2020/08/31 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城」に小藍さんが現れました。
小藍 > 広大な王宮の一画
夜の帳が落ちたにもかかわらず、その中庭には煌々と明かりが灯されている。
その明かりは、蒸し暑さを増長させるような篝火ではなく、魔導機器を用いたもの。
他国からやって来た賓客に対して、王国の魔導技術を見せつけるかのような絢爛さ。

そんな明かりに照らし出されるガーデンテラスには、色とりどりの料理が並べられ。
楽隊が煌びやかな場に相応しい優美な音楽を奏でている。
王族の一人が主催する宴だけあって、規模も大きく、参加者はもちろん、使用人の数も多い。

屋内の会場に入りきらなかったから、という有りそうで無いような理由は添えられてはいるけれど、
その実、屋外の方が相手を連れ出しやすいという、そんな身も蓋もない理由も存在する。
煌々と明かりに照らされた会場のすぐ脇の暗闇には、まだ宴が始まって半刻も過ぎないというのに早くも幾組もの男女が姿を消しており。

「………もうちょっと体裁とか、慎みとか、あっても良さそうなんですけど。」

まだこの国に来て日は浅いものの、風紀の乱れようは驚くばかり。
ほんの少し気を抜くと襲われてしまうから、気が休まる間もないというのが本音のところ。
できるだけ目立たないように会場の端の方に佇む少女から嘆息がひとつ漏れる。
あからさまな催しを避けて出席しているにもかかわらず、これなのだから気も滅入るというもので。