2019/12/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にヘレネさんが現れました。
ヘレネ > 『ヘレネ様を、戦場へ――――?』

二間続きの聖女の私室、来客を迎える定位置とされた一人掛けのソファに座して、
己は目を閉じ、ただ静かに来客と、己の傍らへ控える侍女の会話を聞いていた。
低いテーブルを間に挟み、向かい側の椅子に腰かけているのは、何れの騎士団の男だったか。
名前を聞いた気もするが、盲いた目では見開いてみたところで、その顔を知ることは叶わない。
しかし、その男がごく微かに土埃と、それから血の匂いを纏っていることには気付いていた。
恐らく、最前線で剣をふるう類の人間なのだろう、と、その程度のことは。
そして、己の代わりに口を開く侍女が、明らかに緊張し、警戒しているらしいことも。

俯いて、彼らの会話を、というよりも、言い争いを暫し聞く。
騎士と思しき男が立ち上がり、侍女に手でも上げようとするなら、直ぐに制止の声を投げるけれど。
何処かの戦場で戦う兵たちに、直接出向いて加護を、と訴える男は今のところ、
実力行使に出る気は無い――――ように、思えた。