2020/03/24 のログ
■ルヴィエラ > 「御前が入っても、御前には貴族としての身分が在る
人間にも魔術を扱う物が居る以上、然程咎められる事は無い筈だ
だが、私は其処までの立場はまだ得て居ない。
勿論、市民が立ち入る事の出来る区域までは、問題無いだろうがね。」
(それは、彼女と己の、得ている肩書の差、立場の違いと言う物だろう
己は、まだ其の立場を得る為に鋭意策謀の途中、では有るのだが
――少なくとも、元々ハイブラゼールに居た一娼館の主など
王都では外様に過ぎないのだ。
扉の向こうへと首を向ければ、ゆるりと蛇の頭が首を横に振り。)
「いや、外には生憎乍ら、見張りが数人。
廊下の向こうに立っていたものでね、遠回りを強いられた。
恐らくは――御前は、連れて来られたのだろうね。」
(気に入られたかな? なぞと、戯言めいた言葉を零すのは
相変わらず、こんな場面においても普段通りで
焦りだした彼女へと、まるで落ち着く様にとばかりに尻尾でその肩を撫でては。)
「―――だが、御前でなければ問題は無い。
『此処へと連れて来られた時の御前』でなければ、誰も気付きはせぬだろう?
生憎乍ら、私も余り派手には助けられぬが…其の身を覆う位はしてあげよう。」
(――其の意味を知る者は、きっと、今は己一人。
今は、可憐な少女たる姿の彼女の首下で、言葉にするや否や
蛇の姿が、ふわん、と小さく闇に溶けて広がり
次の瞬間には、彼女の裸身を、肌に張り付くような黒のドレスが覆っている筈。)
『――――尚、伸縮性は安心してくれたまえ。』
(――最後の言葉は、アタマに直接。
ものすごく、愉快そうに)。
■リュシー > あ、あー……うん、……そっか、それね……。
(ほんの少しだけ嫌そうに、苦いものを呑み込んだように笑う。
なるほど、己にはまだ、ここに入る権利があるわけだ。
己がこの国の貴族であることには変わりがないのだ、と、
それを呑み込むのはひどく重苦しかったけれど。
ともあれ、出入り口として存在するのは扉一枚。
それが事実上封鎖されているのだと聞けば、すう、と顔から血の気が引いた。
途切れた記憶、やけに深かった眠り、そして現状。
認めたくはないけれど、己は囚われ人だ、と悟って。)
……ヘンタイ貴族に気に入られても、嬉しかないよ。
そんなの、絶対楽しくない目に遭うの、わかりきってるじゃん、
(かつての己自身を忘れていないからこそ、確信できる。
こんな風に人を捉えて閉じこめる人間のすることなんて―――
落ち着けと言われて落ち着けるものでもない、逆にどうして、
このヒトはこんなに落ち着いてられるんだ、と恨めしくすら思うのだが。
謎めいた助言、そして、ゆるりと溶けゆく闇色。
少女の身で纏うには、いささか蠱惑的に過ぎるようなドレスが、
素肌を覆うのへ目を瞬かせて―――――しばし、思案したのち)
……ソレやると、めっちゃくちゃ、おなか空くんですけど……、
(意図して姿を変えることも、可能ではあるのだが。
疲れる、消耗する、空腹に見舞われる。
とはいえ、ほかに方策がないのも確かであり―――ため息交じりに目を閉じて、
ふる、と小さく身を震わせた。
ドレスの裾を翻しながら、足先を伸ばして―――寝乱れた髪を、かきあげる手指。
そして、闇色を纏う肢体の全てが、なめらかにカタチを変えてゆく。
長く伸びた髪、再び瞼を持ち上げた時、瞳の色すらも既に。)
―――…さ、て。
どんな手で、蹴散らすのが良いかな。
(声すらも、少女のものではない。
充分に若い、けれども十人と擦れ違えば、十人ともが己を、
少女ではなく、女、と形容するだろう。
そんな姿で一歩、二歩、扉の前で小首を傾げる仕草。
―――――けれども次の瞬間には、ばん、と扉を両手で叩いて。)
ちょっと、そこに居るんでしょう!
