2019/09/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】 裏庭」にジナイアさんが現れました。
■ジナイア > 黒い闇夜に月明かりは見当たらず、替わりとでも言うように星々が競って輝く夜。
王城では未だ夜ごとシェンヤンの公主を歓待する夜会が催されているようで、今宵も夜会会場のみならず、物見の塔、城壁、果ては庭を照らす街灯にと、至る所にその特徴的な提灯の灯りがともされている。
夜会会場を覗けば、色とりどりの衣装で着飾った公主たちに、その『お相手』たるべくこちらもめかし込んだ貴族たち。
各々がペアになり手を取って、また離れながら、こちらは王都風の音楽に乗って、くるくると踊りを披露している。
周囲で歓談する男女の声はその会場の窓辺にも潮騒の如く押し寄せて、はたまた舞曲の彩といったところ。
その広い夜会会場の建物の、丁度裏手。
街灯もなく普段から滅多と人の踏み入れない、きちんと下生えの手入れだけはされている場所。
ふらりとひとつ、ランタンの灯りが漂ってくる。
「……ここ、か?」
呟く声は女の声。
その手が少しランタンを掲げれば、赤銅色の肌に翠の瞳の女の顔が浮かび上がる。
女はその双眸をじ、と前方の、何やら微かな水音がする黒い影の方へと凝らす。
仲良くなった庭師が『とっておきの場所』として教えてくれた、庭園を飾る花を育てるための場所。
何も新月近くの夜に、こんな足元の不安定な場所へ来なくても…と我ながら思わないでもなかったが。
場所が正しいならば、まだ花の手前、蕾を付けた植物たちで囲まれた、小さな噴水が見つかるはずだ。
「咲いてくれていれば、少しは香りも頼りになったのかな…」
独り言を呟き、少し首を傾げれば黒髪がさらりと肩から零れ落ちる。
それから微かに微笑んで、水音と星の灯りを頼りに、足を進めていく。
■ジナイア > さく、と踏みしめる下生えは足裏へ柔らかく感触を伝える。
その一歩、一歩を感じ入る様に進めて――…やがて、ランタンの灯りの下、浮かび上がる小さな噴水の水辺と、その水面の水紋。
ふ、と唇から安堵のような吐息が漏れる。
明かりに照らされて、少し潤む翠がまた少し細められた。
手にした灯りをすうと漂わせる。尾を引くように景色が灯りの中で流れる。
水辺から、下生え、柔らかな土がむき出しの地面に、規則正しく緑の影、そして、簡素なベンチ。
それらを最後まで見止めると、女の唇がまた笑みを形作って
次にその唇へランタンを寄せると、ふ、と灯が消え
女の姿は闇に溶ける
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】 裏庭」からジナイアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にバージルさんが現れました。
■バージル > 賑やかで退廃的な宴の催されている広間に、滞在出来たのは十分ほど。
どうしても、と舅筋の王族に招かれては断り切れなかったのだが、
一歩、足を踏み入れただけで、体調不良をでっちあげて断らなかったことを悔やんだ。
件の王族が傍らに、妙齢の姫君を従えているのを見た瞬間、
此処に呼ばれた本当の目的を理解し―――――のらりくらりと躱すのに、数分を要して。
終いにはグラスを携えても居ないのに、酒に酔ったなどと言い訳をして逃げ出してきたのだった。
静かな場所を探し求めて歩き回るうち、夜風の心地良い庭園に辿り着く。
色とりどりの薔薇が咲き乱れ、恐らく昼間であればもっと楽しめるのだろうが―――
星明かりだけを頼りに、漫ろ歩いてみるのも悪くない。
黒衣の襟元を軽く寛げながら、取り敢えずは白く浮かぶ瀟洒な四阿を目指す。
優雅な軌跡を描く噴水の傍らを抜けて、時折手の届くところに咲いた花の香りを楽しみつつ。
四阿に辿り着けば、石のベンチへ腰を降ろし、足を組み上げて寛ぐ態に。
見渡す限り、己以外の人影は見当たらないけれど―――――。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にルヴィエラさんが現れました。
■ルヴィエラ > (とうとう――王城へと、姿を現す機会を得るに到る。
だが、其処は疲弊したとは言え、最も神の力が残る場所
この場に居るだけで、王都城下を歩いているよりも余程
