2022/07/21 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城内『文書館』」にシシィさんが現れました。
■シシィ > 王城と一くくりに言っても貴族ばかりで構成されているわけではない。
当然奥津城を守るのは身分のある者たちに限られるのだろうが───己が訪れているのはそんな奥まった場所にあるわけではない。
林立する書架、紙とインクの匂い。
静かではあるが、人の出入りの多い場所。
王城内、と言っても大分端の方に位置するだろう其処は、王政府からの発行文書を管理するための図書館、あるいは文書館と言えるような場所であった。
当然通常の貸し出し業務は行っていない。事前に申請して利用しなければならない公的機関でもあったが、商人である女にとっては定期的に訪れている場所でもある。
見知り、というわけでもないが。何度か見た顔の受付に事前に申請済みである旨を伝え、作成済みの書類を確認してもらってようやく入館が許される。
堅苦しいやり取りではあるが、必要な通過儀礼と女は理解しているし。受付も仕事だ。そこに個人の思惟が介在する余地はない。───道理を捻じ曲げるほどの権力など有していないからだが。
「では、滞在時間は───」
およそ必要であると思われる滞在時間を告げて、ようやく女は書館に足を踏み入れる。
目的の場所ははっきりしているのだから、足取りに淀みはなく、さらりとした生地の裳裾をさばいて絨毯の上を歩んでいった。
■シシィ > 「────、………よいしょ」
林立する書架のうち、目当ての分類までやってくると、いくつかの書籍、というよりは発行書類の束を数冊抜き出した。
いずれも税に関するものを腕に抱えると、閲覧席に向かう。
必要な項目はそう多くはない。己の商いに関する部分だけを書きつけにメモして退出するのが常だからだ。
貸し出しのなされない書館だから、席数は多く。埋まっている席も多いが、空いている席がないわけではない。その片隅の席に腰を預け、己も他の利用者と同様にページをめくり始める。
基本的に私語はなく、交流のための場所というよりは、実用的な部分の多い場所だ。
それでも会話が必要な場合は、個室が用意されているらしいが───、己ならばさっさと切り上げて、街の喫茶室などを利用するだろう。
■シシィ > ただ静かにページをめくり、目を通し。時折書付に新たな項目を書き付けるだけの静かな時間だ。
限られた時間、ほかに目を向けることもないのはいつもの女にしてはやや視野狭窄的だが、時間が限られているのもその理由と言えた。
通常のそれに加えて、依頼者の必要とする品目にかかる税の詳細をきちんと調べておかなければならないだろう。
のち、手落ちがあったことで己の職務に障りが出るのは避けなければならないことだから。
それから所定の時間を使い、詳細を詰めて、女は文書館を後にする。
ご案内:「王都マグメール 王城内『文書館』」からシシィさんが去りました。