ぼやぼやしてないで開けなさいよ、逃げたわよ、あの小娘!
(きり、と眦を吊りあげたその形相は、鏡を見たら嫌になるくらい、
美しくも気性の激しかった、母親に良く似ていた。)
■ルヴィエラ > 「――――だが同時に
御前が何より、私の娘で在る事には変わりない
……其れが、大きな違いだ。」
(以前の彼女と、今の彼女と。
其の二つを隔てる大きな違いは――今、彼女の首に巻き付いて居る。
其処さえ考えなければ、割合真っ当な台詞であった筈なのだが、兎も角
蛇が服へと転じれば、其れが唯一の方策の様に告げるだろう
実際――もし、彼女が『何時もの移動』を行えば
其れが何らかの力で阻害されて居る事は分かる筈で
無理に道を開けば、彼女の力の不安定さでは、何処に繋がるかも判らない、とも。)
『何、空腹程度で済むならば僥倖だとも。
餓えは満たせば其れで済む。 ―――私の前で、そんな心配は無用だろう?』
(そういう意味でも、問題は無いのだ、と。
既に、其の姿を変容させて行く娘に、一言声を掛けたなら
其の肢体が大人の其れへと転じて行く毎に、ドレスも又合わせて、其の肌を覆い、伸びて行く
彼女に備わって居るのは、こういった土壇場での度胸、でも有るのだろう
それは、或いは賭け事で培ったものかも知れないが、良き強みだ。
其の後は、彼女へと方法を任せながら見守り。)
『――――……廊下を左に、兵士の後を付いて行きなさい。
恐らくは報告に部屋へと駆け込む、其の隙に廊下を抜けると良い。』
(――いい勢いだと、褒める言葉が。
彼女が飛び出した瞬間、驚いた様に兵士の視線が其方へと集まり
そして、慌てて部屋の中を覗き込んだ後、文字通りもぬけの殻だと判れば
それぞれが、廊下の左右へと判れて駆けて行くだろう
己が告げた廊下の左に、この区画の見張りを監督する人間が待機している
逆に言えば、其処さえ抜けて仕舞えば、区画から出るのは容易になる筈だ
何より――王城を、己よりも知って居るのは恐らく、己よりも、彼女の筈で)。
■リュシー > (首許に纏いつく蛇の温みに、一度だけ、頬を摺り寄せてから)
……今夜は、ちゃんとうちに帰るから。
朝まで一緒に居て、……お父さま。
(それは決して、空腹を満たすためとか、そんなことではなくて。
たとえば肌を重ねることがなくても構わないから、ただ傍に。
―――――そんな願いを口にするのは、呑み込んだものが苦すぎたせいだ。
ともあれ、扉を潜るしか策がないのなら、そうするまでのこと。
囚われるのも、玩弄されるのも、己の意思を無視した状態でならば、
決して―――――決して、受容できないのだから。
纏うドレスの大人びたデザインが馴染む姿、より艶やかに際立つ姿。
紫に染まった瞳を細めて柳眉を吊りあげれば、準備は万端だ。
弱いものは蹂躙される、隙を見せればつけこまれる、それがこの場の流儀。
だから、―――――初手から、強気で押し出してゆくのが一番であると。)
こんなに人数揃えて、小娘一人、ちゃんと見張ってられないの!?
揃いも揃ってデクノボウじゃないの、さっさと探しに行きなさい!
あんたたちの首なんか、いくらでもすげ替えがきくんだからね!
