2020/08/02 のログ
ヒューム > 田舎から出てきたばかりの少年にとって、王城は迷路。
何とか一人で困らない様にと一生懸命になる内に迷子になあってしまって内心ため息一つ。

「アストリ様 近衛…凄いんですね。」

等と少年は目をキラキラと輝かせ。
そこで自分がまだ自己紹介をしていなかったことを差し出された手が思い出させてくれて…。

「ヒューム・ラゼットと申します。 今はまだ騎士様の従士として雇ってくださる方を探しています。」

と、差し出された手に自分の手を重ね柔らかく握り込む。
その掌は柔らかくも、剣だこができており少し皮膚が固くなっている。

「初めてお話しする騎士様が アストリ様の様に優しくてお綺麗な騎士様で良かったです。」

等と嬉しそうに微笑みを向ける少年。
相手の手の温もりも心地よく感じながら、そっと手を離して。
甘い香りは柔らかく弱い催淫であるが、それは徐々に体内に溜まっていく甘い毒。

「従士の方たちが詰める場所の傍までで結構ですのでよろしくお願いいたします。このお礼は僕にできる事でしたら何でもおっしゃってくださいね?」

と、柔らかく相手に告げ隣に立ち横の相手を見上げた…。

アストリ > 「畏れ多くも光栄な事にね。」

金糸の合間からちらと除く爛と輝く瞳に思わず苦笑が浮かんだ。
自身が近衛騎士の地位を得ているのは、腕前だけではない事も確かで。
姫君等に悪い虫が近付かない様にする為にするのに、そこそこ地位があって腕のある女騎士と言うのは勝手が良いのだ。

「君は私を喜ばせる天才だな。 ヒューム殿に良き縁がある事を願うよ。」

握り返してくる手は己よりも小さく、子供らしくふくりとした感触がある。
年の離れた弟妹のいない自分にとっては慣れない触り心地でもある。
然し、その中に少年の努力の痕跡を感じ取れば、唇が湛える笑みの色をより一層濃くなるのだろう。
それから、少年の告げる行き先を聞けば一つ頷きを返して先導するよう、半歩程先を歩き始める。

「お礼、お礼か…。改めて言われると、すぐには思いつかないものだな。」

少年の先の言をとり、他愛のない会話をしながら人気のそう多くない通路を進む。
時折、見回りの兵士もいたが王城に勤める元達の居住区へと近付けば時間もあって人通りはぱたりと止んで――少年の告げた区域に着く頃には、じわ、と肌が、体の内側がほんのりと熱を持っていた。
気の所為かと思考から外した香りは、歩いている内に慣れてしまう程の柔らかさ。
それが離れるでもなく、弱いとは言えども近くで受け続けていればある程度耐性のある身にもそれなりの毒となるのだろう。

「……、この辺りまで来ればもう道は分かるかな?」

然し、その熱も、疲労からくる微熱だろうかと思う程度には、欲に疎いのも事実。
じんわりとした熱さに短く息を整えれば、何でもないような顔で少年へと声をかけ。

ヒューム > 相手の苦笑に少年はクスリと小さく笑みを浮かべ。
喜ばせる天才と言われれば少年の笑みも深くなり。

「アストリ様に少しでも喜んでいただけて嬉しいです。」

するりと伸びる女性の手。その温もりと、浮かぶ笑みについ見とれてしまうのは少年特有の大人の女性への憧れもあり、胸が高鳴る。
もっと触れたい、もっと撫でて欲しい、等とついつい思ってしまう。

「ふふ。 思い浮かんだら言ってくださいね?」

そして他愛無い会話を楽しみながら時折見回りの兵士とすれ違えば頭を小さく下げて…。
ついてしまえば、愉しい一時ももう終わりが近いとどこか寂しく思えいながら、見上げれば、熱を体内で抱える相手。

「はい。 おかげさまで大丈夫です…。」

自分のいる部屋まであと少し。小さく息を整える相手に少年はそんな言葉を向け、どこか気遣う様に見つめ。
何でもない様に囁かれた言葉に終わりが見えたひと時。
一瞬迷いながらも、顔を上げ。

