2020/01/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】 図書室」にスミさんが現れました。
スミ > 王城の奥深く、普段は人通りさえ少ない場所に、陽の差さない書庫がある。
闇に包まれたそこは昼とも知れず、夜とも知れず。

今室内を照らすのは、その静寂に侵入した者が手にする灯りだけ。
赤煉瓦色のドレスを着た女が手にしたカンテラがぼおーと所せましと林立した天井まである本棚を照らす。

本棚には、隙間が見当たらないくらいに本がぎっしりと詰まっている。
各本棚についている索引さえも、女からすると高い場所にあって、確認することさえ容易ではない。
そんな中、やっと見つけた『お目当て』
……に近そうな本を片手に抱えてよたよたと、書庫の中心に設えられた机と思しきものへと辿り着く。

「ふう――――…ちょっと、これは難儀だなあ…」

相当に古い書物を慎重に机の上に置いて、溜息をついてから本棚を振り返り、振り仰ぐ。
書庫の本は基本、帯出禁止だ。
つまりは、ここで見ていくしかない。
もしかしたら帯出する方法もあるのかもしれないが……

(……こっそり持って帰るとか)

思うものの、見つかった時は出入禁止になるのが確実だ。
はあーとため息を付きながらカンテラを机の上に置き、椅子をしぶしぶ引っ張り出す。
取り敢えずこの凶器になりそうな本を攫ってみて、『お目当て』の情報を探るしかない。
椅子に腰かけると、ぱん!と頬を両手ではたいて
身を乗り出して、本をめくり始めた。

スミ > ジジ…と燈心が立てる音と、ページをめくる音だけが響く。
カンテラが照らす女の瞳は、眼鏡の奥で緑色に光を跳ね返す。

――――そうして、何刻が過ぎたろうか。

灯りが頼りなくなり、指で追っていた文字が追えなくなってきてからやっと、女は訝しげにカンテラを見遣る。
既に燈心は燃え尽きそうで、油も幾許かしか残って居ないようだ。

「しまった……!」

慌てて本を閉じてしまって、何ページ目まで見たかを忘れてしまったのに気付く。
歯噛みをするが、今は取り敢えず、それどころでもない。
本を戻して、この書庫を脱出せねば……!

(―――…それとも、それを言い訳に貸し出して貰えるかな)

何て片隅に思わないでもなかったが
取り敢えず赤毛の女はカンテラと本を取り上げて、またよたよたと本棚の森の暗がりへと……

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】 図書室」からスミさんが去りました。