(勢い良く叩き開けた、扉の向こうには数人の兵士。
いずれも屈強な体躯の男たちだけれど、睨む眼差しにも罵る声音にも、
他人を顎で使うことに慣れた貴族特有の迫力を保っていれば、
自然に兵士たちは操られてしまうものだ。
頭に直接響く声へ、そっと頷き返して。
上司への報告に出向く兵士の後を、憤懣やる方ない、と言わんばかりの表情でついてゆき、
――――不手際を詫びる兵士の声と、慌てたような責任者の声を背に、
そろり、彼らの守る領域から抜け出した。
しばらくは落ち着いた歩調で、けれど次第に足早に。
幼い頃から、幾度となく訪れた場所であるから、抜け出すのもそう難しくはない。
城外へ、――――せめて、彼の力で帰還の叶う場所へ。
そこへ辿り着く頃には、きっと、すっかり空腹で倒れそうになっていただろうけれど。)
■ルヴィエラ > 『――――御前が望まずとも、傍に居よう。』
(――其れは、優しい響きで
娘に寄り添う、家族として――幾らでも共に、居ようと。
そんな、僅かな家族としての言葉は、終わり
彼女が次に響かせた、覚悟を決めた「貴族」としての言葉は
まず、先制打としては覿面に効いたようだった。
幾ら兵士だとしても、大多数は遣われる為に訓練されている
上からの指示が有れば、反射的に行動する物であり
其れはこんな場で在れば――王城であれば余計に、だ。)
『――――其の調子だね。
流石に私より、良く分かって居る。』
(彼女の啖呵と、其の後の振る舞いに関しては、素直に称賛を
ただ、其の変化が相応に消耗する事は己も解って居る。
故に、先刻までの様な無駄口も、或いは悪戯も無く
彼女が安全な場所まで出て行くまでは、ただ、励ますに留めるだろう
城の外まで行けば、其処は彼女も、そして己も、自由の身となる
そうして――きっと、城下の建物、其の蔭へ、彼女に隠れる様促した後で。)
「――――……よく頑張ったね。」
(――きっと、物陰で、彼女の身に纏われるドレスから
蛇では無く、元の、銀の髪を揺らす姿へと変じては
裸身と為るだろう彼女の身を抱き締め、そして、其の唇に口付けを重ねるだろう
絡める舌と共に、齎す魔力は、僅かに飢餓を癒すだろう、けれど
決して満たすには至らぬ筈。 ―――だから。)
「―――此の儘、家まで連れて行くよ。
――私と、御前の家まで、ね。」
(囁きと共に、きっと、告げる声音。
そして、同時に足元から沸き上がる影が、ゆっくりと彼女と己を飲み込んで
――連れ去って行く、筈だ)。
■リュシー > (己が、庇護される存在でいられる場所。
そこへ無事、帰り着くために必要な手順なのだから――――
唾棄すべき存在たる連中の真似事だって、全力でしてみせよう。
少しでも気を抜けば、足許がふらつきそうになる。
顔色だってきっと、蒼ざめてしまうだろう。
だから必死に気を張って、背筋を伸ばして―――と、頑張ったので。)
――――― も、ぉ、無理……っ、
んぅ、……… は、ふ………ッん、ん、――――…
(城下の物陰、ようやくひとの形をとった彼の腕に抱きとられた時には、
もう、疲労困憊といったありさま。
縋りつく腕さえ力なく、足腰は完全に脱力しきって、
とろりと伏せた瞼の奥、わずかに垣間見える双眸には隠す気もない渇望の色。
そうして開いた唇を、伸ばした舌先を彼に捧げて、少しでも甘露を、魔力を得ようと。
伝う銀糸すら余さず啜り取って、なお、満たされぬ飢えに熱い呼気を散らし)
もっ、と、……お願、い……… ぼく、
たくさん、頑張っ、た、から……ぁ、……ん、く、
早く、ちょう、だ、―――――――…
(い、の音は足許から這いのぼる影のなかに、蕩けて消えた。
あとに残るのはなんの変哲もない、夜更けの街角の風景。
己が撒き散らした発情の香りさえも、夜風に紛れて――――――。)
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