2019/10/28 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城/紅薔薇の庭園」にレヴィアさんが現れました。
レヴィア > 風が吹けば紅色の薔薇の花びらが舞い、風が緩めば濃厚な甘い薔薇の香りが広がる王族貴族が好んで休息に来る庭園がある。
其処は逢瀬に使われるとか異性を口説くのに使われるとか色々と言われているけれど、純粋に薔薇を愉しむ人間がいると信じたい。

魔法の力か錬金術か一年中深紅の薔薇を楽しめるその庭園に今宵はちゃんと二本の足で歩いて姿を見せ勝手気ままにベンチに座って何かをしている吸血鬼が1人。

何時もか何時も以上に執筆中の小説が煮詰まっての逃避行で、血の色と同じくらいに鮮やかな薔薇が咲き乱れるお気に入りのこの場所に来たというわけだ。

勿論貴族であるからして、顔パスではないが貴族としての名前を名乗り、正式にお邪魔をしているわけだがこの頃忍び込む輩もいるから注意してください、と門番の兵士に王城入室の際に言われたが果たして吸血鬼に挑む愚者などいるだろうか?

――ああきっと居るのだろうな。

そう言えば良くも悪くもこの国はそんな人間ばかりだったと、淡く苦笑いを唇に浮かべながら門番に手をふって「ありがとう、きをつけるわ?」と答えたのは数分前で、今は深紅のバラに囲まれてご満悦の表情で……真っ白い木製のベンチに腰をかけて執筆中である。

残念ながら手帳に水晶のペンで思い浮かんだことをまとめているレベルではある。

時々口に飛び込んでくる薔薇の花弁を咀嚼しながら。
するするすると何かしらを書き綴る

レヴィア > 何とも今宵のペン先の重たいことを……。
なんて格好つけてもペン先は文字を描かずぐにゃぐにゃと意味不明な図形を描くだけで、文字を書くに届かずであった。

大げさなくらいに溜息を一つ。
パタンを手帳を閉じて数枚の薔薇の花弁を頁と頁の狭間に閉じ込めながら、それを胸元にするりと仕舞い込むと、今夜は屋敷で安いワインをあけようと庭園に無数の薔薇に背中を向けて、歩き出すのであった。

ご案内:「王都マグメール 王城/紅薔薇の庭園」からレヴィアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にイグナスさんが現れました。
イグナス > 用件がなければこんな処――つまりは王城なのだが、来るわけもない。
よってここにいるのは用事が、正確には呼び出された用事のその帰り、なのだが。

「ン、………オウ?」

滅多に来ない場所は、まあ、迷う。
ぐるりと視線を回した、王城…のはず、まだきっとそこにいるはずだが。
周囲には声を掛けるべき衛兵の姿も見えず、夕刻故に明かりは乏しくどこか寂し気だ。
むしろこんな場所で一人、冒険者体の男が歩いていたらしょっぴかれるんじゃあないか。
やれやれ、と首を振った。

「出入りの業者だとか、そーゆーのに出会えりゃいいンだが。」

間違っても大騒ぎしそうな貴族なんてのには会いたくもない。
ともあれ、迷ってしまった以上は時の運だろうが。
結局のところあてもなく、広い広い敷地内を歩き回るハメになっていた。