2020/06/20 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にアンヤさんが現れました。
アンヤ > 「……ふむ、それと引き換えと承ったぞ……。」

幸運の裏返しは不幸。
幸運を願う者の為に彼の者が用意した者より幸運を吸い上げ、願う者より不幸を吸い上げて、かの者へと流す。

それは人々が奇跡と呼ぶほどに大きくは無いが、例えば商売や仕事を良い方向に転がし、過ちを覆い隠す程度には効果のある『呪』である。

それは有している能力の一つであり、『人』の世界に潜り込むにはちょうど良い力であって、今宵もその力を求めた貴族に王城へと招かれて、『人』として生きるには小遣い程度の金銭と幾つか宝石を受け取り、数日後にその『呪』を刻む約束をしたそんな帰り。

王都マグメールに存在する王城。
貴族の一人と約束を交わした部屋の一つより外に出てから歩いて数歩……此処は何処だろうか。

絨毯の引かれた廊下。
幾つもある扉。
こんな時間でも感じる甘く黒い感情の渦に下衆な笑い声。

さて、甘露なる負の感情の香りに誘われてしまったのが悪かったか、そもそもあまり周囲を気にしない性質が災いしてかすっかりと現在位置を見失っていた。

そんな時に限って人とすれ違わず、小鬼を派遣するには此処はあまりに条件が悪い。

故にだ。
自分の肩に1匹だけ千里眼を有した小鬼を乗せて、それに辺りを見通させながら、中々にふみ心地の良い絨毯の上を先程からずーーーっと歩き続けていた。

幸い。
懐には手土産の酒がある。
誰かに遭遇すれば道を尋ねるもよし、酒の肴とするに何処ぞに引きずり込むもよし、何一つ慌てる要素などあるものか、と温まった懐の所為もあってか、表情を緩やかな笑みを浮べたまま帰路を目指して歩き続けた。

王城には気高き騎士も王族や貴族も滞在していると聞く。
力を求められれば応えてやるのも悪く為し、何出会えるか出会えぬか、それを考えるのもまた愉しや。

酒気も帯びていないのにゆらりゆらりと千鳥足。
どうも王城に渦巻き満ちる甘美な陰気に酔い始めている、のかもしれないが……。

アンヤ > 「……迷いなれてはいるが、なぁ……。」

案内板の一つくらいは設置して欲しい。
と人から望まれはするが人に望むことは少ない人影は苦笑いを浮かべながら、廊下の先へ影の先へ、歩いて歩いて歩いて出口へ向うのであった。

迷子ゆえに歩く先が出口であるか、不明ではあるが、である。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からアンヤさんが去りました。