2020/08/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にノイエさんが現れました。
■ノイエ > 薄曇りの空の下、宴の喧騒からも地下の阿鼻叫喚からも縁遠い、木々のざわめきばかりが聞こえる場所。
古ぼけた石造りの四阿の中、ベンチに腰掛けて夜風に吹かれる、束の間の休息を楽しんでいた。
少なくとも表立っては宴に呼ばれることも無く、
寧ろ普段は出来る限り、人目につかぬようにと命じられ、
宛がわれた自室で息を潜めるように暮らす身に、唯一許された娯楽が此れだった。
―――――不満は無い、個人的な望みなど、そもそも無縁である。
其れでも時折、息が詰まるような感覚に苛まれると、こうして一人、
庭の片隅、忘れ去られたように佇む四阿を訪れる。
時間にすれば、ほんの半時程の―――――侍女という名の見張り役が迎えに来るまでの、
本当にささやかな娯楽、ささやかな自由だった。
■ノイエ > ふわふわと風に戦ぐワンピースの裾から、揃えた華奢な足先が覗く。
履き物として与えられているのは、柔らかな素材で作られた布靴だ。
傷のことが無くとも、とてもとても、遠出など出来そうも無い、白くて綺麗な脆い靴。
爪先近くを彩る銀糸の刺繍が星明かりに煌めくのを、茫とした眼差しで眺め降ろし。
「………其れでも、裸足で歩かされるよりは良い、わね」
命じられて向かう場所によっては、履き物どころか、服も許されないことがある。
どうせ自ら歩いて出かけることなど無いのだから、と用意されないよりは、
こうして最低限の『気遣い』はして貰える、飢えとも寒さとも無縁の生活。
其れを不満に思うことなど、勿論在ってはならないのだろう―――――
「―――――不、満……?」
己は今、不満だと感じているのだろうか。
取り留めも無い思考の、予想もしていなかった帰着点に気づき、はちはちと瞬きを繰り返す。
緩りと首を傾がせて、ほんの少し、眉根を寄せた思案げな面持ちを、暫し。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にレギオンさんが現れました。
■レギオン > 宴の喧騒から、離れての散策。
給仕の窮屈な衣服の襟元を緩めて、袖を捲りながら歩いてきた。
急病になった給仕の穴埋めとして雇われたが、そもそも性に合う筈もなく。
手の空いたほんの隙間の時間を使って、こうして散策――忌憚なく言えばサボりに来た次第。
咎められぬように、人気のない方に無い方にと歩いてきて、辿り着いたのは此処。
「―――おや……?」
静かな四阿の空気。
夏の名残も大分薄らいだ夜気を楽しんでいた視線に触れるのは、白金の貴人。
その前に、ささやかな一言を聞いていたのか、いないのか。
投げかける声が、彼女に向けるには似つかわしくない気安さを述べる。
「サボってるんだったら悪い。
こんばんは。お嬢ちゃん。良い夜だな。」
そして、次いだのは、そんな飾り気のない挨拶。
軽く右手を振ってみせる。
言葉をかける前に彼女が零した言葉は、聞いていたのか、いないのか。
左右色の異なる眼差しは、ただ、偶然の邂逅を寿ぐように笑みの形を浮かべていて。