2020/08/13 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城」にアルマさんが現れました。
アルマ > ――…今夜が仕事の最終日である。
今夜こそは肩にかけた革鞄の中に大事にしまった小箱の送り先の女性と会いたいのだが、上手くいくかどうかは運次第。

今夜も王城の中をお店のエプロンを着用した姿で歩き出す。
通りかかるメイドさんや使用人の方々は見てみぬふり、騎士っぽい姿の人は妙にピリピリしているし、奴隷商人です!と言わんばかりの人影もちらほら、昨晩に引き続き空気が悪い、何か事件でも発生したのだろうか?

それについては考えていても仕方がない。
王城にくることなど滅多になく、是が王城での日常風景なのかもしれないし、今はそれよりも仕事を終わらせることが先決なのだ。

荷物自体は軽いから足取りも軽い。
にじみ出てしまう好奇心に時々辺りを見渡して調度品や絵画やら高そうなモノに白色の瞳を輝かせ、鼻息を少しだけ荒くしながらも目聡く周囲の人の声に耳を傾ける。

「………でも店長もう少しヒントが欲しかったなー騎士の方なのか、何処かのお嬢様なのかーとかメイドさんとか?職業的なヒントだけでも……。」

昨晩帰宅後に店長に届ける相手を確認したのだが、矢張り【女性】【合言葉】の二つしか教えてくれない。
合言葉は複雑な言葉ではないし、合言葉からヒントも難しい。

ともあれ、歩いても疲れないくらいに踏み心地のよう絨毯を踏みしめながら、賑やかな部屋があれば覗き、妙な声がする部屋があれば聞き耳をたて、歩き続けるのである。

アルマ > すれ違うメイドさんには無視されても一応合い言葉で話しかけるのを忘れない、忘れないんだけども矢張り全戦全敗、スルーされ続けると流石に心が折れる。

それでも仕事なので、届けるまでが仕事なので歩きつつ探しつつ、話しかけつつ……と、表情は次第に曇っていくがコレも仕方ないことだろう。

段々と話しかける声色に元気がなくなってくるが、一度足を止めて自分の頬を両手で叩いて気合を入れなおし、また歩く……。

「是で今夜見つからなかったら店長に文句言おう。流石にヒント無さ過ぎる……これじゃ視界に入った女の人に総当りしないと解らないじゃないか……。」

歩きながら、エプロンのポケットに手を入れると店長直筆クラーケンが陸で暴れまわるような文字で書かれたメモを取り出すと、片手で半分折りのそのメモを開いて視線を落とす。

【女性】【美人(かわいいかも?)】【合言葉】とやったー店長がメモを新しくしてくれていたぞーと心の中でガッツポーズしながら、直ぐにメモをくしゃくしゃに丸めてポケットにしまう。

余計わからないじゃないか!!!と叫びたい衝動を抑えて、代わりに絨毯の敷かれた床をダンダンと踏みしめるのであった。

アルマ > 今夜もハズレかな?ハズレなのかな?

曲がり角をひとつ曲がったところで足を止めて、その場で両肩を大きく落す。

でも?まあ?どうみても店長の所為であるし?自分の所為じゃないし?と軽く開き直るが、何とも納得いかない。

とりあえず休憩だと、近くの壁に背中をあずけてズルズルとその背中で壁をすりながら廊下に座り込んでしまうのだった。

「………空振りは精神的にも疲れる……。」

深い深いため息を吐いて項垂れるのであった。
――…うーん、次回はちゃんと店長に説明と言うか、メモでも何でもわかるまで問い詰めないとダメだなこれは……。

こうして今回の仕事は……失敗に終わるのだろうか?
若しかしたらお城から出るときに幸運にも……とかありえるかもしれないが。