2020/05/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城地下【イベント開催中】」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「…よくもまあ、これだけ集めたものだな。いや、私が言えた義理では無いが」

王城地下で秘密裏に行われている魔導機械の開発。
プロジェクトの出資者として進捗を視察に訪れた少年が吐き出した言葉は、呆れを大いに含ませたもの。
それは、アスピダ攻略の為に集められた魔導機械に対してでは無い。魔力を収集する為に集められた大量のミレー族を眺めての一言。
さして乱暴な扱いを受けている訳では無く、魔力を収集した後のミレー族は放逐していると聞くが、それにしても急造の地下牢まで拵えてまで連行してきた数には流石に苦笑いを零したくもなる。

性的興奮によって魔力を発するのだ、と視察の前に説明は聞いていたが、無機質な魔導機械に責め立てられるミレー族の嬌声が響く地下は、最早淫靡な空間には成り得ていない気がする。

「牧場、と評するべきなのだろうな。王国もなりふり構っていられぬという訳か」

魔力収集の方法が方法で有る為、地下に捉えられている者達は好きにして貰って構わない、と魔導技術に魂を売り渡した様な研究者は言っていた。
こうして、一人で散策出来ているのも気を遣っての事なのだろうが――

ご案内:「王都マグメール 王城地下【イベント開催中】」にシアさんが現れました。
シア > きな臭い噂の絶えない王城
いくら怪しいといっても、そこは腐っても王城でなかなか忍び込めるような隙は見当たらない。
けれども、何故だか今日に限っては警備が手薄になっていた。

それが要人を迎え入れるためだとは知りはしないけれど、千載一遇のチャンスであることには違いない。
闇に紛れるような黒装束を身に纏った少女は、音を立てないようにしながら王城の中庭へと降り立つ。
いつもよりも少ない警備を目を潜りながら、地下へと続く階段を探していると、
研究者らしき人影ともうひとつ小柄な人影を見つけた。

耳を澄ましてみると、どうやら地下に向かう最中らしく。
気づかれないように背後から後を追っていき。
階段らしきところで研究者が別れるものの、今日の目的はそちらではない。

「向こうも…気になるけれど。―――先にこっち。」

暗く長い階段を慎重に降りていけば、聞こえてくるのは耳を塞ぎたくなるような嬌声ばかり。
それだけで、何が行われているかなんて、想像するまでもない。
壁に背をピタリと付けて、開けた空間を見渡すと、そこには巨大な何かの機械が鎮座しているのが見え。
その足元には何十――百にも届こうかという人影が蠢いているのが見えてしまう。
その光景に、ぎゅっと唇を噛みしめ。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 動力の続く限り。魔力が残っている限り。延々と快楽の坩堝へ放り込まれているミレー族を眺める少年。
機械の駆動音や、響き渡る嬌声。元々薄暗い地下である事も相まって、己の後に続く様に地下へと降り立った少女に気付く事は無いだろう。
武芸の心得がある訳でも無く、気配を消した相手を察する事等元より得意では無かった。

――だが、捕えられたミレー族達はそうではない。ヒトより優れた知覚と身体能力を持つ彼女達は、機械に嬲られ、犯されながらも同族の姿を暗がりに捉えるのだろう。
そうして、か細くもはっきりとした声で。地下を見渡す少女に助けを求めるだろう。同族の少女であれば、きっと救い出してくれるのだと信じて。

問題は。快楽に染まった彼女達は、隠れ潜む少女に声をかければ、当然室内にいる少年にも気づかれてしまうという単純な事を失念していた事。
救いを求める声の行先を探る様に、警戒した様な瞳で周囲を見渡すだろう。

シア > もちろんこの場の状況を見てしまったのだから、助けられるものなら助けたい。
けれども、実際に助けられるかといえばそれは現実的には不可能に近い。
これだけの人数を警備の目に触れずに助けるなんて方法は、少女にあるはずもない。
だからこそ、今は唇を噛みしめ、爪が掌に食い込むほどに握しめてでも耐えるしかない。

そんな少女の思惑を知ってか知らずか。
目が合ってしまった自分とそう変わらない年頃の少女が助けを求めてくる。
幸いにもあたりに警備の兵はいないものの、後を付けてきた少年にもその訴えは知れてしまったらしい。

「――――っ!」

逡巡は一瞬だけ。
周囲を探る仕草を見せた少年に見つかるよりも先に、一歩踏み出した。
身体強化の魔力を纏って距離を一気に詰めると、ダガーの柄で強打して失神させてしまおうという腹積もり。
問題があるとすれば、不意打ちの強襲を掛けるには、やや距離があり過ぎるということ。
相手に気づかれるか否かは、それこそ時の運とも言え。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 投げかけられた救いの声。そして、その声に応える様に飛び出してきた少女。尤も、己が気付いた時には既に少女は此方に駆け出している最中。
もう少し気配を察知出来ていれば、より早く気付けたかも知れないが――と、歯噛みする余裕は無い。

武芸に疎い己でも流石に理解出来る。此の王城で。王族にして大貴族の嫡男たる己に対して。刃を向けるという事は――

「――っは!よもやこんな場所で賊に出会うとはな!」

と、息巻いたは良いが迫る少女相手に打てる手はそう多くは無い。
最も使い慣れた魔術。魔力を用いた紛い物の召喚。込められた魔力は瞬時に固形化し、身の丈2mはあろうかという甲冑の騎士が、剣と盾を構えて己と少女の間に立ち塞がるだろう。

とはいえ、先ず打てた手は其処迄。召喚された騎士も少女を迎え撃つ、というよりは召喚主たる少年を守る様に、大きく盾を突き出す程度だろう。