2022/01/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にホウセンさんが現れました。
■ホウセン > 新しい年になった。
即ち、祝うべきである。
斯様な連綿と続く風習と短絡的思考とで、殆ど思考停止をしているが如き宴会は、今年も規模の大小も貴賤も問わず其処彼処で開催されている。
内憂外患の末期症状を示している王国でも、取り立てて慎みを訴える動きは殆ど無い。
「何もせなんだなら、その分野で禄を食んでおる者共が干上がってしまうからのぅ。
聊か浪費に過ぎる気がせぬでもないというのはさて置き、愉しめるものは愉しんでも罰は当たるまいよ。」
そんな、誰に聞かせるでもない呟きは、王位継承権の序列二十番目だか三十番目だかの王族が主催する宴席で。
王となる目は皆無に等しいものの、法的に灰色な領域に手を伸ばして、せっせと貯めている資産には見るべきものがある。
金がある所には人も寄る。
その一点において価値を見出していたから、こうして足を運んでいるのだ。
「さて、壁の花を決め込むのにも限度があろう。
見知った顔か…話題の渦中の顔でもあればよいのじゃが。」
シニカルにも聞こえる発言内容と、それを囀る声には甚だしい乖離がある。
もっと言ってしまえば、発言者の風体とも。
北方帝国に由来を持つ黒い髪と黒い瞳をした”子供”。
商会の主の嫡男という肩書を持つ妖仙は、立食型の宴の輪に戻り、手近な給仕から酒杯を受け取って。
深めの紅を示す液体を、何の衒いもなく一口。
表面上は物珍しそうに、その実、自分以外の者を物色する視線を巡らせよう。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にビャクヤさんが現れました。
■ビャクヤ > と、そんなあなたのもとに、少し面白い『気』が近づいてきた。
このマグメール王国の人間の持つタイプの『気』ではない。
シェンヤン系の人種。あるいはさらに東。そしてさらに恐らくは、仙か……
あるいはそれに近しい存在の放つ独特のもの。
「まさかこんなところにこれほど禍々しい気を放つ者がいるなどとは。
わたくし、驚きを隠すことができません」
長い年月を生きてきたあなたなら、そう言って声をかけてきた女が、
シェンヤン東部のとある退魔術を用いる一派に属することが一目でわかるかもしれない。
彼女の名はビャクヤ。
百夜流退魔術16代目当主として、流派名そのものを名乗る女であり、
『公主』たちの取り巻きの一人として、マグメールを訪れた一人だ。
「飛仙……と呼ぶには少々、邪な念を感じすぎますね。
さすがは堕落の都まぐめゑるといった所か。このような魔と変わらぬ気配のものが
王城にまで入り込むとは」
明らかな敵意を、あなたに向ける女。
もっとも、周囲は酒池肉林のごとき酒色におぼれそんな事は未だ気づいていないようだが。
■ホウセン > 年始の宴そのものは、縁のある有力者への家族ぐるみでの挨拶回りという側面が少なくないから、子供の内と数えられる者の姿も間々見受けられる。
補足するなら、王侯貴族の子弟なら社交界にお披露目となっていることも前提となろうが。
――というのは、日が高い内に開催されている宴での事情。
流石に日がとっぷりと暮れた後となると、そうはいかない。
「恩恵にあずかっておる儂が言うのも噴飯ものじゃが、まぁ、アレよな。
童の情操教育とやらには、確かに適しておらぬじゃろう。」
古めかしい口調でひとりごちた妖仙の視線は、欲の誘因を目的としていることが明白な給仕たちの人選と装束に向けられていて。
つまり、”接待”込みの宴なのだと。
「ふむ。その割には、随分と平たい声色をしておるから、誇張表現の類なのかと耳を疑ってしもうたがな。
珍しい服装をしておるし、これは新たな余興の類かのぅ?」
よそ見をしながらも自分の眼前を目的地と定めているらしい接近者には気付いている。
細っこい体の正面を女に向け、端から喰って掛かってくる物言いにも、劇的な反応を見せる訳でもない。
知っていることと、知りえたことと、言葉に出すこと。
そのどれもが共通している必要は無いとしている辺り、人の世に溶け込む術には長けているのだろう。
「それとも、幻覚や幻聴の類が酷いというのなら酒の飲み過ぎじゃ。
其処な隣室にて酔いを醒ますが善かろう。」
『異国の女に、何かよく分からぬ言いがかりを付けられているようだ。』
『異国の者同士の何かしらの事情があるのかもしれないが、少なくとも大人が子供に向ける気配ではない。』
会話の内容を聞き取れずとも、その場の雰囲気を看取した客人たちの反応はそのようなもの。
誠に、この世は見目の良い子供に甘くできているらしい。
■ビャクヤ > 周囲の怪訝な雰囲気。
この場でコトを大っぴらに始めれば、公主の付き人のひとりとはいえ誹りを受けるだけでは済まない。
シェンヤンとマグメール王国の微妙な均衡の上にある今の関係にいらぬ火種を注ぐことになりかねない
が……
「なるほど、これは中々年季の入った古狸と見える。
大方、小童の姿かたちに身を窶して甘い汁を啜ろうという魂胆でしょう?
