2020/10/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にリズさんが現れました。
■リズ > まだ起きているひとのほうが多そうな時間帯ではあるけれど、幼い公主にとっては深夜。
おやすみ前のあれこれもとうに済ませて、イイ子でおやすみなさいをしたのは、
もう、数刻前のことだった。
そうして普段なら、朝までぐっすりすやすや、であるからと、
しばらくすれば侍女も下がってしまうのが常だった。
「ん、……ぅん………ん」
それなのに、とてもとても珍しいことに。
その晩ばかりは何故だか、夜中に目が覚めてしまった。
月明かりだけがぼんやり照らす部屋の真ん中、天蓋つきのベッドの上で上体を起こし、
きょときょととあたりを見回してから、
「……おみ、ず」
どうやら、喉がかわいて目が覚めたらしかった。
晩ごはんの時、すこし味の濃いものを食べすぎただろうか。
その上、今夜に限って、サイドテーブルの上に水差しもコップも置かれていない。
ふにゃん、と眉根を寄せて、不満げに小さなくちびるを尖らせ。
「……おみず、飲みたい……」
呟いて、更にきょろきょろと。
けれども小さな公主の、ちいさな呟きが聞きとがめられるはずはなく、
侍女の姿もない、となれば。
もそりとベッドから足を出し、不器用な手つきで室内履きを履いて、
薄暗い部屋を横切って扉へ向かう。
扉の向こうは本来は、侍女が控えている部屋だけれど。
果たして、侍女はそこに居てくれるだろうか。
それとも何か、取りこみ中であったりするだろうか。
あるいはもしかして、そこには誰か、見知らぬ人が入りこんでいたりする、だろうか。
■リズ > かちゃり、両手でノブを回して押し開けた扉の向こうは暗く静まり返って、
そこに控えているはずの侍女は見当たらなかった。
幼いけれども決して丸っきりの馬鹿ではないので、
ひとりで外を出歩かないでくださいまし、という侍女のお願いは覚えている。
お約束、と頷いたことも覚えている。
ので―――仕方なく、開け放った戸口に膝を抱えてしゃがみ込んだ。
ここに居たらきっと、帰ってきた侍女がすぐ気づいてくれる。
そうしたらお願いすれば良いんだ、と―――――
夜明け間近、侍女がどこかから戻ってきたとき。
幼い公主はそのまま、そこで、すっかり眠りこけていた、という。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からリズさんが去りました。