2020/09/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にエリアさんが現れました。
エリア > ――午後に開かれた茶会に出席する為、久々に入城したは良いものの――増改築を繰り返している城の中はまるで迷路の様で、つい珍しさに任せてあれこれ探索していると……。

「……ここはどこでしょう……?」

連れて来た侍女とも逸れてしまい、一人ぽつんと各所に造られた回廊に囲まれた中庭の一つで呟いた。
途中まではどこを歩いているのか分かっていたつもりだ。その時は侍女も傍らに付き添っていた。しかし、各所設置された壁の絵画や調度品に興味を惹かれ、また厨房から漂う良い香りに誘われて連れの所在も確認せずに探索していると……気づけば一人で現在位置も判らなくなってしまっていた。

「困りましたわ……どなたか通りかからないものかしら……」

そこは城内でも端の方で中央部よりもぐっと人の出入りが少ないエリア。建物の合間から日の差す小さな中庭も小鳥が遊びに来ているくらいで至って静か。

取り敢えず足が疲れてしまった……小さな噴水と花壇、東屋の設えられた中庭。その東屋のベンチに座り、通りかかる者を待つように回廊を見回した。

エリア > 「このままどなたもいらっしゃらなければ、城内で遭難してしまいます……。っふふ。もしかすると城に出ると噂の幽霊はわたくしの様に中で迷って出られなくなってしまった方なのかも知れませんわ」

広い敷地、増築されて数えきれなくなった部屋。巨大な城と言う迷路の中に迷い込んでしまった割には、呑気そうにそんな空想をして小さく笑う。
――城のどこかには別の世界への入口があってそこに入り込んでしまえば、もう生きて出ることはできない……。
取り留めなく頭の中で安っぽい物語を創ってしまう程に、令嬢は閑で今やるべきことが何も思いつかなかった。もう少し自立心が強く能動的な性格であれば、この現状を打破する為の思案に耽るのだろうが――。そうでもない怠け嬢はただぼんやりと空想世界に漂い、現実からも迷っていた。

「誰もいらっしゃいませんわね……。そろそろどなたかいらしてもと思うのですが……」

空想が一回りした処で、現実に一旦回帰して回廊を見通し、響く靴音を期待して耳を澄ませた。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にブレイドさんが現れました。
ブレイド > 情けないことに魔族側の間者となって王都に戻ってきてしまった。
とはいえ、何をすればいいのやら。
ひとまず仕事の一環として王城にはいったがさてさて。

巡回の仕事をこなしつつ、なんかないかとウロウロとしていたが。
なんだろう。
女?

こんなところで何をしているのか…?横目で眺めつつ歩み寄って

エリア > 「……あら……」

耳に響いた靴音、規則正しい割にどこか迷いも見える様な不思議な歩調。女性にしては重いし、男性にしては少し軽い。そんな印象の音にまず気が付いて音の方角へ顔を巡らせれば、目にも確認できたのは……衛兵? 城の兵士だろうか。それならば好都合。
自然とおっとりとした笑みを投げかけて、緩やかに片手を挙げ。拱く様に柔らかく五指を丸く曲げ。

飽くまで動くのは自分ではない。歩み寄る彼を出迎える様に、微笑みかけ。

「お勤め中かしら? 良い処にいらして下さったわ」

ブレイド > 「え、ぁ、へぇ、なんかごようで」

緩やかに手を上げ招く女性。
声をかけられるとは思わなかったので、少し面食らった。
むしろ一介の兵士に声をかけるなどと…
しかし、ここでスルーしても面倒くさいことになりそうだ。

呼ばれるがままに彼女の前へと歩み敬礼。
敬礼ってこれであってただろうか?
所詮食客として雇われた身。軍の作法には疎い。

エリア > 「………?」

何やら下男の様な話し方をする。そして続いた敬礼の所作も至ってぎこちない。
城で召し抱えられている衛兵としては――有体に言ってレベルが低い……。腐っても貴族。不審な気持ちを抱くが、それをここで口にしたところで恐らく利はない。
変わらず表情はゆったりと落ち着いた微笑みを刻みながら。