「もしよかったら、僕の部屋で少し休んでいかれませんか? もう少しアストリ様と過ごしたいたいのです…。」

そんな言葉を囁きながら小首をかしげながら問いかけ、そっと相手に向け手を伸ばし相手の手に自分の手を重ねようとする。
相手の手が逃げなければ柔らかい少年の指が触れ、指を絡ませていく。
媚毒が染み込む相手の肌にはその刺激ですら、甘く響き相手の神経を擽り体内に溶け込む毒を起こしていく。

アストリ > まさかじわじわと生じた熱の原因が少年にあるとは微塵も思いもしない。
少年の部屋まで無事案内が出来れば僅かに篭った吐息を逃がしながらも、良かった、と笑み交じりに告げて。

「うん?」

次いだ誘いには表情を柔くした儘、はつり、と瞳が瞬く。
邂逅当初に少年に抱いていた僅かな警戒心は、道すがらの会話もあってすっかり霧散してしまっていれば、そっと伸ばされた細い手を避ける事もあるはずもない。
成長途中の華奢で柔らかな手指が、己の指へと絡む感覚に、頭の奥が鈍る。

「…それは、嬉しいお誘いだけれど……ううん、情けない事に少し熱があるみたいなんだ。」

さっきからちょっと体が熱くって、と困った様に告げる言葉はどこかとろりとした音で。

ヒューム > 徐々に徐々に自身の毒が相手に染み込んでいく。
そして、相手を誘う言葉。
聞き返されれば駄目であろうかと思いながらも、絡む指先。
指の間の薄い皮膚を撫でながら、もう片手を添え、少年の胸に引き寄せて。
そして相手の声にどこか甘さが混じればその声をもっと聴きたいとも思ってしまい…
相手の手を握る手に僅かに力が籠る。

「情けなくなんて無いです…。 でしたらなおさら僕の部屋で少し休んでいってください。
僕のせいでアストリ様の帰りが遅くなったせいでもありますし。
夜の王城には気を付けなければいけないと聞いたこともありますから…。
薬湯を直に準備いたしますから…」

自分の淫魔としての力のコントロールが甘く相手がそうなっているとは、少年自身もまだ気付いておらず。
相手の体調を心配する声にも嘘はなく胸に抱いた手を軽く引き相手を見詰める。
相手の体内で濃さを増していく媚毒は理性や判断能力をも徐々に崩し始めていく。

アストリ > 正気であれば少年と手指を絡ませ合う、等、それこそ瞬く間に卒無く躱していただろう。
然し、皮膚が擦れ合う感覚が、今は無意識の内にも離れ難いと感じる程、心地好い刺激で。
過敏になりつつある神経が其れを拾って体の内側に広がって行くような。

「ヒューム殿の所為ではないよ。私の体調管理が甘かったんだから。」

こんなにも少年の心配そうな表情を見ればかえって申し訳なさの方が先に立つ。
思考が、徐々に纏まりを悪くしている事には気付かない。
数秒、困り顔で悩んでいたが、小さく吐息をを逃がして薄く口角を持ち上げて。

「――でも、少しだけお邪魔させて頂こうかな。」

薬湯を貰ったら帰ろう。その間だけ。――そんな風に、普段であればしない判断を崩れ始めた理性が行って。
そうこうしている間にも、直で触れ合った為なのか、先よりも孕む熱が温度を上げている。
隊服が肌に擦れるだけですら肌がざわつきを覚えて。

ヒューム > 手に感じる相手の指の間の皮膚。
こすれ合うと少年にとっても心地よくその温もりが少年の体の内に解けていく。
自分のせいではないと聞いてもそんな事は無いとばかりに小さく頭を振り。
胸に抱いた相手の吸い付くような手を包みこみ。
じっと見上げればサラサラの禁止の下の大きな瞳が相手を映す。

「はい。歓迎いたします。」

相手が折れれば少年の顔にはほっとしたような嬉しいような笑みを浮かべ。
相手の手を引き自身の部屋へと。
部屋はまだ生活感のないシンプルな部屋。
壁にはショートソードや少年が良く使う丈夫な木の棒が置かれているぐらい。

書き物をする書類机に、明かりの付けられたランプと、花が飾られた花瓶が置かれる木の大きめなテーブルと椅子が二脚。

相手を部屋の中に招けば、木製の分厚い扉は蝶番のギィ─と軋んだ音をたてながら締まっていく。

「さ、こちらに座ってお休みください。 今薬湯を入れてきますので。」

相手を座らせると、少年は一度離れ背を向けて薬缶に水を入れ、火の上にくべ湯を沸かしながら、薬湯の準備を手慣れた動作でしていく。
誰かに入れられるというのも、なんだか嬉しく思い、少年の動きは軽い。
解熱の効果のあるハーブティーをカップに淹れてから盆の上に載せ隣に戻ってきて。

