞れば部下や配下に皺寄せがゆく、不満が溜まると思うと、頭が痛くなる。
何もかも放り出してしまえばとも思うことがあるが、そうもいかない。務めを果たないものは駄馬にも劣る。

「……と言うわけで、今日の業務は終了。はい終了。終わり、って、わわわ!?」

とは思う。思うものの、何処かで吐き捨てなければ――息を抜かなければ身が持たない。
戦争はその発散、代償行為になる面もあるが、一方で勝手に積もってゆくものがあると、結果として堂々巡りとなる。
近日中にでも副長含めて配下を招集し、専門に対処できるチームの編成をさせよう。
その為に削らなければいけない予算、一時的に減らせる部分は何かは、並行して諮ることになるだろうか。
政とはそういうものである。そんな内心を覚えていれば、吹き込む風の勢いが急が増す。

文鎮で押さえられた書類の山はまだ大丈夫だが、そうではない、机上に放り出したままの書類の束がまくれ上がり、飛び散る。
それを椅子を蹴って立ち上がり、肩に掛かる髪を払って一枚一枚拾ってゆく。

アマーリエ > 「これだけあると、政と大差ないように思えてくるわ。
 ……他所は他所と割り切っているつもりだったけど、んー。見習えるところはあるかしら?」

中央集権的に、諸々の権限を師団長、次点に副師団長に集約するのは即断即決し易い態勢ではあろう。
だが、庶務、事務に関する箇所まで纏めすぎる態勢は今後の軍団運営にとっては、問題がある。
自分が楽するために――という欲目を抜きにしても、雑務の一言でまとめてしまえそうな負荷をどのように減らすかだ。
騎士とは華々しく戦うという印象が歌物語の類から抱けるが、その裏には苦労が潜む。
若造がと、会議などで言われても仕方がない。全部一手に纏めようとするから、余分な面倒を抱えるのだ。

そう思うと、他所の師団の運営体制、内部を知ってみたくなる。興味も沸いてくる。
派閥云々の争いには離れ、関与しないスタンスで居るつもりだが、些少なりとも情報交換の機会を増やすべきか。

「外に飛んで行ってしまっているのは……なし、と。良かった。飛んで行ってたら面倒どころじゃないわ」

散らばった書類を拾い集め、通し番号を確かめて欠けがないことにほっとする。
改めてみれば確認済み、認可済みのものであることを認識したうえで、机上の置き場に運び、重しを乗せる。
未処理の書類の堆積は見たくないが、直視せざるを得ない。

小さく溜息を零し、椅子に座りなおす。気張りなおせば、夕方を回るまでには――片が付くだろう。
そのあとに本拠に連絡を飛ばし、招集をかけよう。自分だけではなく、係るものすべてが楽になるようにするために。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からアマーリエさんが去りました。