2019/09/15 のログ
ゼロ > 少年が進む先には、誰もいない。指示された場所は基本的に誰もいない場所になるのだ。
 恐らくは、本来の此処の警備する部門が少年を人の多い所に送りたくはないのだろう。
 理由としては、全身鎧に、仮面と言う格好は物々しい上に怪しいのである、第七師団と言う腕章がなければ恐らく警備兵が逆に呼ばれてしまうだろう。
 それと、少年は仮面のお陰か、魔族などの変化も見抜く、一度貴族たちの前で一人の魔族を看破し、その首を落としたことがある。
 貴族たちの目の前で、躊躇なく貴族と思われていた魔族を斃したのである、居合わせた女性は失神したりと大ごとになっていた。
 故に、少年をそいう居場所に呼ぶのは危険だ、という認識が大きいのかもしれない。

 それを意に介することなく、少年は只々、静寂の通路をかつん、こつん、とグリーブの音を響かせつつ歩く。

ゼロ > 時折、窓から月明かりが零れ、それに少年の仮面が白く光り、反射する。
 少し進んでいくと、月の明かりが壁に隠れて少年は影の中へ、それでも、少年の鎧はわずかな光を跳ね返す。
 光と、影の回廊を、淡々と進む少年、仮面は何も映さず、少年に何も知らせてはくれない。
 何も、無いのであろう、仮面の中から見える風景には、只々、昼間のように明るい回廊だけなのであるから。
 誰かがいるようにも見えない、と奥の方で何か楽しそうな気配はあるので、恐らくそちらの方で夜会とか、そういうのをやっているのであろう。
 しかし、少年の巡回ルートはそちらではないので、夜会のやっているだろう部屋の手前で曲がり、通路を進んでいくのだ。

 かつん、かつん、と音を響かせ。

ゼロ > 通路を曲がり、闇の中の通路に視線を向ける。
 やはり、誰かがいるような気配はなく、誰かがいるようには見えない。
 少年は、其のまままっすぐ通路を歩いていき。
 そして、その侭、闇の中へと溶け込んでいくのであろう。

 今宵も特に何事もなく過ぎていく。
 それが平和と言うものなのであろう―――

ご案内:「王都マグメール 王城 通路」からゼロさんが去りました。