2019/02/28 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城/王族の部屋の前」にラミスさんが現れました。
ラミス > とある女性王族の部屋の前、金属製の鎧を身に着け腰に剣を差して。
むすっとした顔の生真面目そうな騎士が直立不動の体勢で、その部屋の王族の警護に当たっている。
中で何が行われているのか、それは一介の騎士ごときに知らされることでなく、知ることではないと自覚しているので詮索はしない。
ただ、自分は警護騎士としてここを警護していればいいんだと仕事に集中する。

「王家の方を守れること、身に余る光栄…と思わねばな」

余り多くを語ることは王家への不敬につながる、その為、言葉少なになるのも仕方なく。
この長い夜が終わるまで、あとどれくらい自分はここで立っていなければならないのかと、そして中から何も聞こえてこないで欲しいとそれを強く願う。

ご案内:「王都マグメール 王城/王族の部屋の前」にサザンカさんが現れました。
サザンカ > 「はぁ……もう帰りたいなぁっ……
一人、つまんないっ」

今日は父親のなにやら怪しげな用事とやらに付き合わされ、王城に来ていたサザンカだったが
父親はサザンカ一人を残してこの城のお嬢様とやらと共に奥の部屋へと去っていってしまった。
一人寂しく応接間で触手を愛でて遊んでいたが、それにも飽き
とうとう我慢ができなくなったのか応接間を飛び出し父親がいるであろう部屋へと向かう。

すると、部屋の前に直立する騎士の姿が映る。

「あ、騎士さんだっ……♪
こんばんはっ♪」

ロングスカートを翻しながら丁寧にあいさつする素振りは長年の経験で身に付いたもの。
偽物ではあるが、ごく自然な様子で「サザンカ」として騎士に挨拶をしてみせる。

ラミス > 足音が聞こえてくる、と思いそちらへと顔を向ければ近づいてくる御令嬢。
王城にいる以上は貴族の中でも地位の高い者か、もしかしたら王族であるかも知れないと居住まいを正す。
そしてこちらへと近づいてくる御令嬢から挨拶を受ければ、武骨ながらも礼を返し。

「こんばんは。
今宵、こちらの部屋の警護を担当させて頂いております、ラミスと申します。
私めに何か御用でございましょうか?」

可愛らしい御令嬢である、しかし今の自分の任務はこの部屋の警護。
この場所を離れる訳にはいかず、ご用でしょうかと尋ねながらも用件を言われれば困ってしまうだろう。
ただ、生来の生真面目さからつい御用伺いをしてしまった。

サザンカ > 「サザンカねっ、おうちに帰りたいんだけど、この部屋からパパが出てこないと帰れないのっ
入っちゃ駄目かなっ?♪」

目の前の騎士に特に用事があったわけじゃない。
が、良く見れば騎士は女だ……
これはサザンカにとっては嬉しい誤算であり、騎士からすれば悪い誤算になるだろうか。
サザンカは何やら考える素振りを見せ、心の中で黒い笑顔を浮かべた。

「ねえねえっ、入っちゃ駄目っ?
サザンカ、パパに会いたいなぁ……」

あざとく、可愛げのある甘ったるい声を上げながら駄々を捏ねる子供の様に、瞳にはうっすら涙でも浮かべてみよう。
父親がこの部屋の中で何をしているのかなんて大方検討が付いているし、おそらくそれは目の前の騎士にだってわかっていること。
ならば、ここをみすみす通してくれるとは思ってないが……

ラミス > 御令嬢の可愛らしい声でのおねだり、しかしこの部屋へ誰も通す訳にはいかず、ましてや娘であるなら実の父親がここで何をしているかなど見せる訳にもいかず。
御令嬢の心の黒い笑顔には気付かず、困ったように首を振る。

「サザンカ様とおっしゃるのですね。
申し訳ございません、誰も通すなとの命ですので如何にお嬢様であるとしてもお通しする訳には参らぬのです。
御理解をいただけますと、御父上にも悦んで頂けると思われますが」

御令嬢の瞳に浮かぶ涙、しかしここを通せば今以上の涙を流してしまうに違いない。
そう思えば頑なに思われようとも、目の前の可愛らしい御令嬢のおねだりを聞くわけにはいかず、申し訳なさそうに頭を垂れる。

