2019/09/23 のログ
ジュン > 「たく、辺りにんな気配もなかったくせに」

足音が聞こえてくれば外套を深く被り直し少女から離れる

そして、扉が開かれる頃には

どうやったのか男の姿は忽然と消え

残されていたのは意識を失った部屋の主だけであった―――

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からジュンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】 植物園」にホアジャオさんが現れました。
ホアジャオ > 真っ黒な天へ月が中点に昇る頃。
王城敷地内にある、昼間はさんさんと陽が差していた四方ガラス張りの植物園。
その中は今は月明かりだけが照らして、背の高い木々からは濃い影が落ちる。
熱帯もかくやと思われる量の様々な高さ、葉の大きさの植物は石畳の通路へとその腕を伸ばす、その間を盛大に音立てながら進んでいく人影がひとつ。

「哦―…ちょっと行く方向間違ったかなァ………」

呟く間も歩みの速度は変わらない。
公主の護衛のアルバイトを抜け出して(だって『お相手』としっぽりやっている所扉の前でなんて待ってられないし)、歩哨の兵士の眼をかいくぐってまだうろついたことのない場所へと来てみた。
夜の明りの乏しい植物園はまるで迷路のようで、勇んで足を踏み入れたものの

「……………。」

迷子、ではない。
きっとまっすぐ行けばそのうち向こう側につくはずだ。

ホアジャオ > ざくざく、ばさばさと葉を避け枝をよけ
時折『ばきっ』とか少し音もしたかもしれない。
お仕着せの黒いチャイナドレスにも多少、とは言えないくらいの引っかけ傷を付けつつ進んでいく。
あんまり足元は見ていないが、少なくとも石畳の路からは外れていない。
ぐるっと周るにしたって、いつかは端につく。
多分。

時折、強い花の香りや濃い緑のにおい、知っているハーブに似たような香りの傍を通り過ぎる。
その度に少し立ち止まって香りの方を見やって、暫く嗅いではほんの少し、昼間来れば良かったなァなんて思っている。
昼間は護衛のアルバイトなのだから、当然うろつくなんてご法度なわけだけれども。
そんな風に草木をかき分けながらの行軍にも少し、飽きはじめたころ
すぽん、と音でもしたような感覚と共に広い場所へと足を踏み入れた。

「哎呀(おやまあ)……」

きょとん、と細い目を瞬くこと数度。

ホアジャオ > 広場―――といっても10人も人が立てば満員―――の中心には飾り気の無い噴水がさらさらと音を立てながら清流に月光を弾き返し、傍には簡素なベンチ。
その更に横に無骨なスコップやらじょうろやらが置かれている。
黒い影となって判別できないが、端の方には苗でも置くための棚らしきものもある。

「……啊哈(フーン)…」

それらを見回してから、何となく、秘密基地を見つけたような気分になって紅い唇がにんまりと笑みを形作った。