2021/01/18 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】 兵士修練場」にジギィさんが現れました。
ジギィ > 黒い空に薄い月が浮かんでいる。
見上げて零す息が白く霞んで行く。
でも見上げているのは空じゃない。その手前にくろぐろと聳える石造りの建物だ。

城から続く石畳の路を辿って、漸くたどり着いたそれは思っていたより背が高い。
修練場というなら屋根が無い方が色々都合が良いような気もするけど、それはそれで野外に別の場所があるのかもしれない。

ふーっと細く息を吐きながら入口の扉を押し開ける。
鉄製のそれがぎいいーと嫌な音を立てる。一応、客だった貴族から許可らしきものは貰った(つもりだ)から聞きとがめられても問題はない筈だ。
中に足を踏み入れる。頼りない月明りで見る限りではむき出しの土に見える。

「…―――ふぅん…」

背中に体重をかけるようにして扉を閉じるとぼわっと壁際に小さく炎の灯りが灯る。
へーそこそこちゃんと整ってるなあ、なんて思いながら、周囲を見渡して―――

あった。

「へっへっへえ」

ヒトが扱う武器。
一度色々見て見たかった。
里にも手練れはいたけれど、武器はどうしたって見慣れたものが多い。
自分の獲物を取り換える気はさらさらないけれど、ちょっと触って振り回してみるくらい、大丈夫だよね?

ジギィ > さくさくとことこと修練場を横切って行って、幾つか聳える石壁の前まで行く。
ひとつひとつに色々な武器が掛っている。

私にはお馴染みの弓にボウガン
見たことはあるけど触ったこともない棍棒にモーニングスター、とげだらけの鉄槌。
細剣、短剣、両刃の剣、片刃のちょっと反り返ったもの
どれもそこそこ手入れしてある。
きっと真面目な人が居て毎度磨いたりしているんだろう。
正直、意外。

「―――…」

ひとつにそっと手を伸ばしてみる。


「!」

ふわぁと白く気配が漂った気がした。
盗難防止か何かみたいだ。慌てて指先を引っ込めると気配はあっさりと霧散する。

「…意外ー…」

頭の黒いネズミってやつでもいるんだろうか。
口尖らせて文句を言ってみるが、冷たい石壁はあたりまえだけど黙って聳えている。
ちぇっ、と小さく舌打ちして腕組みをすると気を取り直して
石壁の間を巡るように歩いて行く。

思ったより多いなあ…流石に夜明けまでは見終わるだろうけど。

その夜はそうやって思いのまま武器を眺めつくして
次回はどれとどれを触ってやろう、なんて思いながら背を向ける。
鉄の扉をまた体重をかけて引っ張り開けて振り返ってまた体重をかけて引っ張って占める。

扉の間に見えなくなっていく、武器たちをじっと見る。
彼等は冷たい闇に沈んで、もしかしたらひとときの安らぎを得て
やがて来る次の喧噪に目を覚ますんだろう…

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】 兵士修練場」からジギィさんが去りました。