2019/07/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にエダさんが現れました。
エダ > 王城に上がっていると、時折出るに出られない状況に出くわすことがある。
今がそれだ。
場所は連日の乱痴気騒ぎの会場外。
自分が仕える令嬢がイヤリングを落としてしまい、それをようやく探し当てたのだが。
会場へ戻るために避けて通れぬ廊下の物陰で、どこかの家の奥様と旦那様が睦み合いを始めてしまっていた。
何事かを低く囁き交わしながらゆらゆらと揺れる人影を発見すると同時、
反射的にカーテンの影に隠れたはよいのだが。ここから、さて、どうするか。

エダ > 「咳払い……なんて、わざとらしいわよね。やっぱり……ああん、もう……!」

すでにだいぶ盛り上がっているらしい声、そして物音。隠れて聞くこちらは顔が熱い。
とりあえず、なるべくカーテンを揺らさぬように距離をとろう。
イヤリングをハンカチに包んでスカートの隠しへしまいこむと、侍女はドギマギしつつ覚悟を決めた。
足音もたてぬよう、気配を殺し元来た道を引き返し始める。公共の場で秘め事を愉しむふたりに怪しまれぬよう、
少しずつではあるが。窓の外から見る者がいればさぞ不審をかうことだろう。

願わくはあの紳士が「お早い」方であって欲しい、と心の底から思う。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」に黒須さんが現れました。
黒須 > (自分とは全く持って関係のないはずなのにも関わらず、黒須は城内に居た。
理由としては、師団の評価向上のためである。
傍から見れば、ならずものの集合である第七師団は戦闘員としての腕は利くだろうが、個人個人での評価はあまりよろしくない。
そのため、スパイや魔族の襲撃などに供えて、隠れ護衛として城内に居る事になっていた)

「あぁ…めんどくせぇ…。」

(垂れる前髪をワックスでオールバックにし、ぼさぼさの後ろ髪は整え、慣れない紳士服に身を染めながら城内の廊下を歩いていた。
しばらくすれば睦み合う貴族の関わり合いを発見した)

「…やれやれ、こんなところでもするもんなのか…ん?」

(呆れた様子で眺めていると、その奥のカーテンが異様に怪しく感じていた。
誰かが隠れている、まさか暗殺者かっと睨みを聞かせると、貴族にバレぬよう、そのカーテンにだけ魔術を使用した。
右手が白い炎のようなオーラに包まれると、そのカーテンの中に居る者に魔力が周り、逆転の効果によって、自分の近くにテレポートさせる様な形にしようとするのであった、)

エダ > 侍女の目の前にあるのは窓と、その向こうの夜の庭園の風景のはずだった。
それが不意に歪み、目眩のような感覚に襲われたと同時に、目の前の風景は消えて。
代わりに、黒づくめの男が目の前にいる。

「え……!? 何、どうして……! あ──」

何が起こったかわからぬ様子で、思わず声が高くなる。唇がさらに何かを言い募ろうとしているのは、おそらくあなたは誰、と誰何しようとしているのだろう。
逆に相手からすれば、拍子抜けかもしれなかった。
スパイか刺客かと疑ったあやしいカーテンの向こうの気配が、一見すればすぐにわかる、素っ堅気の顔つきをした、ただの王城勤めの女だったのだから。

黒須 > (傍に来た瞬間にそのまま、胸元に手を当てて壁に背をくっつけさせて押さえよとする。
空いている片方の手で拳を作り、いつでもストレートを決めれるような体勢にしながら、鋭い睨みを聞かせて女を見た。)

「…あ?魔族らしい魔力も感じねぇし…普通の人間だな…。
あんなところで何をしていた?」

(低い脅しをかける様な声で女を見て、抑える手は緩めずに力を入れ、様子を見ることにした。)

エダ > 「ひ……!」

殴られる。瞬時にそう思ってしまった程度には、相手が発する殺気はすさまじい。
逃げようにも壁ぎわに追い詰められて、目の前に手をかざして肩をわずかにひねるくらいがせいぜい。
隙だらけの防御姿勢もまた、「そのへんの素人」感をまざまざと感じさせるかもしれないところだ。

「ふ、普通の侍女です……! 会場にいるお嬢様のイヤリングを持って帰ってくる途中に、
あそこのおふたりに出くわしてしまって……慌てて隠れていただけです。
お願いですから痛いことはしないで下さい……っ」

声を抑えようとするが、肋骨の真ん中あたりを圧迫されて息が苦しい。
気が動転して、そういうあなたこそ誰ですかと尋ねることも忘れている。
そばかすの浮いた頰が、息苦しさに紅潮した。

黒須 > 「・・・。」

(目の前に居る女の言い分を聞き入れる、睨みを続けながら様子を見た所、危険性はない事は理解できた。
ゆっくりと押さえていた手を離し、ズボンのポケットに手を入れて体勢を直す)

「悪いな。てっきり、侵入して来た魔族かと思った…。
俺は第七師団の戦闘員、黒須・狼。今は分け合って、この城内の護衛役をしている。」

(身長的にはきっと自分が大きすぎるだろうと思い、少ししゃがみながら自分の事を話した。
強く抑え、赤く染まった頬を見る限り、少し拘束を強くし過ぎたかと心中反省していた。)

エダ > 「う……! はぁ、は……っ……い、いえ、わかっていただけたなら、良かったです……」

男が手を離すと、圧迫されていた胸郭が一気に楽になって思わず空気を貪った。誤解が解けたとわかって、女の方でも背筋の緊張を解く。
胸元を抑えて腰の引けた姿勢になっているのは無理もないところだろう。
子供を相手にするように屈んで、やや決まりが悪そうな相手の名乗りを聞くと、