しかしながら、この私はあなたのような邪な存在を封ずるためにこの衆世にある身――」
ビャクヤとしては、今回の主催である王侯貴族とはマグメールに来てより懇意にしており、
その礼ということでシェンヤンの風水と法力を用いた、邪気払いの方策をかねてより授けていたところに、
邪仙であるあなたが現れたという形。
全くの偶然であろうが、ビャクヤとしては何かしらの『企て』を感じ取っても不思議ではなかろう。
「よろしい、では私は『隣室』で待つ。そこならば、
貴方も古狸のふりをせずとも『話』ができるでしょう?」
ビャクヤはあえて、一対一で話そうという風に、持ちかけてくる。
当然、無視しても良い。絡まれても明らかに面倒な相手だ。だが、
退屈な宴の中の思わぬ刺激、といえばそうかもしれぬ。
全てはあなた次第だ。
■ホウセン > 余程開明的であるか、戦場や外交で帝国の国力を知悉しているか。
そのどちらでもない、王国こそ至上と考える貴族連中は少なくない。
確かにここでひと悶着を起こせば、『これだから田舎者は』と、宴の参加者の心証を悪化させるであろうことは、想像し易かろう。
その位の算盤も弾けずに囀り続けるようなら、強制的に排除するぐらいしか選択肢が無かったところだ。
「聞く耳を持たぬという風情は、既に脚本とやらに書き込まれておるのか…応用が利かぬようじゃな。
あまりに口さがないと、”邪法”を吹聴しておる者がおると殿下に注進せねばならぬが、ハレの日に野暮な真似はしとうない。」
王国の魔法体系に当てはまらぬ帝国の術式――と一言で括るには多岐にわたり過ぎるが――は、正当なものとは呼べぬ。
これもまた王国至上主義であるとか、単に排外的な一派であるとかの輩には、薄く広く蔓延している考え方だ。
主催者個人の主義主張はどうあれ、そのような輩とも誼を結ばねばならぬ立場上、捨て置く訳にもいかなくなる。
そうして生じるであろう不利益を遠回りに示唆することで軽く釘を刺してから。
「この場を穏やかに収めるには、儂が付き合うのが一番手っ取り早かろう。
なに、酔漢に相手をしておるのだとでも割り切れば、理不尽さは感じぬでもないが、間々あること故慣れておる。」
挨拶回りは済んでおり、後は辞去するタイミングを計っていただけ。
特にこのホールに居座る理由もなく、座興の一つぐらいの心地で鼻を鳴らす。
上っ面ばかりは丹念に、あたかも”よく分からぬ事態に巻き込まれた被害者”という体裁を整えて。
半ば残っていた酒杯をぐいっと飲み干し、白いテーブルクロスの掛けられた机の端に置き、幾つかある控えの間に――
■ビャクヤ > 既にビャクヤはあなたより先んじて、『隣室』へと立ち去っている。そこでどのような『話し合い』が行われたのかは2人のみぞ知る……
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からビャクヤさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からホウセンさんが去りました。