2021/02/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】 客室」にジギィさんが現れました。
■ジギィ > (思いがけない僥倖もあるもので…)
案内したメイドによってぱたん、と扉が閉じられた後、のこされた女エルフは部屋を見回す。
特にこちらの文化に通じているわけではないけれど、流石王城の客室。テーブルも棚も壁に掛けてある画もソファも、調度品はどれも洗練されていて、質は高そうだが華美ではない。
とある貴族から配達の依頼を受けて、城中で当人へ文書を届けた今宵。
もう遅い時間だから、と部屋を用意してくれたのは厚意かはたまた罠か。
「…結構位の高い人だったのか」
渡した相手は初老の男。
取り巻きに気付かれずに近付くのに骨が折れそうだったので、別の要件の書物に紛れさせて堂々と渡してやった。
配達物の内容は全くあずかり知らないが、相手もそれと気付いたから、こうして人を使って部屋をあてがってくれたのだ、と思う。
部屋に幾つかあるランプは今は一つしか灯っていない。
薄暗いなか、薄暗いままで窓辺まで近づくと、中庭を見下ろすことが出来た。月明りは乏しいが夜目がきくので、丁寧に整えられた庭園を見分けることが出来た。
腕のいい庭師でもいるらしい。
振り返れば柔らかそうなベッドも奥にある。
仕事を終えた安堵と心地よい休息への期待が混じった溜息を吐いてから窓辺に腰掛けて、窓枠に寄り掛かるようにして外を眺める。
それからふと歌をくちずさもうとして、手がさみしい。
(…竪琴でもあればなあ……)