「さ、アストリ様。少し冷ましてからお飲みください。水タオルを持ってきましたのでお拭きいたしますね?」

従士としてのお仕事です。等と柔らかい笑みを向けながら、水を吸った小さめの柔らかいタオルを片手に、相手の項に軽く押し付けていく。
それは火照った体の熱を少しでも奪おうと、血管に近い首元の皮膚の薄い場所を撫でるようにタオルが滑っていく。

だが、熱を孕み色づく相手の色気に、つい見とれてしまい、相手の耳元擽る様に呟きを一つ落としてしまう…。

「アストリ様…とてもお綺麗です…。 すみません、体調が悪いのにこんなことを言ってしまって…」

隊長が悪い相手に言うセリフではないとはたと気付いて、直にそんな言葉を紡ぎながら、相手を怒らせたり不快な思いをさせてしまったかと不安そうに相手の瞳をのぞき込む。

よく見れば少年の顔は整った形、髪で隠されたつぶらな瞳と言葉を紡ぐ柔らかな唇。
まだ男になる前のどこか妖しい色気を持つ少年。
相手が手を伸ばせば触れる事も離す事も容易く出来るだろう。

アストリ > 末端から広がる緩やかな刺激。
ただ握られただけだと言うのにも関わらず、ぞくりとしたものが立ち上り。
誘われる儘、少年の部屋の中へと足を踏み入れる。
無意識の内に視線が室内の様相を捉えようと一巡りした。
少年の王城に来たばかりだとの言に違わず、まだ物の少ないシンプルな部屋の中、花の飾られた花瓶を認めれば己を気遣ってくれた少年らしさを感じて眦が柔む。

「ありがとう。」

促される儘腰を下ろせば今まで立っていた事が不思議な程、どっと体の重みが増した気がした。
ふ、と浅くない呼吸を一つ落としては、徐々にぼんやりとし始める思考の儘、息苦しさを逃がそうと詰襟を緩めて薄っすらと汗ばむ肌を空気に触れさせて。
一息吐いた事で気が弛んだのだろう、短くない時間で溜め込んだ媚毒の進行が加速度的に増していく。
既に、少年の申し出を断らねば、と思う事すらもう出来なくなっていた。
首元に充てられた冷えたタオルに、鼓膜を揺らした声に、小さく身を震わせれば、「ん」と上擦った呼気が零れ落ち。

「……いや、…別に、気にしてはいないよ。」

何とか返した言葉も、己の中で返答になったかどうかの判断が曖昧だ。
不意、少年の不安げな瞳と視線が交わる。
先程は金糸の隙間から覗いていた形は良く見て取れて、つぶらな瞳に、形の良い幼さを残す唇に、くらり、と脳が眩暈を起こす。
最初の澄ましていた表情は何処へいったのかと問われかねない程に、うとりとしたした物へと変わる表情。
儘、首元をタオルで拭う少年の手の上へと己のそれを重ねては、振り解けてしまう程度の力でサラシの巻かれた胸元へと誘って。

ヒューム > 絡み合う指先。
自分の熱を相手に伝える様にするりと撫でながら部屋の内へ引き込む。

「アストリ様が入ってくださって僕も嬉しいです。」

と、椅子に腰を下ろした相手に囁きかけ。
詰襟を緩めうっすらと汗ばむ肌が晒されれば、細い喉はコクリと動き。
つい、その場所を見詰めてしまう。
そして戻ってきてから、水で濡らし冷やしたタオルで相手の汗を拭ってい行く内に聞こえる上ずった声に大人の色気にぞわぞわと心が撫でられ、
零れた言葉。
気にしていないと告げられ、絡み合う視線。
そして、相手の胸元へと誘われる手はピクリと揺れ、水タオルで相手の服を汚さない様にと、タオルを下へと落とし…。

「アストリ様…」

相手の名前を甘く囁きながらサラシの上から相手の肌を撫で、そっと身を寄せていく─。
ランプに照らし出される二つの影は一つになっていく。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からアストリさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からヒュームさんが去りました。