2022/04/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にアンネリーゼさんが現れました。
アンネリーゼ > 春の夜も更けつつある頃、少女は地下から続く階段を登り、王城の廊下に顔を出す。
用向きは、調教師としての仕事だ。王城地下の施設で、被験者から魔力を搾り取る公共事業。
魔導機械にミレー族なり魔力持ちの罪人なり魔族なりを繋いで、見守るだけの退屈な作業だ。

「――あふ、気が乗ったら可愛い子の一人二人、たっぷり虐めてあげようと思ったのに。
 まさか、魔導機械に繋いで、全身隈なく嬲られるのを見ているだけとはねぇ」

引き受けてしまった以上、途中で投げ出すのはプロの流儀に反するのだが、
魔導機械に頼って、自分で手出しせずとも済むというのは、不完全燃焼感が否めない。
それ故か、手隙の時間に地下で獲物の品定めをするでもなく、窓辺で管を巻いている。
時折吹く春の夜風を味わいながら、ぷかりと細身のパイプを吸えば、紫煙が細く立ち上る。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にイザベラさんが現れました。
イザベラ > 「これはまいったな、首尾はどうかと見に行けば
 拷問吏サマはこんなところで管を巻いているとは」

と、窓辺で物憂げに紫煙を燻らすあなたに声がかけられた。
その声の主は『イザベラ・ラーンヴァルト辺境伯』――今回の仕事の依頼主である。

今回の『被験者』たちは全員、、王国に『敵対的』だとか『潜在的不穏分子』だとかのミレーや罪人。
そして、タナールあたりで捕らえられた魔族であり、なんでも王都近辺の防諜を仕事とするイザベラ辺境伯は、
これで重要な情報を手に入れられると思っているらしい。

「……まぁ、分からないでもないよ。最近は魔導機械も遺跡などから多く出土して、
 王城にもああいう設備が整った。『昔ながらの』拷問などというのより、幾分か手間もかからない」

依頼主である、イザベラ辺境伯は特に怒ったりすることなどはせず、
あなたが不満を抱いていることをどことなく見抜き、共感するような態度を取った。

アンネリーゼ > 「おや、サボっているのがバレてしまったわねぇ……困った困った。
 だって、私がすることは何もないんだもの。魔導機械が全て勝手にやってくれる。
 それに、今夜相手にする子の中で、あれから逃れられる様な気骨のある子は居なかったし」

持ち場を離れていた所で、王城の地下深くで哀れな娘達の絶頂回数が増えるだけだ。
魔力を徹底的に搾り取り、効率が悪くなれば解放する。魔導機械様は優秀だ。
だからこそ、少女にとっては面白くない。己の腕もへったくれもないのだから。

「こう、そそられないのよねぇ。今夜は既に心が折れちゃってる子ばかりだから。
 私が近づくと、びくりと怯えて震えているの。縮こまって、やめて、許してって。
 扱いは楽で良いけれど、多少は跳ね返ってくれないと単調な作業でしかないのよねぇ」

嘆息しながら述べるのは、あくまで己の主観に満ちた批評混じりの鬱憤だ。
どうせならもう少し元気のある獲物が良い。踏み躙るのが楽しいから、等と宣う。
そう、例えば、目の前の彼女――怜悧な雰囲気の女性は、なんとも『美味しそう』だ。

「魔導機械は便利だけれど、決められたことしか出来ないのが難点よねぇ。
 魔力を搾り取るにしても、貪っている子の表情を見ている訳ではないし。
 ――ふふ、『古き良き』拷問術なら心得ているけれど、いかがかしら?」

依頼主たる彼女に慇懃な態度は崩さず、しかし同時に、邪な考えを隠し持つ。
転がす賽の目次第だが、今のところは平穏そのもの。問いの答えを待ち、煙草を燻らす。

イザベラ > 「一目見た時から、君の事は『捕食者』だと思っていた。拷問吏アンネリーゼ。」

イザベラ辺境伯は、まるで親しい友と話すかのように、
奇をてらわず、気取らず、それでいて粗野すぎない所作であなたの隣に陣取った。
怜悧なその美貌は空を彩る星々に負けず劣らず、どこか寒々しい輝きを放つようだったし、
夜風に躍る銀の髪は、天空の女神によって編まれたかのように艶やかであった。

「君の名は以前からそれなりに聞き及んでいた、が――
 ただ、拷問や調教に手慣れているというだけでは私は今日、君を王城に呼ばなかっただろう。
 君は、恐らく私と『根源的には同じ』なのだ。奪い、喰らい、蹂躙することで満足を得る『捕食者』」

ふ、とイザベラは自嘲するようにほんの少しだけ口角をゆがませた。

「だから、一目会ってみたかったのだが……会ってみて、分かったことがある。
 君は『捕食者』でありながら『満ち足りている』ように見える。私はこれほど、『満ち足りていない』のに」

女は――そう、彼女自身の言うように、怜悧かつ高貴な中にどこか、飢えた獣のような雰囲気を纏っていた。

目の前の女はマグメールの夜の社交界ではそれなりに最近名が売れている。
もしかしたら、あなたもこの辺境伯がどこぞの伯爵夫人と浮名を流したとか、どこぞの高級娼婦を妾あつかいしているとか
そうした話を聞いたことがあるかもしれない。

