2019/04/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城内研究施設」にミリーディアさんが現れました。
ミリーディア > 此処は王都マグメール、王城内の端に位置する魔導研究施設。
其の施設内部に続く入り口である扉の側に在る室長室。
珍しい事に此の部屋の主で在る少女は外出をしていたらしく、扉を開き入って来た。
只、身に纏う黒のローブは所々に斬られた様に裂けていたり、解れたりと散々な目に遭った様子ではあるが。
深く吐息を吐き乍、何時ものデスクと共に設置された柔らかな椅子へと向かう。

「あれが異世界に存在した九尾狐の祖先とやらの実力か…
あの力は流石と云わざるを得ないね」

ローブを脱ぎ、身に纏う物が無くなった事で見える様になった胸当てを外し、傍らへと無造作に放る。
ローブと同じ黒色で柄の無いシンプルなシャツとスカート姿と為れば、定位置で在る柔らかな椅子の上に腰を下ろす。

「取り敢えずは、此れで儂が動く事となる程に暴れる事はせんだろう」

先日、人間側の軍が占領していたタナール砦を襲ったとされる狐の娘。
其の件で関係者である式神と名乗っていた者から情報を得て、直接話を持ち掛けたのだ。
なのだが、聞いた話と比べて違和感が在ると思えば別の人格。
しかもまともに話が通用せず、互いの力を見せ合う事と為ってしまった。

結果は勝負付かずの引き分けで、幾つかの約束事を取り付けるに到った。
此方が出した条件は、一般の民を無碍に殺める事と、王国側の軍に対する妨害行為の禁止。
対してあちらの条件は……此処では伏せておこう。

其の侭柔らかな椅子に身を沈め寛ぐ体勢に入る。

ご案内:「王都マグメール 王城内研究施設」にヴェルムさんが現れました。
ミリーディア > 「さて、後はもう一方も如何にかしないといけないか…」

椅子の上で寛ぎ乍、面倒そうに呟き溜息を漏らす。
もう一方、少女が監視対象としている存在の事だ。
此の王都では商人として名は知れているだろうトゥルネソル家。
其の関係者がつい先日に起こした問題。

「監視の件を知らぬ筈が無い、其の上で行動を起こす、其の意味を理解しているのかも疑問だな。
名が広がっている程、起こす問題は大きなものと為る。
……又リス君と話をするしかないね」

もう一度だけ深く息を吐き、後は其の時に考え様と思考を止める。
体も頭も一度休めようと、目を閉じて。

ヴェルム > 戻ってきた彼女が定位置に座り、目を閉じれば仄かに香る甘い匂い。
よく見れば資料が広げられたテーブルの上に、見慣れた化粧箱が置かれていた。
よくヴェルムが持ってくる洋菓子店のそれだが、彼の姿はない。
都合悪く入れ違いとなったことで、手土産でも置いて帰ったのだろうか…と。

どか~ん!

唐突に、ギャグみたいな爆発音が研究施設の方から響き、彼女の思考を見事なまでに遮るか。
しばらくすると、一人の男が施設の方からゲホゲホと咳き込みつつ現れて。

「はぁ~…あ、ミリーディア、お帰り」

なんか髪は少々ボンバーな感じになり、服も煤に汚れている姿。
まぁなんかあれだ、ちょっとお手伝いをするつもりだったのだろうが、あの爆発はたぶんこの男が引き起こしたとかそんなところだ。
なんとも、ばつの悪そうな表情がいかにもと言った感じ。

「あ、怪我人とかいないよ?ちょっと盛り上がっちゃって…何人か髪型が乱れたくらいだから…」

実際煙がすごいくらいで大した被害はなかったものの、なんやかんやコミコミで十三師団に請求が行きそうなのは明白だったか。

ミリーディア > 確かに今は少しばかり疲れている、更に考え事も在った。
其れが漂う匂いに対する反応を遅らせてしまったのだろう。
ふと感じる其の匂いに目を開けた時に、響き渡る音が耳に入った。

然し少女は慌てない。
研究の失敗に爆発は付きものだし、研究施設内に張り巡らせている結界が命に関わる程の致命的な衝撃を抑えているからだ。
そう、どれ程の爆発が起ころうと、其の結果は後から現れる男が示してくれている。
大体は今やってきた彼程度の被害で済む様になっているのだ。

「ああ、すまないね、少し出ていた。
其れと研究所内は余程の事をしないと怪我人は出ない、安心し給え」

心配した様子も見せず彼へと目を向け、箱の礼と云うかの様にポンポンと其の箱を叩く。
因みに関係者でない者を招いて手伝わせた結果の失敗は、手伝わせた者の責任と為っている。
彼が心配する様な請求書が十三師団に届く事は無いだろう。