サザンカ > 「えーっ……!
サザンカ、つまんないっ……!」

予想通り、騎士はここを通してはくれない模様。
ここであえてサザンカは時間を稼ぐかのように泣き真似をしてみせる。
その場に座り込み、両手を床に付けたまま足をジタバタさせて盛大に──
そして、騎士から死角となっている右手は床に何やら魔導陣を描いていた。
対象の空間そのものを移動させる魔法。
その対象とは現在騎士が守っているその部屋。

数秒が経ち、魔導陣が完成した直後
内側から扉を破壊するような勢いで数本の太い触手が姿を現した。

「きゃー!なにこれっ!」

しらじらしい演技はさておき……

サザンカが移動させたのは魔族の国の触手生物が巣にしている洞窟の一部。
つまり、この部屋に元々いた父親やお嬢様は今頃──
いや、考えるのはやめておいた方がいいかもしれない。

ラミス > 「申し訳ございません、これもお父上の御命令であり、サザンカ様を想っての御心遣いと思われますので。
ああ、そのようなはしたない真似をされてはいけません。
折角のドレスが汚れてしまいます」

とうとう床に座り込んで駄々をこね始める御令嬢に、あたふたと困ったようにおろおろとして。
まさか魔導陣を描いているなどとは欠片も思わず、どうしたらこの御令嬢の機嫌が直るのだろうかと頭を悩ませる。

「なっ!?なんだ、この化け物は!!サザンカ様、危険ですのでこの場から離れて下さい!!
私はこの化け物を退治…は出来なくともせめて足止めを致します!
御父上もどうにか助けて見せますので、いざ早くお逃げくださいませ!!」

腰に差したロングソードを抜き、両手に構えて。
扉を破壊して現れてきた太い触手の内一本を切り飛ばし、襲い掛かってきた一本を切り落として。
部屋の中、真っ暗になっているのを明かりを消されたかと勘違いをし、早く退治して助けなければと剣を振るうものの、徐々に数の多い触手に劣勢になっていく。
そして触手に集中すれば自然、後ろの自分は無害だと思っている御令嬢への注意はそれていってしまう。

サザンカ > 「……ふふっ
騎士さん、頑張ってねぇ……♥」

触手と交戦中の騎士には絶対聞こえないような声で呟いたサザンカ
しかし、劣勢とはいえなんとか持ちこたえている騎士にサザンカは少し焦りを感じていた。
あまり時間を掛け過ぎれば他の兵士や騎士達が集まって事態は大事になりかねない。
父親とお嬢様に関してはあとで助け出して記憶を改竄すればいいが……
あまり人が増えると面倒だな。

どうにかして騎士の気を逸らさなければ……

そしてサザンカは触手に命じる
『自分を襲え』と。

すると触手達は今まで交戦していた騎士から目を逸らし、その背後でガクガク震え動けない(演技)でいるサザンカへと目掛けて襲い掛かる。
もちろん抵抗なんてしないサザンカはあっという間に触手達に四肢を拘束され、苦痛に顔を歪めるような表情を見せる。
これも彼女の演技だが、まるで嘘には見えない迫真の演技。

「やぁ……っ!騎士さん、っ……助けてぇ……!!」

大泣きしながら騎士に助けを乞うサザンカ
しかし触手達は剣を構え続ける騎士の姿を見てサザンカの身体を締め付ける力を徐々に強めていく。
これは一種の脅迫にも似た何か。
騎士が剣を捨てぬなら騎士の目の前で王族の令嬢は四肢をバラバラにされ絶命するかもしれないといった状況──

ラミス > こうして自分が持ち堪えていれば騒ぎを聞きつけて他の騎士たちが駆けつけてくるはず。
駆けつけてくれる…はず、そこまで流石に腐りきっていないと信じたい。
そう思いながらもとにかく後ろの御令嬢に、そして中にいるであろう御令嬢の父親と幼い少女を助ける為にも剣を振るい続ける。
いや、心の中ではあのように幼い少女に無体を働くような男は触手に殺されればいいのにと思わなくもないものの、後の御令嬢の父親であるならば、死ねば御令嬢が悲しむだろうと助けたくないけど助けなくてはと。