「君と、私と、いったい何が違うのか、知りたく思ってね」

アンネリーゼ > 「ふふ、イザベラ様の様な高貴なお方にお褒め頂けるとは、恐悦至極の限りね。
 私を捻じ伏せられる存在が居るなら、その足元に縋り付くのも悪くはないと思うけど」

隣へとやってくる彼女は、実に美麗な女性だった。親しき友の様で、しかし剣呑な雰囲気も混じる。
それはさながら、研ぎ澄まされた刃に見惚れる様なもの。触れることを憚られる風情にも似て。
しかし、同時に触れてみたくなる危うい誘惑にも思えてくる。地下で囀る雌など比べるのも烏滸がましい。

「腕に自信がない訳ではないけれど、それ程有名でもなかったのではなくて?
 ――成る程、根源的に同じ、ねぇ。それで、わざわざこんな退屈な仕事をくれたのね」

私と出会うために――そう言外に含みながら、笑う彼女を見上げる。
それから、続く言葉に耳を傾け、ほんの少しの間をおいて、くすりと笑みを零す。

「『捕食者』なのに、『満ち足りてない』の……そう、そう――そうなのね?
 だとしたら……あぁ、これは、仮定の話、もしかしての話なのだけども……」

彼女は、夜の世界でも有名だ。多少の心得があれば自然と噂を拾い上げられる。
噂の内容だけを辿るなら、彼女は女癖の悪いお貴族様、となってしまうことすらありうる。
しかし、その裏を探るとすれば。手慣れた調教師、拷問吏として言えるのは。

「……イザベラ様は、実は『捕食者』ではなく、『被食者』なのではないかしら?」

上に立つ存在ではなく、傅く存在なのではないか。貴族に向けるには不遜な物言いだ。
とは言え、この結論は変わらない。包み隠さない程度には、少女も彼女を買っているのだ。

イザベラ > 「それに関しては申し訳なかった。
 だが、ただ従者をやり、呼びつけるだけというのも違うと思ってね。
 もし、君が求められただけの仕事を従順に行うだけなら――私のこの今の胸の高鳴りはなかっただろう」

退屈な仕事、と言われてイザベラは苦笑するように鼻を鳴らした。
実際のところその通りでしかなかったからだ。だが……

「おや、私の事を『被食者』と――」

アンネリーゼの物言いに、あからさまにイザベラ辺境伯の雰囲気が変わった。
気分を害した? いや、そんなものではないかろう。まるで、野生の飢えた獣を目の前にしているかのような感覚。

「かつて、どんな女もこの私を満たしたものはいなかった。
 ハイブラゼール一番の人気娼婦、邪教のサバトのあるじの女神官、メス同士をまぐ合わせるアングラクラブのチャンピオン、
 高位淫魔を名乗る、不埒な娘もいたか……一人も、その一人もだ。」

イザベラは貴方の頬に、ゆっくりと手を這わせ、瞳を覗き込むように顔を近づける。

すると、どうだ。辺境伯の瞳にはあなたを。アンネリーゼを屈服させ、壊し、喰らいたいという、
仄暗い獣欲がありありと見て取れて――

「試してみるかな? どちらが真に『捕食者』であるか」

アンネリーゼ > 「ふふ、確かに、呼び出された先で『私を犯せ』等と言われたら、困っていたわ。
 こうして多少なりとも言葉を交わして、お互いを理解してからの方が好ましい。
 ――私も、貴女みたいな麗人は大好物よ。えぇ、はしたないけど、そそるわ」

彼女の様に芯のある女性こそ、へし折るのが楽しい。それは芸術家や職人の気質に似ている。
困難であれば程、無理と思えれば思える程、その先が見たくて仕方がなくなるのだ。
この王城で彼女の艶姿を妄想するものは数多居ようが、実際に手を出す者はどれ程か。
そんな、高嶺の花が望んでくれる。その事実が少女の調教師としての魂を揺らす。

「えぇ、『捕食者』で満たされないなら、それが本来の自分でない可能性もあるでしょう?
 娼婦でも女神官でも高位の淫魔でも、貴女が『捕食者』でいたから駄目だったのかもしれない」

美麗な顔が眼前に迫る。交わる視線。その先の瞳は爛々と輝き、奥に情欲の炎が見える。
ここまで期待されたならば、応えない訳にもいきますまい。お返しは、不敵な笑みで。

「えぇ、ただし、立場を変えるのが前提だから、先攻は譲って頂くわ。
 私の攻め手を凌ぎきったなら、『捕食者』としてのイザベラ様に抱かれてあげる。
 その代わり、『被食者』として私に負けたら、魔導機械にでも跨ってもらいましょうか。
 仮に私で満たされたとして、その後ただの機械に愛でられたら……餓死してしまうかも」

そっと彼女に手を伸ばし、避けないならばその下腹部に指先を触れさせて。
子宮を象るかのように指を滑らせつつ、ただ見る。彼女に魔眼は使うまい。

イザベラ > 「なるほど、これは面白い発想の転換だ。君が私を喰らいつくすことができるほどの『捕食者』であるなら――オンナとして私より『上位』に立つことができるのなら――いいだろう、試してやろう」

そうして、女はアンネリーゼを受け入れるだろう。そうしてこれがどのような結果になったかは――

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からイザベラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からアンネリーゼさんが去りました。