2020/12/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にトレジスさんが現れました。
トレジス > 「では卿からの依頼はこれで。【牧場】の方に繋いでありますので。」

(マグメールの王城。本来は国の中枢を担う場所は、皮肉にも闇取引の現場と化す事も少なくない。
自分より格上の貴族となれば王城にいる、ただそれだけで特別な個室を宛がわれる事もあるのだ。
防音、魔力遮断と言った特殊な細工が施された部屋の中。
悪名高い貴族との取引は恙なく終えた後、特殊な部屋からの唯一の出口。
大仰な扉を開き、王城の廊下に出る。)

「(俗物が)」

(声には出さぬ。だが表情に、態度には出す。
自分の研究施設で母胎として捕らえた雌に目を付けられたのだ。
それを寄越せと、半ば以上取引ではなく命令の様に応じた形。
肩を怒らせ、フードを目深に被るも口元は苦虫をかみつぶした様に歪み、怒りの感情を滲ませ廊下を歩く。)

「(あの母胎を捕らえるのに幾ら掛かったと思っている……!あぁ、腹立たしい。)」

(優秀な母胎だった。魔力は芳醇、繁殖力の強い異種との交配にも耐える頑丈ぶり。
ミレーでもエルフでもなく、ただの人間だったのがまた優れていた。
エルフは優秀だが受胎に難があり、ミレーは近頃噂されるミレー種族へ加担する連中が目障りであり、驚異でもあった。
その点普通の人間ならばヘマを踏まなければ金銭や宝石で何とでもなる。
もっとも、これまでにかかった経費や痕跡を消すための処置に掛けた金銭から見ればはした金程度で売り渡す羽目になったのだが。)

トレジス > (やる事は多い。取引は予定外だが終了した。
そして王国の魔法使いが集う集会に表向きの研究の報告。
――顔繫ぎをしておかねば目を付けられやすい立場でもある。
嘆息。腹立たしさを紛らわせるその大仰な溜息は誰にも聞かれる事無く。
もう一つの用事である集会の場に顔を出した。

広い講堂の様な室内。既に数人、見知った顔が並び椅子に腰を下ろしている。
自分も研究報告書を先に出し、彼らとは離れた場所に一人腰を下ろした。
純然たる魔法使いの格好をしている者も居れば、騎士の様に鎧で身を固める存在もある。
市井の人間も居れば王族の様な豪奢な服を着こむ者も居た。)

「(これで見てくれの良い女でも居れば良いのだがな。)」

(魔法についての研究の報告会。年老いた者も多く、また男の数も多い。
研究対象、あるいは自らの歪んだ性欲の発散の為に【使えそう】な女は――今現在。見渡す限りでは居なかった。
居れば声くらいは掛けよう。そして共同研究の名を騙り、自分の施設へ導くつもりだった。
頑丈なほど良い。魔力が高いのも良い。だがそれらに合わせてみてくれが良い女が一番良い。使える場面が多いのだから。)

トレジス > (そうして退屈な時間は過ぎていく。幸いにしてこの日、売り渡した母胎を除けば自分の周囲は概ね平穏無事だった事だろう。)
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からトレジスさんが去りました。