2019/06/13 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城」にヴェルムさんが現れました。
ヴェルム > 「はい、じゃあそれでよろしく」

王城警備の段取りについて部下と適当な打ち合わせを行い、部下を見送る若い師団長。
一時的とはいえ王城勤務となったことで、十三師団の団員はずいぶんやる気を見せているらしく、まぁまぁ任せていられる。
おかげで師団長は、こうしてのんべんだらりとサボっていられたりするのだ。
どうせ師団長クラスにさぼりの注意をするような階級の連中は、件のパーティにしゃれこんでいるのだろうからなおさらだ。
あんまり見向きもされなくなってきた壮言な雰囲気を湛える中庭には、やはり人の気配もなく。
ゆっくり一休みするのには都合がいい。

「お酒飲みたいな~」

中庭のベンチに腰かけて花壇を眺めながら、なんとも色気の無い欲を漏らしつつ、呑気な時間を楽しむことにする。

ご案内:「王都マグメール 王城」にナインさんが現れました。
ナイン >  っは、ん。それならそれで。是非ともご相伴に与りたいな?

(きしり、微かにベンチが軋む。…彼の、ではなく。背中合わせに並んだ別の物。
其処に腰を下ろし、背中越しの声を届けるのが、何者なのか――は。彼なら、容易に知れる事だろう。
同じ声を散々聴いた筈だから…平素の物も、外れた物も。苦いも甘いも。…何処迄も艶めく物さえも、だ。

さて。では、その声が今日の所、如何なる物なのかといえば。
恐らくは、一番最初に聴かせた際と同様に。些か、疲弊と食傷とを混ぜ合わせた物か。
同時に、鼻腔に届くか否かという程度。甘く爛れた匂いも伴うから。
終わりの知れない異国との宴、その帰りか。或いは途上で抜け出してきたという事が。ありありと。)

ヴェルム > 「おっと…これはグリューブルム卿、お変わりないご様子で」

声がした瞬間、ベンチから立ち上がり彼女の方へと身体を向けて、恭しく頭を垂れる。
二人の立場の違いを考えれば当然の振る舞い、たとえその間柄に何があるにせよ、人気は無くともこういった公の場で素を見せることはない。

「私のようなものと酒を望むなど、あまり良い嗜好ではありませんね」

わずかに発せられた彼女の言葉。
その声の震え方、そして醸し出される雰囲気、何より漂う匂いは件の宴に用いられる香の香り。
彼女が今どのような状態かなど、たやすく理解できる。
だからこそ、ほんのりと焦らすような言葉を伝えながら、ゆっくりと片手の彼女の頬へ伸ばしていこう。
人気の無いことを改めて確認したのち、触れるだけで反応を示してしまうくらいになっているかもしれない彼女の頬に触れ、ついでその髪を指に絡ませて撫でようか。

ナイン > (そういう意味では。矢張り彼の方が上手。装う事に一日以上の長が有る。
…その上、此方の方は。平時以上に気怠く、そして熱っぽく。第三者の目迄意識しきるのは難しかった。
彼の方が、きちんと礼を示すのに対し。少女の側は些か雑に。斜めに座り直す形で、彼の側へと向き直せば。)

 そうでもないさ、 ――――第十三師団長殿。
 此方から機会を作っていかなければ。何時間で経っても官民、官軍、隔たりの埋まらない侭だ。
 大体、貴男の方も。折角王都に居る癖、アーキネクト家として出て来ないのが悪いんだから。

(触れられた頬が少々膨らみを見せ。不平と、それ以上の余熱とを。掌へと押し付けていく。
一度伏された彼の視界が上がるなら。何とも不満気に顰められた眉が、飛び込んで来るに違いない。
例え、そうする必要性を実感していても。他人行儀に振る舞われてしまう事に対しての、釈然としない感覚が。
名字で呼ぶより更に迂遠な、役職名での返答として。彼へと返される。

頬と、髪と。それ等に触れる側掌の側へ。僅かに頭を傾げ、預けては。)

 大体――酒位嗜むとも。仔娘扱いしてくれるなよ。

ヴェルム > 「志はたいへん立派なものです。
ですが所詮私など敗戦地の騎士…打ち首どころか一兵卒扱いされなかっただけでも身に余るもの。
故に私の家柄に最早意味も地位もありませぬ」

彼女の人柄と思想は男にとっても協力する価値のあるもの。
だが同時に男にとって、一定の地位を与えてくれた王国に対する恩義もまた存在する。
建前か本心かはさておき、それをこの場で口にすることはないのだ。
だが少なくとも、今の男には己の家柄についての未練はなかった。

「これは失礼を…
お詫びとしては不相応ですが、私が酒の席をご用意しましょう。
他者の目を気にせず、ゆっくりと楽しめるところです」

明らかに不満げな彼女の様子。
なかなかに出来上がっている様子な彼女への焦らしは、思いのほか効果を見せている。
やりすぎて余計なことを口走りかねないかもしれないので、ここは都合の良い感じに詫びを装い、彼女を連れ出すことにしよう。
頬に触れていた手のひらを改めて彼女に差し出せば、王城内のどこかの部屋へとエスコ―トしていくことになる。

ナイン >  ――それを決めるのは第三者さ、今現在、王国軍としての貴男が、どう見られているのかは。
 此処に居る、王都王城に参内を許された事でも……っ、っと。

(第三者、それこそ、民草その他が評する物だと言っておきながら。
自身が言い募っても、説得力が無いというものだ。それに気が付き、苦笑半分。唇を閉ざす。

彼が…彼以外にも、己をかってくれる者が居るのは有難いが。
根幹に有るのは、彼と真逆。紛れもない未練。
だからこそ、あまり長々と。建前を良い述べる事はしなかった。

序でを言えば。正しく建前よりも本音。本心が何処に有るのかは、剰りに明白なのだから。)

 ――それを、約束していたのも有るんだよ。
 貴男とは未だ色々と。果たさねばならない事柄も、色々と有る事だし――

(文字通り、色々とだ。密約、密命、その他諸々。総じて密会と纏めても良いのだろうか。
差し出される手に手を重ねれば。その手も亦仄かに熱く。
何処へと向かったか、道行きを辿らせるよう、甘い毒の香が漂い続けるのだろうが。
一度扉が閉ざされたのなら、後を知るのは己と、彼との二人のみか。)

ご案内:「王都マグメール 王城」からナインさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」からヴェルムさんが去りました。