2022/08/24 のログ
■シュティレ > 口の中に芳醇に広がる紅いワインの口当たり、自分の下の上で転がせば、とても良いものだと言う事が判ります。
素直においしいと賞賛できるワインで、之を持って、親交のある人と、静かに飲めれば最高でしょう、そう思わせるものでした。
するり、と入っていくお酒の熱は、ほんのりと私の白い肌を染めてしまいそうです。
酒精を楽しみ、月を眺めていましたが、さて、と小さくつぶやきましょう。
あまり長く居ても、私は所詮異物なのです、この国の貴族ではない、ヒトではない存在です。
今は、月の加護に皆が酔っていますから、楽し気に、時には喧嘩や、甘い声。
それらも長くは続きはしないでしょう。
私もそれを望むわけではありませんし、彼等のような醜悪な存在を見ているのは耐えません。
ですから、窓から身を落とします。
空が見えます、地面が見えます。紅く、紅く、染まった風景は、私の国で見慣れた風景。
私は空で身を変えます、何十匹、何十羽と言う蝙蝠の姿へと。
踊る様に、列をなして私たちは飛んでいきます。
紅い月に惑った彼らがどうなっていくのかは、私の興味の外ですから――――。
ご案内:「王都マグメール 王城 夜会」からシュティレさんが去りました。