2019/10/21 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にマリナさんが現れました。
マリナ > 日が暮れた王城の廊下にて、少し開いた扉の隙間から明かりが漏れる一室。
そこはかつて王族の少女に与えられた私室で、夜を迎えると部屋の鍵を持った誰かが訪れるような場所だったのだけれど、
少女がそこを出て以降、未使用となっていた。
ただ私物の多くはそのままになっているから、たまにこうして――従兄の許可をとり、
仕事で王都に戻った少女が物を整理したり、なにかを探していたり、そんな姿は見られる。
本当にたまぁになのだけれども。

「…あった」

嬉しそうな声があがる。
少女が手にしていたのは絵本数冊。
最近、いま少女が暮らしている集落で与えられていた住居が変わり、自由になるスペースが増えた。
それをいいことに私物をもう少し移動させてしまおうかと。
けれども生活に必要なものはすべて揃っているし、あとはこういった思い出の品ばかり。

懐かしい表紙は埃っぽく、ぽんぽんと手で払って。
ベッドに座ると膝にのせ、ページをめくる。
思えばここで生活していた頃は軟禁生活のようなもので、こんなふうに時間を過ごすことも多かった。
夢物語ばかり読んでいたから精神的に育たなかったわけではないと思うけれども、影響は否めない。
今日も集落に帰る時間になるまでのんびり、少女は絵本の世界に耽る。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にランバルディアさんが現れました。
ランバルディア > 「……おや?」

それは本当にたまたまの、偶然。
久しぶりに王城へ診療に出向いた日だった。
陽射しのあるうちには気付かなかったが、仕事を終えて、ふと視線を巡らせて見た一角。
これもまた随分と久しぶりに、その部屋に明かりが灯っているのが見えた。
向かう足取りは少々足早で――口端は、歪んでいたかもしれない。

扉の前まで向かってみれば鍵を閉めるどころか隙間を開けた不用心さ。
そっと扉に手を伸ばし、静かに開いて身を割り込ませ滑り込む。

「……よう、マリナ嬢。そんな姿を見るのもお久しぶりだな」

扉を閉める音の直後に、男が後ろ手に錠を落とす音が静かな部屋に響く。
かつては鍵を手に訪れ、組み敷いた男の一人。
暴力的に手荒に扱う事は無かったが、薬も交えた密度の高い行為ばかりで、結局は寝込ませてしまう男の一人でもあった。
この部屋を訪れ、自分と少女の二人だけだというのだからすることは決まっている。
ベッドの傍まで歩み寄り、見ない内に質の悪いモノになっていないかと頬に触れ耳に指をかけようとする。