2019/11/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にアニエスさんが現れました。
アニエス > 「―――御休みなさい、公主様」

どうぞ、良い夢を―――などと、付け加えるのも虚しい。
きっと彼女の耳には届かないであろうし、届いたところで叶うとも思えない。
其れでも、せめて―――彼女が眠りに就くまでの間、己は此処から動くまい。

そう心に決めて、彼女の寝所の扉へ背を預ける。
長袍の胸元で両腕を組み、仰のいて仄暗い天井を見つめた。
引き結んだ唇が、血の気の失せた頬が強張るのを自覚しながら、
其れらを取り繕う余裕も無く―――そっと、息を潜める。

アニエス > 公主の体調が思わしくないので、一旦帰国させたい。

既に、両手の指を折っても余る程、そう書き綴った手紙を使いに預けた。
けれど先方に願いを聞き届けてくれる気が無いのか、
其れとも、そもそも手紙が届かなかったのか。
結局、今の今まで、彼女も、己も、此の城に留まることを余儀無くされている。
正式な婚儀が成立するまで、彼女の身が保つだろうか。
そして己の神経も―――――

「―――――考えるな、麗霞。
 今は、公主様のことだけを考えていれば良いんだ」

何度言い聞かせたか知れない言葉を、低く口に出してみる。
其の響きの余りの苦々しさに、眉根へ深い影が差し―――溜め息が、虚空を白く濡らした。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
アニエス > ――――――ふと、声が聞こえた。

室内からの、ほんの小さな声。
だけれど、其れは愛しい姉の声だ。

物思いを即座に断ち切って、背にした扉へ手を掛ける。
開く間ももどかしげに飛び込んで、姉の眠る褥へと―――――。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からアニエスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からギュンター・ホーレルヴァッハさんが去りました。