2022/09/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にルナリアさんが現れました。
ルナリア > 広い王城内には、様々な王族たちが生活しており生活空間も様々である。
王城の奥にひっそりと、鳥かごのような形の温室があり色んな地方から集められた花々が植えられている。
そこは、ただ花を育てるだけの温室にあらず、華を育てるための温室でもあった。
温室の中央には天蓋付きのベッドがあり、ベッドから少し離れたところには浴室や洗面所など生活に必要なものが、そうとわからぬように完備されている。

キシ…と、閉じたレースの天蓋の向こうで人影が体を起こす。
薄紫の髪と空色の瞳といった、人間にしては薄い色素をもつ少女は身を起こすとベッドから降りてガラス張りの鳥かごの天井を見上げた。
まだ空には星が輝いていて、太陽の気配はない。

「どうにも、眠れません…。」

微睡もうとベッドに横になってはみたものの、睡魔は不思議と訪れることもなく時間だけが過ぎていくのに飽きて、少女はベッドから降りた。
薄いシルクのネグリジェの上にロングカーディガンを羽織って、水差しから水をコップへと注いでいく。
レモン水をこくりと飲むと、見慣れた鳥かごの中を見回していく。
匂い立つ花々も、今は蕾を閉じて眠りの時間。
少し夜風に当たりたい気分だが、きっと鍵がかかっているから出られない。
そんな風に思いながらも、鳥かごの扉へと手を伸ばすと———
何故か鍵があいていた。
キィと小さな音を立てて開く扉に、少女は空色の瞳を丸くして驚いていく。
いつもなら、鍵が厳重にかけられて見張りの兵がいるはずなのに、今日はなぜか見張りの兵もいない。
見張りの交代の時間なのだろうかと、あたりを見回しながら少女は鳥かごの外へと足を踏み出した。
薄紫の髪を揺らす秋の風が、さあっと吹いて去っていく。
いつもなら、こんな悪戯心なんて抱くはずがなかった。
伯父のいいつけを守って、許しがないのに外に出るなんて考えもしなかったはずなのに———
少女は、少し外に出てみたくなってしまって、鳥かごの外へと歩んでいく。

ルナリア > 少しだけの散歩、ささやかな冒険。
鳥かごの外も、四季の花々が植えられた花壇で囲まれており、香しい香りを届けてくる。
鳥かごの中は、常に適温に保たれてはいるものの、風がこうやって髪を乱すことはない。
そよそよと吹く風が、髪を撫でていく感触を楽しみながら少女は花壇の道にそって歩いていく。

「夜のお散歩なんて、初めて…。」

きっと見張りの兵士が遠くに一人でもいたならば、こんな風に外に出ようなんて考えもしなかっただろう。
でも、今はこの空間を独り占め。
今の生活に不満はない。…というよりも、満足を知らなければ不満を知ることもない。
それが当たり前、これが当たり前。
自分は、母を殺して生まれてきた罪深い子だから、生まれながらに背負う罰を許されるには、それ相応の対価が必要なのだと物心つく前から伯父にはそういわれ続けてきたから。
コレが当たり前なのだと、疑いようがない。
それでも、少しだけ…ほんの少しだけ、かすかな自由というものを感じて少女は嬉しくなったのだ。

「ふふ…」

星空を見上げながら、くるくると花の中で華が回る。
くるくる、くるくる、音楽の音色もシャンデリアの明かりもなくくるくる、くるくる。
ただ、それだけのことなのに、楽しい。

ルナリア > ほんの少しのささやかな冒険も、見張りの兵に見つかって終わりを告げる
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からルナリアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にルナリアさんが現れました。
ルナリア > ほんの少しの夜の散歩は、見張りの兵に見つかって、そこから伯父に報告されてひどく叱られてしまった。
指定された夜会の会場へと従者に引き連れられて向かっている最中、しょんぼりとした様子で小さくため息を零す。
もちろん、言いつけを破って外にでた自分が悪くて、伯父が正しいと思っているけれど、叱られればやはり気分は落ち込んでしまうというもの。
それでも、いくら落ち込んでいても、気が乗らなくても命令されれば華を買った買主の処へと足を運ばなければならない。
少女を案内する従者は、少女の事など気にも留めないようにすたすたと歩いて行ってしまうから、歩調を速めなければすぐに従者との間に距離が開いてしまう。
だから、ほんの少しの間しょんぼりとため息を零して足を止めていた間だというのに、従者の姿は見えなくなってしまっていた。
ちょうど、廊下が入り組んでいる場所。
右左に分かれたあと、さらにその先も左右に分かれてしまっていて、慌てた少女が追いかけたものの従者の背中すら見つけられない。

「困りました…迷子になってしまったようです…。早く夜会の場所にいかないと、買主様をお待たせしてしまって、また伯父様に叱られてしまいます…。」

右と左、どちらに従者が進んでいっただろうかと指でなぞって迷ったあげく、右のほうを選んだが実際従者が進んだのは左の道。
その先も、十字に分かれた廊下を右へ右へと進んでいくものの従者に出会える可能性はどんどん下がっていくだろう

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にグスタフさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からグスタフさんが去りました。
ルナリア > 増築を繰り返し迷路のような廊下を、少女は彷徨い歩いていく。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からルナリアさんが去りました。