2022/09/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城内礼拝堂」にマーシュさんが現れました。
マーシュ > ───祈りのための火を点す。

それは常の夜の時間とおなじくに。
祭壇の蝋燭に一つ一つ火を点してゆく。

場所は王城内にいくつか併設されている礼拝堂の一つ。
王侯が祭祀のために使用する礼拝堂に比して規模は小さいため、小礼拝堂とも呼んで区別をつけているその場所は、大規模な儀典以外で平素使用される場所でもあった。

その一つで修道女は夜の祈りの時間、火の守のために訪れていた。
蜜蝋の融ける仄かに甘い香りが漂う中。
燭台の蝋燭が尽きていればそれを取り換え、火の潰えたものには点しなおし、と静かな挙措でそれらを行っている。

マーシュ > 一通りそれらを終えると、祭壇の前まで赴き、膝をついた。
言葉を発するものが、修道女一人であれば、そこは静寂に満たされたまま。
僅かに首を垂れると、額を出し、髪を隠している白布が肩の上を滑る。
手を合わせて紡ぐ詩歌は、すでに幾度も諳んじ唇に馴染んだもの。
瞼をおろし、伸ばした背筋に灯影がゆらゆらと揺れて照り映える。

「────────」

誰が訪れようと、訪れまいと、それは女の日々の常。
故に今宵も祈りをただ紡ぐ。

マーシュ > 詩歌を紡ぐ声が途絶える、というよりは節を紡ぎ終えたという方が正しい。
ゆる、と合わせた手を解いて、伏せていた瞼を上げる。
淡い闇に閉ざされていた視界に、揺れる焔を映しながら藍色の双眸が細められ。

祈りは止んだが、そのまま膝をついた姿勢で見るともなしに礼拝堂の装飾された柱から天井へと視線を滑らせてゆく。