2020/08/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にアストリさんが現れました。
アストリ > 王都にある教会の慰問に向かった姫君の警護を行い、居室へと送り届けた帰り道。
庭園を貫く渡り廊下を足音も静かに進み行く。
明日は予定通り休日を迎えられそうだ、と思えば多少なりとも心が浮つくのも仕方ないだろうか。

「……とは言え、特に予定もないのだが。」

親しい友人との茶会がある訳でもない。
日課の鍛錬の後は暇になる事間違いなしなのだ。
白い手袋に包まれた指先で悩むように顎先を摩り。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にヒュームさんが現れました。
ヒューム > 地方から王城に上がって紐短い少年。
主や従者として騎士見習いさせてくれる相手が見つかるまでに、王城の事を少しでも学ぼうと部屋から出てうろうろしているうちにすっかり迷子になってしまい。
困ったような表情を浮かべながら歩くと、庭園を貫く渡り廊下の先に見えた人影。
なんと声を掛けたものかと悩みながらも、小さく頭を下げる。
相手が目にするのはまだ幼いエルフの耳を持つ少年。
執事見習いや従者見習いか、はたまた、王城の貴族に呼ばれた男娼のようにも見えるかもしれない。

アストリ > そも、茶会等も付き合いか嗜み程度で興味がある訳でもない。
同じ年頃のご令嬢達とは余り趣味が合わないのだ。
頭の中で明日の予定の算段を立てながら足を進めていれば、正面に見えた小さな影。
距離が縮む内、何処となく頼りなげな様子を見て取れば1m程間を空けた位置で足を止め。

「君。何方からかお呼びが掛かっているのかな?」

柔らかな調子と表情を作って声をかけた。
少年が向かう方向は王侯貴族の居住区の一角の方面だ。
それにしては急ぐでも無い様子に警戒をするのは騎士として至極当然の事で。

ヒューム > 声を掛けられるとは思っていなかったのか…。
下げた頭、小さな体はびくりと揺れる。
呼ばれているのかと問われれば少年は顔を上げ小さく首を振り。

「いえ、まだ王城に上がって日が立っておりませんので。 小間使いを頼まれた時に少しでも困らぬようにと、歩いてみたのですが…」

と、そこで困ったような表情を浮かべ、ようやく少年の大きな瞳は相手を見る。
騎士の服に身を包みすっと筋の通ったように伸びる背。
前に流している編まれた髪も月明かりを受けて美しく。
ついつい見とれてしまう。

アストリ > 少年の震えからは動揺と言うよりは緊張と言った雰囲気を捉えた。
警戒を含んだ事を悟られない様、柔い表情を浮かべたまま、存外確りとした受け答えに、そうか、と短く一言返し。

「成程。それは良い心構えだね。然し、この先は尊き方々の居住区もある。」

完全には警戒を解かぬ儘、肩越しに今し方歩いて来た方向へと視線を向けて告げてやる。

「礼装を纏っているとは言え、夜分に出歩いては要らぬ疑いを掛けられることもあるからね、気を付けた方が良い。」

少年が分かっていて進んでいるのか、いないのか。
判断がつかぬ内に強行はしないが――と、何処か惚とした様な面持ちが視界に映る。
どうした、と言わんばかりに頭を傾げれば金の房も小さく揺れ。

ヒューム > まだ騎士としての経験も浅い少年。
相手の内にある警戒を感じ取れることはまだ無く。相手が柔らかな調子に無い信組っと安堵の吐息を漏らし。
この先が王族の居住区であると告げられれば、緊張に冷や汗が浮かぶ。

「あ、ありがとうございます。戻りたいのですが…どこをどう来たか分からなくなってしまいまして…」

気をつけた方が良いという言葉に、さっと血の気が引いて青くなり、コクリとつばを飲み込めば、細く、まだ喉仏も出ていない喉が小さく上下に揺れ自分が迷子になってしまったと小さな体を小さくしながら呟き。

顔を少し赤くしたり青くしたりとコロコロと変わる表情は素直なもので。
どうしたと頭をかしげる相手を見れば、それでも、やはり、すっと立つ優しい騎士は少年にとって格好良く。

「いえ、騎士様がとても格好良くて…」

そして格好良さと女性としての美しさに先程とは違った緊張を覚えるとともに、体内に眠る淫魔としての血が蛇の様に鎌首を持ち上げ始める。

アストリ > 「おや。…それは大変だったね。」

血の気が失せた顔色を見れば、少年のまだ幼い体躯も相まって流石に可哀想になってくる。
迷子になったらしい相手に追い打ちを掛けるような言葉は口にはせず、労いを言にしては、改めて少年の姿を上から下まで視線を流し。
動揺や顔色を露わにする姿が演技であれば、それはもう見事と言う他ない。
それ程、少年は己から見ればまだ未成熟な状態だ。
続けられた言葉に、思わず双眸を瞬かせてしまう程度には警戒心も薄れてしまうと言うもので。

「……ふふ、…いや、ありがとう。嬉しい誉め言葉のお礼に、私で良ければ道案内はどうだろう?」

少年の内側で醒め始めた本能には気付かぬ儘、嬉し気に澄まし顔を緩めた。
幸い、本日の勤務は終了済み。
他の兵士を呼ぶより、自分が直接同行して送っていった方が良いだろうとも思い。

ヒューム > 血の気が引いた顔も相手の気遣いの言葉に、内心ほっと胸を撫で下ろし。
向けられる優しい言葉に少年も少し恥ずかしそうにしながらも、柔らかい笑みを返し。

「お恥ずかしい限りです…。 」

と、もう一度頭を下げて顔を上げて。
相手の表情が緩み、案内してくれると聞けば嬉しそうに微笑み。揺り起きそうになる淫魔の本能を抑えようとすればするほど、そして、穏やかな相手の表情が何とも言えず魅力的で高鳴る胸の鼓動は早くなる。


「騎士様、宜しいのですか? ありがとうございます。 ご迷惑でなければ是非…、ご一緒いただけたら嬉しいです。」

と、少年は照れながらも表情はぱぁっと明るくなり、嬉しそうに微笑みを浮かべる。
そっと距離を詰めれば、せめぎ合う本能を理性で抑えながらも少年の肌から香る柔らかく甘い香りが僅かに強くなり本当に弱い催淫の力が混じり始める。

アストリ > 長い歴史の中で増改築を繰り返している城だ。
王城に上がったばかりとなれば迷ってしまうのも致し方無いのだろう。
寧ろ、職務中でなかった事は少年にとて幸運だったやもしれず。

明るくなった少年の表情に一つ頷いては思い出したように短く声を上げ。

「勿論だとも。 ――そう言えば、まだ名乗っていなかったね。
私はアストリ・ラ・ファイエット。近衛騎士団に所属している。」

どうせ自分の行き先もこの庭園を抜けた先である事だし、手間ですらないのだ。
澱みなく快諾すれば片手を差し出しながら自己紹介を。
―――と、不意、鼻孔を擽った甘やかな香り。
然し、場所もあって庭園の花の香りだろうか、と微かに思考を過るだけで、間近の少年から発せられている物だと気付きもしない。