ヴェルム > 冗談みたいな状態のヴェルムに対し、努めて冷静な彼女の振る舞いは相変わらず。
ぱたぱたと服の煤を払い、わしわしと髪の毛をある程度元に戻しながら、彼女のくつろぐ部屋の中へと。

「いや、僕も勝手に入って悪かった。
研究、って聞くとなかなか男心を擽って…」

研究施設が頑丈なことと、安心安全に注力していることはよくわかる。
だからこそ逆に手を出してしまったのか、男にしかわからぬロマンでもあったか。
男を誘った気のいい研究員が、ささやかなお叱りを受けることになろうか。

「別に何か用があったわけじゃないんだけど、城の中で落ち着ける場所ってここくらいしかないし…。
…なんかあった?」

都合のいい休憩所あつかいしてやしないかと思うような言葉。
一応手土産として王都にある洋菓子の名店のチョコレートを持参して、お茶でも頂こうかと訪れたのだと。
と…珍しく彼女がローブを着ていないこともあるが、一応男もある程度魔法に智のある身。
彼女の魔力が、いくばくか消耗しているというか、疲れているように見えていて。
何かあったのだろうかと。

ミリーディア > 普段であれば派手に為った髪型や埃等を払う少女。
然し今回は何も手出しをしないのは、きっと少しは反省をしろとの意味合いかもしれない。
因みに彼を誘った研究員に関してはお叱りや罰の類は一切無い。
其の理由は今回の失敗で研究の進行に必ず遅れが出るから。
自業自得、其れが在る意味で与えられる罰とも云え様か。

「興味を持つ事は誰しも在る事、其れを責めはせんよ。
行う事の良し悪し関係なく結果は出ているのだしね」

自分とて同じ様な時期は在ったもの。
知るからこそ理解出来る故に、其れも又自己責任と考えている。
だからこそ少女は彼等を責めたりはしないのだ。

「落ち着ける場所か、分からんでもない。
必要では無いが御代は頂いている、気兼ねなく寛いで貰って構わんよ」

箱の中身を確認し乍、其れに合う紅茶を準備し出す。
尤も、準備をすると云っても其の場で仕上がったものが出てくるだけではあるが。
器に乗せられたチョコレートが手元と、デスクの反対側にティーカップに淹れた紅茶と共に置かれる。
その後で、彼からの言葉に僅かな間が空いた。

「……例の、狐の娘の母親と云われる存在と軽く一戦程な。
王都に住む竜の娘や関係者達同様に監視をしているからね。
面倒事を起こさん様に、序でに話し合って来ただけさ」

事も無げに答え乍、チョコレートを一口頬張る。
満足そうに大きく頷いてみせて。

「此れも好きなんだ。
甘く美味い菓子は、多く手元に置いておくに限るな」

ヴェルム > 彼女の部下への接し方は、なんとなく自分と似ているのかもしれない。
だからか居心地がよく、ついつい長いしてしまうところ。
甘味を持ってくればなおのこと主の機嫌も良くなり。
気兼ねなく…と言われる前から、とっくに椅子に腰かけくつろいでいるあたりは、もう慣れたもの故。

「もちろん、遠慮しないよ」

手品のように紅茶が出てくることすら慣れ、気兼ねなく一口。
気温も低い日とあって、美味しく頂ける。
チョコレートに合うような、爽やかな甘みだ。

「…それはお疲れ様だね、マジで。
面倒事を起こさないってことは、こっちに攻撃してくるとか…
いや、市民にも手を出さないように確約できたと?」

狐の彼女の先祖…男には苦い記憶しかない存在だが、本来の少女のほうとは少なからず縁があり、複雑な心境だった。
そんな彼女が話し合いに応じ、何かしらの取り決めができたのだと…ミリーディアであればそれも可能だろう。
ただのしばき合いにはならなかっただろうが。

「はは、貰い物の甘味ならなおのこと美味しいでしょ」

そんな出来事の後とは思えぬ、甘味を楽しむ彼女の姿にくすっと笑う男。
次いでチョコレートを一口し、紅茶をゆっくりと楽しむ。

ミリーディア > 確かに彼の様な性格であれば、此の場所は居心地が良いのかもしれない。
其れは此方からも云える事だろう。
いちいち云わずとも土産持参やら説明不要な点やらで。

特に疲れている今と為れば、依り甘味は心地良く感じる事か。
彼には言葉代わりに頷き応え乍、チョコレートや紅茶を味わう。

「ああ、あの強さであの性格ではね、彼女が出た所での被害も納得が出来た。
各国内の街や村の様な大人数が住まう場所においての殺戮行為。
並びに種の狭間や国の狭間に位置する場所…要するにタナール砦やハテグ付近だね、其処での妨害行為の禁止。
其れ以外では自由にして構わんと云ってある。
全面的に禁止するのは、流石に納得せんだろうからね」