「第七師団……の、黒須さん、ですか。わ、私はタロス家に仕える侍女で、エダと申します。
軍人さんだったのですね、失礼をいたしました……」

まだ完全には落ち着きを取り戻していないものの、そう名乗り返して。軽く膝を折る。
札付きと噂の第七師団の所属なら、この男の雰囲気も納得がいった。

黒須 > 「いや、こちらこそ悪かったな…。
…大丈夫か?加減なく押しちまったしよ…。」

(話した瞬間の女の解放感に片眉を上げて様子を見た。
軽く膝を折って、苦しそうに呼吸を整え、胸元を押さえる様子ならば、かなり窮屈な状況にしてしまったのだろう。)

「…しっかし、イヤリングを届ける際ちゅうにあんなんに出くわすとは…災難だったな?」

(先ほどの貴族の居る方の廊下を覗いてみてみる。
まだ二人はお互いに睦み合いをし合っており、誰も居ないことに少々盛っているようにも見えた。
貴族としてのプライドの中で、我慢できない部分が表に出たのだろうと思い、貧民地区の人間以上に醜いようにも思えた)

エダ > 「いえ、もう大丈夫です。
黒須さんはお仕事熱心なのですね、きっと……はい、私も驚いてしまって」

申し訳なさそうに詫びるところを見ると、見かけほど怖い人というわけでもないのかもしれない。
自分より格下とみると人間扱いをしなくなる輩も多い王城では、
少なくとも上等の部類だ。
相手が少し離れた場所で、いまだ盛り上がっている最中のふたりを話題の俎上に乗せると、
少し肩をすくめて。

「高貴な方々にはお寂しい思いをされている方もいらっしゃいますから。
その……本当に、にわか雨にあったようなものと諦めるしかありませんね。
先程の瞬間移動の魔法は、黒須さんが? 私も魔法が使えたら、こういう時便利なのですけれど」

情けなさそうに眉を下げる。帰参が遅れて、お嬢様がご機嫌斜めになるだろう。
男に続いて自分もふたりの姿をチラ見するが、まだ終わりそうにない。

黒須 > 「あぁ…寂しいから体で埋めるって話か。」

(貴族も事情が多くあり、そのために体で気持ちを埋めたがるのはかなり単純であり、わかりやすい埋め方だ。
にわか雨にでもあったようにと言われればまぁ、そうだなっと軽く相槌をする。)

「あ?さっきのやつか…?ああ、『逆転』の魔術だ。「対象の現実を逆にする」魔術でな。
今、お前はあのカーテンの所に居たが、それを逆にして、「カーテンの所には居ない」って言う風に魔術を使って、俺の方に呼び寄せたって話だ。
かなり魔力を消費するから、ちと使い方にコツがあるだろうしよ?」

(現実を変えるという魔術はかなりの魔力を使うため、正直、魔術師でもない自分が所持するには少々分が悪いと言ったところであった。)

「んなことより、さっさとイヤリング返さなくていいのか?
お前んところの嬢様も、カンカンになるんじゃねぇのか?」

エダ > 「寂しさとストレスが重なると、なんだか斜め上なことしてしまうものみたいですね。人って」

悟ったようなことを言いながら、先程の現象の説明に首を傾けて聞き入る。
何だか手の込んだ、難しい魔術のようだ。いるのにいない、いないところにいるようにする、とは哲学的な響きですらある。
そのうちに、あれ? と首を傾げた。

「ええ、お嬢様のいるところに戻るにはちょうど、あのお二人のそばを通らなくてはいけなく、て……あれ?
私、さっきまで向こう側にいて、今は黒須さんとこっち側にいる、ということは……」

指を立てて頭の中を整理。やがて、あ、と声をあげた。すっかり方向感覚がわからなくなっていたが、

「そうだ! ちょうどいい具合に通り抜けることができていたんですね、黒須さんのおかげで!
うっかりしてました、とっくに助けていただいてたんですね、私」

今度は自分のうかつさに、頰が赤くなる。ぴょこりと頭を下げて礼を言うと、音楽と笑い声が聞こえる会場の方へ、足を向けた。

「ありがとうございます、ではお嬢様があまりご機嫌斜めにならないうちに戻ります。
黒須さんも、お仕事頑張ってくださいね。またどこかでお会いできたら、改めてお礼をいたします」

黒須 > 「それもあるがよ…。
人ってのは…よく発情する生き物だしな?」

(ニヤリっと悪人面を整えて笑った。
まるで知っているかのような様子で言っており、心あたりのあるような物言いであった。)

「あ?まぁ…助けたっつぅか…運よくこうなったって所だろ。」

(よくは分からないが、どうやら通過することが出来たらしく礼も言われた。
自分が本心でやったことではないためになんと言えばいいか微妙な顔をしながら頭を掻き、ま、良いかと簡単に済ませ。)

「ん、ま、そん時はよろしく頼むわ…。」

(軽く背中を向けるようにしながら片手で振り、少女を見送る。
その後、自分は命令のままに城内を歩き、監視に取り組むのであった。)

エダ > 「いえ、結果として助かりましたので! それでは、本日はこれにて失礼をいたします。ありがとうございました!」

意図してこうなったにせよ、そうでないにせよ、助けられたことには変わりない。
そして、女は少女を自称できるような年齢ではないが、
そそっかしいところはいまだにあるので、胸を張って一人前の大人を気取ることができかねる部分もあるのだった。
礼を言うと、相手と同じように振り返りもせず。足音をたてぬ小走りで、会場へ戻るのだった。
お嬢様の機嫌がなるべくよいままであるよう祈りながら……。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からエダさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」から黒須さんが去りました。