2019/12/04 のログ
■ヘレネ > 押し問答は続く、どちらも譲る気が無いようだ。
大人しく議論の帰着点を待つには、少しばかり夜が更け過ぎている。
そっと息を吐いて、己は顔を上げる。
男の声が聞こえる方へ真っ直ぐ顔を向け、目を伏せたままながら、
はっきりと、意思を示す姿勢をとった。
「王家のために、傷つき、血を流す方々の慰めになるのでしたら、
わたくしはいつでも、どこへでも参りましょう」
『ヘレネ様』と呼ぶ侍女の口許と思しき辺りへ向けて、五指を揃えた右手を伸ばす。
それだけで心得て黙り込む彼女の気配を感じながら、更に、と口を開き。
「ですが、わたくしの一存で決められることではありません。
それはご理解頂けるものと思いますが……」
途端、正面の男が慌てた気配。
どうやら、正規の手順を省いた申し出であったらしい。
しどろもどろになって、辞去の挨拶もそこそこに。
立ち去る男の気配を、静かに微笑んで見送り――――
「……さぁ、そろそろ休みましょうか」
傍らに立つ侍女へ、幾らか寛いだ笑みを向けよう。
そうして彼女の手に導かれるまま、立ち上がって奥の間へ――――。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からヘレネさんが去りました。