2019/12/17 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】 温室」にエダさんが現れました。
エダ > 「ううう………」

王城の広い庭園の一角、ガラス張りの温室。ひっそりと静まりかえる植物たちの間から、細い呻き声がした。

ほとんど半泣きに聞こえるのは気のせいではなく、声の主の表情がまさにそれ。
美しい「す」の入った葉陰でしゃがみこみ、ランタン片手に、
がっくり肩を落としたところだった。

「ここにもない……やっぱり場所、間違ってるんじゃないかなぁ……」

とある貴族家の侍女である女がひとり、途方に暮れている。
日中ここでご友人方とお茶の時間を楽しんだ主家の令嬢が、
お気に入りの紅玉のイヤリングを落としたというので探しに来たのであるが、
まあ見つからない。
温室自体も広い上に、夜間とあって手元も暗く。昼間の令嬢の行動を思い返しながら、
入り口からお茶席スポットまでもう3往復ほどしても、収穫なしだ。

「出ておいでよー……。私、帰れなくなっちゃうよー。出てきて、くださーい……」

お茶席セットのテーブルの下へもう一度あかりを当てながらのお願い。語尾が敬語にもなろうというものだ。

エダ > うっすらそばかすの浮かんだ頰が、土に汚れている。気をつけてはいるが仕事着の裾もほこりまみれになっているだろう。

「お嬢様」は会話に興が乗ると耳元をいじる癖があるので、落とし物をしたとしたら、
アイアンの丸テーブルと椅子が置かれているこのあたりが一番可能性が高いと思うのだが。

ガサガサと葉を揺らして立ち上がり、あらためて周囲を見渡す──。