己が力を縛られてしまう事に、一種感嘆すら覚えた。
財力や権力で立場すら買える時代で在るならば
立ち入る為の肩書きを得る事自体は難しくは無かった、が)
「……矢張り、この場では余り、悪戯は出来ないね。」
(これも、新たに人脈を築く為の一歩と言えるだろう。
ただ、所詮"新参"の己では、まだまだ其の輪に加わるのは難しい
何せ、有力者、ではあっても、人間達の中で言う貴族や名家ではないのだ。
――ふと、王城の中を巡りながら、辿り着いた場所
見事に手入れされた薔薇庭園を目の前にして、脚を止めれば
僅か双眸細め、ゆっくりと其の中へ脚を踏み入れて行く
棘に袖を引っ掛けぬよう注意しながら、歩む足音を
或いは、其の内に先客へと気付かせるやも知れない。)
「――…悪くは無いね。 人の美意識と言う物も。」
■バージル > 昼ならば色彩は瑞々しく鮮やかであったろうが、
我先にと咲き誇る花々が振り撒く芳香は、己には少し強過ぎたかも知れない。
今、夜風に紛れて鼻腔を擽る程度の香りを楽しむのが、己には似合いであると思う。
襟首や胸元にこびりついていた、誰某の香水の香りも粗方飛んで―――
「―――――?」
靴音がひとつ、此方へ近づいているような。
何処から、と巡らせた視線が、其の姿を捉えるまでに、数秒。
夢のように美しい、とは、此の男のことを言うのだろうか。
――――其れが、最初に抱いた感想だった。
風に乗って何か、呟きらしきものの断片が耳に届いて、
一見すると性別不明な其の人物が、男性であると気づく。
瞬く星明かりに煌めく銀糸の髪と、神秘的な紅い眸。
まさかこんな場所に、とは思うけれども―――。
「……まるで、人では無い、とでも言わんばかりの仰りようだ。
其れとも、私の勘繰り過ぎでしょうか?」
笑みを絡ませた声音を、やや張り気味に男に向けて。
相手が此方に目を向けたなら、顔の真横辺りへ片手を挙げて、
ひらりと指先を揺らしてみせたことだろう。
■ルヴィエラ > (薔薇、と言う物は扱いが難しい。
此処に咲く品種は、新しい物も在れば古い種も在る
恐らくは、この場所に根付いて年月が経った物も在るだろう
様々な手入れの為に、幾人もの人間が、世代を重ねて保ち続ける
其れは、文明や文化の保ちようにも似ていると、己は思う
――ふと、誰かの気配に気付いた。
此れほどまで近くに寄らなければ気付けないのは
矢張り、力が其れだけ弱められている証と言えなくも無いのだろう
視線を其方へと向け、微かに微笑み、会釈をすれば。)
「―――……捨てた物ではない、と言う意味では在るかな?
御機嫌よう、良い夜に御会い出来て光栄だ。」
(否定も、敢えて肯定もしない。
煙に巻く様な曖昧な物言いで、僅かに肩を竦めれば
声の主の方へと歩みを向けて、近づいて行こう。
――其の際、僅か、不思議そうに瞳を瞬かせたのを
果たして、相手が気付くかは判らない。
鈍った様に判然としない嗅覚が、けれど覚えた違和感
顔立ちの良い、美青年と思しき姿の相手を、興味深そうに瞳が見詰めて。)
「――こんな所で、何某かの休憩かな?」
■バージル > 成る程、薔薇の有りようは人の手が繋ぐ文化、文明の有りように似ている。
人が正しく手をかけねば、たちまち腐臭を放つところさえそっくりだ。
ともあれ―――――
「ああ、……ええ、勿論そういう意味でしょう。
連日連夜、乱痴気騒ぎを繰り返しているとは言え……此処は、城内ですからね。
まさか、―――――そう、私の考え過ぎでしょうね」
ひと、ならざるもの。
――――相手を≪そう≫だと感じてしまうのは、きっと今が夜更けである所為だ。
直ぐに矛先を収めるのは、己にも探られたくない≪腹≫があるからであり。
此方を見つめる眼差しの、何処か物問いたげな色には気付かぬ振りで足を組み替え、
「御機嫌よう、……どうぞ、此処は涼しくて良い気持ちですよ。
多分城内で一番、空気の澱みの無い場所です」
ふわりと両腕を広げ、四阿の中の快適性をあらわしておいて。
其の両手を組み上げた膝の上に重ねに置きつつ、半ば瞼を伏せて視線を外し。
「……人混みは、息が詰まるものですから。
其の上、望まぬ花を愛でろと押し付けられては、ね……
無理強いは、花にも失礼というものでしょう」
違いますか、と問う声は囁くように、己には珍しくストレートな物言い。
先刻の姫君の香水に、未だ、悪酔いをしているのかも知れず。