2022/11/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 中庭」にリュシアスさんが現れました。
リュシアス > 闊歩する人影も疎らな、夜の王城に響く鉄靴の足音。
城内を彷徨うように歩く騎士の装いをした男がやがてその足を止めたのは、
城の片隅で忘れ去られたように植えられた木々や小さな花壇の花々が息衝く小さな中庭―――
其処が、今夜の巡回ルートの終着点であった。

「本日も異常なし――――いや、」

誰に告げるでも無く、確認のように独り言ちては皮肉めいて小さく笑う。
異常なし、のその言葉の前には、“自分の見て廻った限りでは”の前置きが付く事を、己は知っている。
それでも、その事実を憂うでも無く義憤に駆られるでも無く。
唯胸の内に密やかに仕舞った侭、無人の中庭に設けられたベンチへとその腰を降ろした。

リュシアス > 「………ふーっ。」

ベンチの背凭れに身体を預けるように、踏ん反り返って天上を見上げながら息を吐く。
王城の中庭から見上げる四角い夜空は小さかったが、今夜は晴れていて瞬く星が良く見えた。

「(仕事中で無かったのなら、星空の下で一杯やるか、街を歩くご婦人を口説いていたところだが………。)」

とは言え、流石に今の騎士の装いで其れをおくびに出す程不真面目では無い。
星空を見上げた格好の侭、ぼんやりと思考を遊ばせる事暫し。
不意に、その耳が中庭に面した廊下を歩く誰かの気配を察知したならば、
ベンチから立ち上がった男はすぐさまその佇まいを正し、察知した気配の方へと向き直るのだった。

リュシアス > 向き直った先に認めたのは、王城で働くメイドのうちの一人の姿。
直接言葉を交わした記憶は無いが、互いに王城内で働く中で幾度か見掛けた顔だ。
されども、余程の用事が無い限りはメイドが場内を闊歩するには遅い刻限で―――

「――…今晩は。このような夜更けの時間に、一体どうされました?」

下心や他意の無い、穏やかな口調で投げ掛ける言葉。
しかしどうやら間が悪く驚かせてしまったようで、
身を竦ませる彼女を宥めてから話を聞きだすまでに、暫しの時間を費やす事になるのだった―――

ご案内:「王都マグメール 王城 中庭」からリュシアスさんが去りました。