「くぅっ!!まだ、まだ応援は来ないのか…このままでは流石に私も…なんだ?!
いきなり動きが…そんな!?まだ逃げていらっしゃらなかったのですか、サザンカ様!!」

触手を足止めすることに集中してまさか御令嬢が逃げていないなんて思ってもみなかった。
しかし、このような怪異を目にすれば腰が抜けて逃げられなくてもおかしくない。
自分の判断ミスを悔やみながらも、苦しむ御令嬢の姿にどうすればと剣先を微妙に揺らして。
そして自分が剣先を下げた瞬間だけ、触手の力が弱まるのに気付けばまさか知性があるのかと驚き、その意図に気付き苦い顔をする。

「剣を捨てろと言っているのか?
しかし、剣を大人しくすてたところで…二人とも殺されるのがオチ…しかし、くそっ、サザンカ様から離れろ、これでいいのだろう!
まずはサザンカ様から離れろ、そうしたらお望み通り武装は全て外してやる!」

例え自分が剣を捨てたとて御令嬢を離すとは確信出来ない、しかし剣を捨てなければ目の前の力なき御令嬢から殺されてしまう。
まずはロングソードを捨て、御令嬢から離れるように怒鳴る。
そして御令嬢から離れれば、御令嬢から室内へと向けて下がりつつ御令嬢から距離を取る。
これで自分の方へと触手が近づき、御令嬢が解放されて自由になったなら、次はショートソードを投げ捨てる。

サザンカ > 「くるしっ……んっ、はっ……!
騎士、さんっ……!」

剣を捨て、触手の前に堂々と立つ騎士の姿だけが視界に入る。
その苦しそうな声すらサザンカの演技だとは知らずに……
しかし、剣を捨てただけでは触手の動きは止まらない。
それどころか、更にサザンカの身体を縛り付け、やがて四方八方から現れる無数の触手が騎士を囲み始めた。

そろそろこの騒ぎを聞きつけた増援がやってくるころだろう。
もうあまり時間も使えない。
痺れを切らしたサザンカは触手に指示した。

『騎士さんを捕まえてっ♥』

その声と共に触手は一斉に騎士へ向かって襲い掛かる
建物が崩れるような轟音と土煙に覆われ、騎士の安否は確認できないが、もし避け切れていないのならサザンカと同じように四肢を拘束されているかもしれない──

ラミス > 「サザンカ様!くそ、化け物ども、サザンカ様を離せ!!
ええい、他の騎士達は何をしている、これだけの騒ぎに何故誰もまだこない!」

苦しそうな御令嬢の声と表情、剣を捨てても触手は御令嬢を離さず、更にその数を増していき囲まれてしまう。
本当ならショートソードかナイフで自害してしまいたいところだったが、目の前に力なき弱き守るべき者がいる以上は先に死ぬ訳にはいかない。
剣を捨てても離れない、なら一か八かで御令嬢を苦しめている触手を切り捨てるだけ切り捨てて、と考えたところで触手達がまたその動きを変えて襲い掛かってきたところでその波に飲み込まれてしまう。

「くそっ、サザンカ様!サザンカ様っ!なんだ?!何をする気だ!!まさか、私を辱める気か…そのようなことをするくらいなら、くっ、殺せ!!」

囲んできた無数の触手の津波に逃げ切れるはずもなく、なすすべもなく飲み込まれながらも最後まで御令嬢の安否を気にしながら、四肢を拘束されていって…………………

サザンカ > 「いやぁ……!離してっ……!」

騎士が捕らわれた前でも気を抜かず演技を続ける淫魔。
そして、触手達は騎士の懇願も聞く耳持たずそのまま二人を洞窟と化している一室へと引きずり込んでいく。
そして、サザンカの魔法によって壊された部屋の扉は時間が巻き戻るかのように修復し、硬く閉ざされた。

応援が駆け付けたのはそれからすぐのことだったが、そこには何もなく
扉の奥からは既に情事を済ませたサザンカの父親と喪失感によって瞳から光彩をなくした王族の娘がベッドの上で眠っていたという──

ご案内:「王都マグメール 王城/王族の部屋の前」からサザンカさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城/王族の部屋の前」からラミスさんが去りました。