2021/07/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】 バルコニー」にジギィさんが現れました。
ジギィ > 月の綺麗な夜。
今宵も王城では社交のパーティー(の一種)が開かれていて、合間無く音曲が夜空に立ち昇っていた。

その宴もたけなわ。ヴァイオリンとピアノだけのシンプルな調べは眠りを誘う響きを孕んで、広間の喧噪に暇を告げる声も混じる。

その広間に続くバルコニーに、そっと滑り出て来る人影。
漸く昼間の熱さも去って夜風が吹く中を、手摺りまで進んで凭れかかる。シンプルな黒のドレスから察するに招待客の類ではなく、演出側だったのだろう。
その女がくたっと首を落として、ぼそりとこぼして曰く。

「あ―逃げ遅れた―…」

演出側の歌い手として雇われたのは良かった。
歌うのも楽しかった。
しかし気付けば、他の歌い手たちの姿が無い。

(……私くらいは片付けに残らないといけないよなあ…)

どこへ消えたかまでは詮索しない。何せ宴の前から会場の男を見ては品評会を開いていたくらいだし、まあ幸運にありついた結果だと思って無事を祈ろう。
以外と律儀な性根が恨めしい。

「ああん~わたしもかえりたぁい~~」

手摺りに頬杖ついていやんいやん、と首を振ってみる。いっそ、このままバルコニーから中庭へ抜け出してやろうかしらん。

ジギィ > (…いいにおい、してたなあ)

ごちそうも色々出ていた。歌いながら息を吸うと図らずもその香りまで沢山吸い込んで、代わりにお腹が鳴ったものだった。音が小さかったから良かったものの…

(…つまみぐいしないと、損よね)

出演者として報酬は用意されているので、損もなにもないのだが
折角の王城での料理だ、味わっておかないと損というもの。

背筋を伸ばして深呼吸。
中庭からだろう、季節の花らしき少し甘い香りと緑の香り。
よし、と内心気合を入れると
踵を返して、広間の喧噪と料理の香り漂う中へと

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】 バルコニー」からジギィさんが去りました。