2023/05/20 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城」にエヴィータさんが現れました。
エヴィータ >  
紳士と貴婦人の集う場が、そろそろ、雌雄の獣が交わる場へと変わり始める頃。
慣れないドレスの裾を翻し、華奢な踵の靴に難儀しながら広間から抜け出して、
己は本来の目的地である、とある王族の執務室へと向かっていた。

その男は王族の一員でありながら、帝国と結び、ときに魔族の力さえ借り、
ひたすらに私腹を肥やしているのだと、もっぱらの噂である。
しかし噂は噂であり、確証は無い、だからちょこっと忍び込んで調べてこい、と、
――――――指令としては、まあ、おかしくない。おかしくないが。

「この格好、必要だった……?」

露出度の高い、姫君というより明らかに、そういう職業の女性のような。
この格好を手配した上司の趣味を、というより正気を疑いたい気分で、
けれど今更、文句を言っても仕方ないから、事前に教えられたとおりの道順をよちよちと辿っている。
見ようによっては、酔ってしまった女の千鳥足、に見えなくもないだろう。

行きつ、戻りつ、こそこそしているのは、事前情報がいささか頼りないせいだ。
大体このあたりだからね、後は行ってみて確かめて―――――そんな台詞で送り出された、粗略な扱いを嘆くより、
少しでも早く仕事を片付け、とっとと退散したいと思っていた。

そうっと手近な扉を開き、ひとの気配のしない暗い部屋に忍び入ると、
薄いカーテン越しの窓から差し込む月明かりに、目が慣れてくるのを待とうと。

ご案内:「王都マグメール 王城」にメレクさんが現れました。
メレク > 王都マグメールの王城にて王族や貴族に対して、貸し与えられた居室の内の一室。
大半の貴族は領地は勿論の事、王都内にも邸宅を構える事が多いが、
執務を執り行ったり、他者との面会だったり、或いは、一時的な仮住まいとして、
王城内に居室を借り受けており、この部屋も、とある高位貴族の持ち物である。

続き部屋にて二間用意された部屋の片方は大きめの寝室になっており、
もう片方、彼女が足を踏み入れた部屋は、二人掛けのソファやテーブルを始め、
壁際には硝子のグラスや高価な酒瓶が収められた棚などの豪華な調度に飾られた応接間になっていた。
闖入者を迎え入れた応接間は無人ではあったが、彼女にとっての不運だったのは、
部屋の主は留守にはしていなかった事だろう。

彼女の目が馴染み始める頃、奥の寝室の扉が開けば、
ナイトガウンに身を包んだでっぷりと肥えた腹の貴族が姿を見せると口端を歪め。

「おや、コソ泥の類かと思いましたが、……娼婦が迷い込みましたかな?」

片手に持つランプの灯りで彼女の方を照らしながら、その姿を光の下に曝け出すと、
まじまじとその露出度の高い格好と、衣服の内側の身体の曲線を眺め。
寝室から足を踏み出すと、テーブルの上にランプを置きながら、彼女の下に近付いていく。

エヴィータ >  
――――――執務室というより、ここは応接間か。
少しずつ見え始めた家具のアウトラインから、そう推測をつけたところ。
扉の開く音がして、この部屋が続きまであったと知る、より早く。
ようやく闇に慣れつつあった視界を、差し込む光が無遠慮に切り裂いた。
思わず顔を顰め、右手を顔の前に翳しながら、光の差す方へ向き直り。

「―――――――― ぇ、 ぁ」

ほらやっぱり、この格好は誰がどう見ても、そういう仕事の女に見えるんじゃないですか。

そう、心の中で上司に毒づきながら、取り敢えず微笑を取り繕おうと。
明らかに引き攣り気味で、ついでに、じりじりと後退りながらではあったが。

「し、失礼、いたしま、した、旦那様……、
 お部屋を、間違えたようですわ、……ええ、ごめんなさい、すぐ、失礼します、から」

扉は背後にある筈だ、そこへ飛びついてしまえば、あとはこちらのものだ。
そんなことを忙しなく考えながら、じりじりと。
そろそろ、背中が扉にぶつかる頃か。

ご案内:「王都マグメール 王城」からメレクさんが去りました。
エヴィータ >  
【移動します】

ご案内:「王都マグメール 王城」からエヴィータさんが去りました。