彼からも出ていた狐の娘の件。
故に彼には別に伏せるものでもないだろうと伝えておく。
其処までの経緯は流石に説明出来ないが。

「よく分かっているじゃないか、ヴェルム君」

其れも又正直な感想だ。
食す手を進め乍、小さく笑い返す。

ヴェルム > 最初はちょっとした気遣いのつもりで持ってきていた甘味。
今となってはそれを幸せそうに食べる彼女の姿が見てみたくて持ってきているようなもの。
冷静沈着で落ち着き払った彼女の、なかなか見られない表情は見ていて和む。

「…なるほど、相手もずいぶん譲歩したように見えるね。
ただでさえ王国は問題山積みだから、脅威が一つでも減るのは良いことだ。
うーん…こんなチョコレートくらいじゃ労いにはならなそうだなぁ」

少なくとも移動中を除き、かの狐からの襲撃は無くなると言ってよい。
条件的にみればずいぶんとこちらに都合がよく聞こえる。
だが、脅威を排するのであれば始末するのが最善…それができず交渉となったということは、決着がつかなかったということかと思案する。
だがそれで誰が文句を言えよう、あの狐と対等に殴り合える者など、そう多くはない。
彼女は他人には決してできないベストな結果を出した、ただそれだけだ。
しいて言うなら、多くの命を救うことになる彼女の働きが、目の前の男の耳にしか入らぬということか。

「ウチの師団はビンボーだからね、貰えるものはなんでも嬉しいのさ。
と…後でシャワーでも貸してもらえるかな」

今となっては言うほど師団の運営に苦慮することもないが。
ひとしきり談笑を楽しんだのち、先のボンバーで若干チリチリになった髪を触りつつ、湯を借りてお色直しでもしようかと。

ミリーディア > そんな和んでいる彼を正面にして、少女は自分の分を平らげてゆく。
尤も、食べるペースは間違いなく彼の方が早いのだろうけれど。
食べ終えれば満足そうな表情を浮かべ、椅子の背を起こし凭れ掛る。

「彼女の式神とやらが現れてくれなければもう少し面倒な事になっていた、そう考えれば御互いに助かった様なものさ。
王国の問題は次から次に、困ったものだよ本当に。
逆に考えるんだ、元々は何も無かった筈なのだから、十分な労いになるとね」

彼は一度彼女と会っている、其の強さも体験しているだろう。
と為れば彼が何を考えているのかは予想し易い。
其の考えは置いておくとして、彼の思う通りに此れが最善と為るならば良しとするべきか。
褒められ慣れぬ少女からすれば、考えているだけにして欲しいとも思う訳だが。

「必要以上に無駄に流れる師団、必要としても中々流れぬ師団。
金も有限なのだから確りと考えねば為らん事だろうにね。
シャワー?必要なら適当に使えば良い、その奥だ。
服の汚れぐらいならば落としておいてやろう、入る時に云い給え。
綺麗にしたのに、着なければ為らない服の所為で汚れるのはご免だろう?」

彼の言葉に何やら思い出す様に呟き乍、背凭れから身を起こす。
大体の師団の金銭事情を知っているだけに少々困り顔を浮かべる。
そして後の質問に答え乍、入り口の扉の反対に在る別の扉を指差した。

ヴェルム > 自分の分のチョコレートを食べ終えた男は、ゆっくりと紅茶を楽しみ。
甘味を食べているときは見た目相応の少女の姿を見せる彼女に、微笑んで眺める。

「そんな聖人君主みたいなセリフ似合わないよ。
欲しいものがあったらちゃんと言わなくちゃ、僕はお菓子しかあげないけど」

王国の現在を憂いていても、行いの報酬だとか労いを求めない彼女。
奉仕の精神…というわけでもなく、ただただ面倒だからというところか。
そんな彼女に冗談めかして笑いつつも、今回の戦いの労いとしてのチョコレートと考えると、ある種彼女に相応しくもあったか。

「お金持ちは本当に羨ましい限りだけど、貧乏くさいことも言いたくないよねぇ。
そんじゃお言葉に甘えて使わせてもらうよ、服まできれいにしてもらって、至れり尽くせりで申し訳ないけど。
今度、また美味しいお菓子でも持ってくるさ」

せっかくの楽しい団らん、お金の話で重くしたくはないし考えたくも無し。
早速お言葉に甘えて、シャワーを使わせてもらうことにする。
いよいよ自分の部屋のようにし始めているような気もするが、まぁそれは二人の仲だ。
その後も、暇つぶしがてら二人でゆったりとした時間を過ごしただろうか。

ご案内:「王都マグメール 王城内研究施設」からヴェルムさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城内研究施設」からミリーディアさんが去りました。