2022/01/08 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城」にタマモさんが現れました。
■タマモ > 王都マグメール、王城。
年明けの宴が続く、その王城内に少女の姿はあった。
今回は、元から気紛れの散歩で、この王城にやって来た…と言う訳ではない。
この王国内では商人の娘として、富裕地区に邸宅を構える、己の式神。
その同行者として、その宴に参加をしていたのだ。
ただ、正直、宴とは言え、堅苦しい場所は好まない。
少女は、適当に食べるものだけ食べ、宴の場を抜け出した。
今は…まぁ、やはり、気紛れの散歩に近いのかもしれないか。
「ふむ…これはこれで、興味深くはあるが、いつもの面白味には欠けるのぅ」
どこだろう、適当な廊下を歩みながら、そんな呟きを漏らす。
普段、この場所に来る時は、変化を使ったり、身を隠したり。
ともかく、多少なりとも、スリルを楽しみながら来ている。
しかし、今回は、それがない。
腕を組めば、軽く思案する素振りを見せ。
「………それならば、それはそれで?
あれか、何か、面白そうなものでも…」
続き、そんな言葉を零しながら。
歩みはそのままに、周囲へと視線を巡らせる。
先々に見える、幾つもの扉。
反対側を見れば、庭園と、遠くに城壁が見える。
見えるのは、時折、視線の片隅に見える見回りに巡回する兵士程度、だろうか。
とりあえず、それ以外。
何かしらないか、誰かしら居ないか、確かめて行くのであった。
ご案内:「王都マグメール 王城」にプレストさんが現れました。
■プレスト > 「それでは奥様、私はこれにて。」
その時、少女が歩んでいたすぐ後ろで声がする。
平民の筈の男がどうやら貴族を誑かし宴に入り込んでいた様だ。
恭しい一礼と共に扉が閉まる音。暫し頭を下げた儘だったが、その後頭を上げて左右を見渡す。
少女が面白みを探す様に、男もまた『面白み』を探してこの場に足を運んでいた。
廊下を見遣る先、まだ狐耳の少女がいるならばそちらに足を運ぶ筈。
王城で確実に楽しめそうな相手でもあり、上等な獲物であり。
愉しむ時間を共有できそうな相手なのだから、近寄らない理由が無いのだから。
■タマモ > ぴくん、少女の耳が揺れる。
近くで聞こえた音、それを聞き逃す訳もない。
まぁ、どこの扉が、どの部屋に通じているのか。
それを知らないのだから、出て来る相手に、つい意識を向けてしまうのは、仕方無し。
「………うん?」
そして、その音の方へと、視線を向けてみれば。
奥様と呼ばれた、その女は知らないのだが…
その女と会話をしていた男、そちらの声には、覚えがあった。
いつもの事だが、名前は浮かばない。
ただ、聞いた声から、相手の顔は頭に浮かぶ。
しかし、記憶の限りでは、このような場の宴に現れるような、そんな立場の相手ではなかったはず。
となれば、可能性として考えるべきは。
「ふむ…なるほどなるほど。
目的は、妾と通ずるものがある、みたいじゃな」
うんうんと、己の言葉に、自身で頷きながら。
楽しげに、ゆらりと尻尾を揺らし。
くすくすと笑い、そう呟くのだった。
■プレスト > 「おやおや、これはタマモ様。この様な場所で会うとは奇遇ですね」
自分で口に出しながら余りに浮いた言葉遣いで自然と笑みが浮かぶ。
奥様、とやらを手籠めにする目的ではないのは明白。
相手が名前を憶えているかは重要ではない、お互いがお互いの顔となりを知っていれば良いのだ。
相手が逃げる事もなしに尾を揺らす様を見て近寄っていく。
「タマモ様も――あぁ、いや良いか。タマモがこういう場所にいるのは俺と同じくらい意外だな。
知り合いでもいるのか?……と。まぁそんな事は良いか。」
そっと歩み寄った後は彼女の耳の傍に自分の顔を寄せた。
内密の話だというかのように。執事のフリは言葉遣い以外はまだ続いている。
腰を丁寧に曲げて失礼が無い様にしてから囁くのは彼女にとっては一時の楽しみになり得る場所の案内。
「――悪徳な方々が主催している社交場が曲がり角の奥に。
悪意を持って宴を開いている連中は手前側の部屋に。
宜しくない趣味の遊戯会場は戻った道の方の部屋に。
案内できるのは3つのどれかだが、一緒に行かないか?」
悪意を持って、と言うのはタマモと言う少女への悪意を持つ存在を示す。まぁ、つまり。先日だったり今なお依頼を受けている様な存在が主催している宴なのだ。
足を運べばろくでもない未来がある。
悪趣味な遊技場もまぁ似たような物。社交場が一番マトモとも思えるが、悪徳貴族ばかりとなれば本当に暇潰しまでしか未来はないかもしれない。
どれを選ぶかは彼女次第でもある。ちゃっかりと腰をかがめた時に何時もの様に遠慮なく胸の谷間を見てしまうのは何時もの事。
挨拶代わりの様な事だった
■タマモ > 「あー…まぁ、あれじゃ。
それは、お互い様、としておこうか?」
ひらひらと、男の言葉に手を振りながら、そう返す。
実際、男も、己も、普段を見れば、この場にそぐわない。
それを、理解しているからだ。
近付いてくる男を、気にした風もなく、見詰めていれば。
己が知る、男の本来の言葉遣いに、一つ頷き。
「いつもは、妾一人でも、じゃがのぅ。
今回は、その通りじゃ。
…と、なかなかに、面白そうな…
そんな問い、妾に意味があるのか?
面白そうな場所あれば、行くに決まっておるじゃろうが」
問いに答えながらも、続く言葉に。
はふぅ、わざとらしい、深々とした溜息。
肩を竦めた後、その言葉と共に、無駄に自慢気に胸を張るのだ。
もちろん、男の視線なんぞも、気にせずに。