2019/05/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】中庭」にジナイアさんが現れました。
ジナイア > 王城の中庭にある、生垣で造られた迷路の中心、小さな広場。
設えられた繊細な彫刻が施された小さな噴水からは、夜半でも途切れることなくさらさらと水音が響く。
春真っ盛りの今、生垣にも広場の其処此処でも植物が色とりどりの花を咲かせている筈だが、夜ともなればその花弁を閉じるものが多く、ぽつんとひとつある広場への入口の灯りに照らされたそこは只新緑と闇に満たされている。
その広場へと、新緑を柔く踏みしめて足を踏み入れる人影が一つ。

「…久しぶりだ」

一瞬、立ちすくんで天を見上げる。
今日の空は厚く雲に覆われて、月の灯りも星の瞬きも通さない。
空気は既に春の温みを持って冷たいものではないが……
人影――赤銅色の肌に翠の双眸を持った女は、その熟れた唇から溜息のような息を零した。

ジナイア > 視線を下ろすと噴水そばへ、柔い音を立てながらゆっくりと歩み寄る。
その淵に腰掛けて、足元へ少し目を凝らす。
そうしてまた、視線を天に。
暫く見上げてから、残念だな…と呟きを漏らし、更に視線を噴水池の底の方へ転じた。
赤銅色の手をゆるりと泉の中へ差し入れる。

ジナイア > 少し掻くように動かして、水紋に翠の双眸を細めた。
泉の水は、体温を奪っていく程には冷たい。
手を引き上げると、それでも泉の中の方が暖かかったように思える…
その手を不思議そうに暫し見つめて、またゆっくりと立ち上がった。

「……また、次の機会だな」

月の綺麗な時にでも、と墨色の天を見上げて付け足して、踵を返す。
また柔い足音を立てながら広場から、迷路の方へ。
凪いだ夜に、水音だけがさらさらと庭園の静寂に満ちていく……

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】中庭」からジナイアさんが去りました。