「ええ、用向きがなければ呼び立てませんわ……。
わたくし、本日のお茶会に招かれたのですが……。城の中で迷ってしまいましたの。侍女とも逸れて……。わたくし一人で困っております。どうぞ案内をして下さいな」

内容の割には大して困ってもいなさそうな表情。王族の娘が開いた茶会。その娘の名を口にして。当然それで話が通るだろうと。

ブレイド > 「城の中で…そりゃこまったもんっすね
しかし、案内と言っても…」

とある王族の娘の開いた茶会。
それはわかった。困っているのもわかった。
そうは見えないが。

だが、それを言われて話が通じるわけもない。
地理はともかく、王族の娘の名前に明るいわけでもないし
何よりこういうった人達が集うようなサロンには一般的な兵士は近寄れないものではないだろうか?

当然連れて行ってくれるのだろうという表情の女性に足しては少し困ったように

「えーと、部屋の名前とかわかりませんかね…」

エリア > 「ええ、普段なかなか来る機会もないものですから……。
 東棟の方がまた増築された様ですわね。お蔭で迷路になってしまってますわ」

そこを考えなしに赴くまま探索なんかしたから、こんな事になっているのだが。
不案内な構造に問題定義。実際城に不慣れで彷徨える貴族は多かろう。

「いいえ、侍女が把握しますのでわたくしは存じ上げませんわ」

どこで行われているのか、庭であれば室内とは違った装いを選ばなくてはならないのでぎりぎりガーデンパーティではない事は分かっているが。

「失礼ですが、あなたはどちらにご所属かしら……?」

弟は一応王国騎士だ。大きな武勲を立てた訳でもないので無名だが。一応この年若い兵士の所属を問うてみた。
ひょっとすると弟から聞き及んでいた師団である可能性もある。

ブレイド > 「へえ…俺も普段は兵士業やってないもんで
増築部分のことはあんま詳しくないっつーか…
まぁ、慣れてるんでこれくらいなら迷うこたねえですけど」

女性の物言いに苦笑。
っていうか、その侍女はどこにいったのだろう。
ずっとついてるはずの存在を巻いて一人で迷子とか
相当好き勝手に歩いたのだろう。

「所属は王国軍第五師団で、食客として雇われてたんっすけどね
どうも最近第五師団の師団長がかわったかなんかで
宙に浮いてる状態で…指示を待ってるとこっす」

これに関しては間違ってはいない。
この鎧もその名残だし、似たような状況の兵士もいるだろう。

エリア > 「まあ、そうですの……道理で。お城の兵士としては随分変わり種だと思いましたわ。
それは心強いですね。通りかかったのがあなたのような方で助かりますわ」

新人兵士か何かかとも思えた。故に最悪の場合一緒に迷い始めることも考えられるのではと思っていたので、少なくとも城内の地理に明るい事に安堵した。

「第五師団ですの。ああ……近衛以外は変則的な場合も珍しくはない様ですから。
そんな状態では雇われている立場では苦労しますわね……」

若い兵士の所在ない気持ちを想像したかのごとく微苦笑して小さく肩を竦め。
そして、こうしていても埒が明かない事には遅ればせに気づき。
不意に立ち上がると、

「――決めましたわ。どうせもうお茶会には間に合いません。折角ですからこのままお城の探索を続ける事に致します。共をして下さるかしら?」

にっこり、と笑みを深めたのは――まさか断りはしないだろうな、という含みを持たせて。飽くまでも優し気な挙措ではあるが、貴族の端くれたる威厳を多少は秘めていた……であろう?

ブレイド > 変に疑われると思ったが、むしろ理解を示している。
口調はともかく、柔軟な思考を持っているようだ。

「まぁ、感覚で道はわかりますけど、部屋の名前とかには疎いんで
その辺を教えていただかないと案内は…」

少し難しい。
それを彼女に伝えようとしたその時
なんかとんでもないことをいいだした。
しかも、こちらをみて微笑んでくる。
ただの微笑みではなく、少しばかり圧を感じる。
断ったら、道案内を断る以上に面倒くさいことになるだろう。

「わ、わかりました。お供させていただくっす…」

再度敬礼。肩がカクリと落ちる。