2021/09/26 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】 とある客室」にジギィさんが現れました。
ジギィ > 地下へと続く階段のすぐそばの部屋。
本来は倉庫同然となっていた場所が今仮初の客室となって、ドアには割と達者な字で「薬草」とだけ札が掛っている。
そんな怪しげな場所なので、王城の住人でも知っているものしか近付かない。

「は―― ぁ――♪…」

部屋の窓はごく間近まで様々な樹木が植わっていて、外からは中が容易に伺い知れず、当然室内も暗い。しかし覗こうと思えば覗けるそこには今、老婆、の幻影を纏った女エルフがひとり。
古ぼけた机がひとつぽつねんとあるだけの不自然な部屋で、椅子に腰かけてふんぞり返り、発声練習をしている。両手はお腹の上に置いて、中々本格的だ。

伝手から頼まれるこの怪しい『薬草屋』。客は少ないとはいえ大口(取り分け媚薬)の購入があるので実入りが良く、止めたいが辞められないでいる。
約束事はふたつ。

相手の素性を伺わない
自分の素性を知らせない

本来の薬師ならば相手の容態を伺って調合するのが筋だけれども、『部下に配りたい』とか色々あるんだろうな、と都合の良いように取って
中毒となるには相当量摂取しないといけないように薬を調整して、ここまで持ち込んでいる。

「………注文書が先にあると助かるんだけどな」

ふと発声練習を途切れさせると、そんなふうに仕組みを考えてみる。毎度品切れが無いように都合してくるのは、大量の在庫に繋がる事でもある。しかしおそらくこれが商売相手にとって一番リスクの少ない形なのだろう。今度伝手に頼んでみようとも思うが……

「―――♪…」

まあ期待しないでおこう、と思い切ると、再び鼻歌交じりの発声練習に戻って行く。

ジギィ > 実は部屋の前は時折騒がしい人通りがあったりする。
しかしそれも、特別にこの部屋に設えられた防音設備によって女エルフは知る事もなく、外をにも歌声など漏れはしない。
それを知っていたら女エルフは多分もっと盛大に歌っていたかもしれない。

その後夜更けが過ぎて、空が白むころ漸くそのドアの前から札が外され
そこそこ大荷物の老婆が王城の裏口から去るのを、衛兵に懐いている猫たちだけが見送った。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】 とある客室」からジギィさんが去りました。