2020/06/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にマデリンさんが現れました。
マデリン > 口ぎたなく逃げた奴隷を罵る声、重く硬いいくつもの靴音。
それらが複雑に反響する薄暗い通路を、薄手のワンピース姿の小柄な人影が、
ふらふらとあちこちで壁にぶつかり、床で躓きかけながら、必死に逃亡を図っていた。

時間の感覚すら曖昧になるくらい、ずっとずっと魔導機械に繋がれていたから、
当人は全力疾走しているつもりだけれど、とてもそうは見えない。
しかし、もしも見つかってしまえば、また捕まってしまえば、
いくら頑丈な器とは言えど、今度こそ壊されてしまいそうな気がする。
だから、どんなにふらふらしていても、頭がくらくらしていても、
立ち止まるわけにも、諦めるわけにもいかないのだった。

「も……ぉ、ここ、どこだよ、ぉ………っ、
 ……出口とか、無いわけない、だろっ……!?」

行けども行けども、石造りの細い通路が続くばかり。
途中であちらこちらへ枝分かれしていて、追っ手がどこから来るかも分からない。
――――人間で言う、貧血に近い状態なのか。
視界が、暗く翳んでくる。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にルヴィエラさんが現れました。
ルヴィエラ > (其れは、偶然であった。
階上、丁度城内で言う、中央廊下に当たる部分で、用を済ませ帰る最中
感じたのは、目に見える周囲では無く、丁度足元――地面の、下の気配
其処に誰かが居る、と感じ取れたのは、其の気配が他と異なり
随分と独特であったから、やも知れぬ、が

――弱い、弱々しい。 まるで餓えて痩せこけた子犬の如く。
己もまた、地下で何が起きているのかまでは知れぬ身では在ったが
ふと、起こした気紛れは、其の「異常」に興味を抱いたが故の。)

「――――――――来なさい。」

(――僅か経過して、地下を行く娘の傍で声が響く
振り向けば其処には、何処から入り込んだのか、一匹の黒蛇と
壁際に、空間を捻じ曲げたかの如くうねる、影の穴が在るだろう
そうして、鎌首を擡げた蛇が、明確に娘の方を見て。)

「―――……長くは繋げられぬのでね。
無駄話もしたい所だが…出たいのなら、這入りなさい。」

(唐突な其の言葉を、果たして娘が信じるかは知らぬが
実際、其の蔭のうねりは、少しずつ小さくなりつつ在った
王城と言う、最も神聖なる加護が働く場にて、強引に繋いだ通路
放って置けば、程無くして閉ざされて仕舞うだろう

無論――其処が、果たして何処に繋がって居るのかは
説明も、保証も無かったが)。

マデリン > 大きく傾いだ上体を支えるべく、右手を手近な石壁についた。
ぱしん、と乾いた音が響いたものの、細腕一本では身体を支え切れず、
今度こそその場に倒れ伏してしまうだろうと、覚悟を決めたその時だった。

「――――――は、……は?」

声が聞こえた、己に向けられたものだった。
そう思って振り返ったのだが、人影らしきものは無く、
訝しむ眼差しが上に、下にと滑って、それを見つける。

「へ、……いや、ヘビ?ヘビ?」

なんでここにヘビが、居ても可笑しくないような場所かも知れないが、
それにしても何故、人の言葉を話すのか。
――――――それ、が示す先に黒々と空いた穴に至っては、
完全に、怪しいもの、としか思えなかった。

しかし、このままでは逃げ切れないであろうことも明らかで、
逃げた先がここ以上の地獄である可能性も、ゼロでは無かったが。
もう、走るのも、考えるのも、沢山だという気持ちが勝った。

バランスを崩したそのままに、四つん這いに近い格好で穴に潜り込む。
うねり、歪み、少しずつ狭まりつつあった穴は、それでも矮躯ひとつをとぷりと飲み込み、
――――――逃走劇は一旦、虜囚側の逃げ切り勝ちという形で終幕を迎えた、という。

ルヴィエラ > (疑問はもっともであろう
けれど、説明を差し挟むには少々時間が足りなかった
別の気配が近付いて来る、恐らくは追手と言った所か
そして何より、穴を此れ以上繋いで置くのは難しい
王城における修正力が、これ程までに強力な物であると言う良い経験にはなったが
此れでは、如何に魔族が侵攻を繰り返しつづけて尚、この地を堕とせぬのかが良く分かる。)

「そう、ヘビだ。 此処では、この姿が一番楽でね。」

(何なら最も消耗が少なくて済む、と言った都合も有るが兎も角
娘が、穴へと這入り込んで行くならば、其の身体が完全に飲み込まれた辺りで
自らも又、穴の中へと、しゅるしゅると滑り込んで

――其の儘、しゅぽん、と閉じた穴が在った場所には
何の変哲も無い無機質な壁面ばかりが、残される事となり――)。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からマデリンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からルヴィエラさんが去りました。